ユーロジン（エスタゾラム）の作用機序と副作用|緑内障に処方可能？

今回は睡眠薬のユーロジンについて説明します。

ユーロジンとは？

まずは名前の由来からいきたいところですが、ユーロジンには特にないようです。一般名はエスタゾラムになります。

ユーロジンは中時間型の睡眠薬に属します。それではまず睡眠障害と睡眠薬のタイプについてお話していきます。

睡眠障害と睡眠薬のタイプについて

上の表をご覧下さい。睡眠障害は症状により4つのタイプに分類できます。

また睡眠薬は半減期により大きく4つに分類でき、これが作用時間の目安となります。

代表的な睡眠薬を分類しました。処方する際は睡眠障害のタイプによって睡眠薬を使い分けます。2種類以上併用する場合もあります。

ユーロジンの作用機序と特徴

ユーロジンはベンゾジアゼピン系に分類されます。※以下ベンゾジアゼピンをBZDと表記します。

睡眠障害は神経系の興奮により引き起こされます。ということはその興奮を鎮めてあげればいい事がわかりますよね。

そこで注目するのがγアミノ酪酸（以下GABA：ギャバ）と呼ばれる物質です。

GABAは脳内に存在し、その作用から抑制性神経伝達物質と呼ばれています。

GABAはGABA受容体に結合することで、通常は細胞の外にある塩化物イオン（Clイオン）が細胞内に進入します。

Clイオンはマイナスに帯電しており、細胞内がマイナスに傾いていくと興奮が伝わるのが抑えられ、私達は眠たくなるというわけです。

睡眠障害の患者様はGABAがGABA受容体に結合する能力が低下しているとされており、その能力を高めてあげればいいことがわかりますね。

そこでユーロジンの登場です。

ユーロジンはBZD受容体と結合する事でGABAをGABA受容体に結合しやすくします。これを感受性を高めるといいます。

その結果、細胞内にClイオンが入るのがどんどん促進され、興奮が伝わりづらくなり眠たくなるわけですね。

ちなみに、BZD受容体にはω（オメガ）1とω2受容体の2つがあります。

ユーロジンはω1とω2両方に作用するため催眠鎮静作用だけでなく、抗不安作用や筋弛緩作用も併せ持ちます。

中間型であるユーロジンは服用後15～30分で効果が現れます。また半減期が24時間と長いのが特徴。主に中途覚醒、早朝覚醒、熟眠障害に用いられます。

ユーロジンの効能効果・用法用量

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ユーロジンは緑内障の患者に使用してもOK？

通常、ベンゾジアゼピン系、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬ともに重症筋無力症と急性狭隅角緑内障の方に対して禁忌となっています。

重症筋無力症に対して使用できないのは神経伝達がブロックされ筋弛緩作用が増強するため。

急性狭隅角緑内障に対して使用できないのは、抗コリン作用による眼圧上昇作用のためです。

しかし、ユーロジンは急性狭隅角緑内障に対して禁忌ではありません。アメリカの添付文書にも記載がありません。

理由として他剤と比べて眼圧上昇作用が非常に弱い、また現在まで副作用報告がないためとされています（メーカー学術情報）。

ユーロジンの副作用と注意事項

主な副作用は眠気、ふらつき、頭痛、めまいなど。特別他の睡眠薬と異なるものはありません。

ユーロジンは半減期が長いため、薬の効果が翌日の日中まで持ち越す可能性がありますので注意が必要です。

また、高齢者は運動失調等が出やすいため、少量から開始するのがよいかもしれません。

それではユーロジンについては以上とさせて頂きます。最後まで読んで頂きありがとうございました。

出典：
ユーロジン1mg錠／ユーロジン2mg錠／ユーロジン散1％　添付文書・インタビューフォーム