ラシックス(フロセミド)の作用機序と特徴、副作用、注射薬は混注禁?

今回は降圧利尿薬の中でループ利尿薬に分類される「ラシックス」についてお話していきます。

ラシックスの名前の由来は?どんな薬?

まず名前の由来からいきましょう。インタビューフォームでは特になしと記載されていますが、”last six”に由来してLasix:ラシックスと命名されたようですね。

 

ラシックスは経口投与の場合、効果が約6時間持続します。つまり、last(続く)six(6時間)を組み合わせたというわけです。一般名はフロセミドになります。

 

ラシックスの作用を簡単に説明すると、「腎臓に働きかけて尿量を増やすことで、血液中の過剰な水分が減少し、浮腫(むくみ)がとれ、血圧が下がる」となります。

 

詳しい作用機序に移る前に、高血圧について簡単に説明していきたいと思います。

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それでは続いて、尿の排泄のしくみについて見て行きましょう。

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ラシックスの作用機序

ヘンレ係蹄上行脚にはNa+-K+-2Cl共輸送体という部分があります。Na+-K+-2Cl共輸送体はNa(ナトリウム)、K(カリウム)、Cl(クロール)の再吸収に関わっています。

 

ループ利尿薬のラシックスはNa+-K+-2Cl共輸送体の働きを邪魔する作用を持ち、これによりNa、K、Clの再吸収が阻害されます。

 

Naと水は同じ動きをしますので、体の中の余分な水分が排出されることでむくみがとれ、血圧が下がるのです。

ラシックスの特徴

ラシックスはその作用から浮腫や肺うっ血など体液が過剰であると判断された際に使用されます。

 

ラシックスはサイアザイド系やK保持性利尿薬と違い、腎血流量、糸球体濾過量を減少させないため、腎機能が低下(GFR≦20mL/min)している場合でも利尿効果が期待できます。

 

ただ、無尿(1日の尿量が100mL以下のこと)の患者様には効果が期待できないため禁忌となります。

 

ラシックスは基本的に午前中に服用します。理由は夜間頻尿を避けるためです。

 

効果発現と持続時間ですが、経口投与の場合1時間以内に効果が発現し、約6時間持続します。一方注射(静注)の場合は投与後数分以内に発現し、約3時間持続します。

ラシックスの用法・用量

ラシックス錠・細粒

1日1回40~80mgを連日又は隔日経口投与。腎機能不全等の場合にはさらに大量に用いる。

私の経験上ですが、1日量として10~40mgで処方されているケースが多いですね。また朝食後・昼食後の2回に分けて処方される場合もあります。

ラシックス注20mg

1日1回20mgを静脈注射又は筋肉内注射。腎機能不全等の場合にはさらに大量に用いる。

ラシックス注100mg

ラシックス20~40mgを静注しても利尿がない場合、100mgを静注する。

投与後2時間以内に1時間当り約40mL以上の尿量が得られない場合は漸増する。ただし、1回投与量は500mg、1日量は1000mgまで。

投与速度はフロセミドとして毎分4mg以下。

大量投与時は生理食塩液等で希釈して点滴静注します(薬剤の特性上50mLで希釈されることが多いです)。

 

その際、4mg/分以下で投与しないと難聴を惹き起こす可能性がありますので注意が必要です。

 

また、ラシックス注は配合変化を起こしやすい薬として有名です。看護師の方も知っている方が多いと思います。

 

pH6.2以下で溶解度が低下して沈殿するため、原則単独投与です。同じルートで投与する場合は、前後生理食塩液でフラッシングします。

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先発品一覧

  • ラシックス錠10mg
  • ラシックス錠20mg
  • ラシックス錠40mg
  • ラシックス細粒4%
  • ラシックス注20mg
  • ラシックス注100mg
  • オイテンシンカプセル40mg

同成分品でオイテンシンカプセル40mgもあります。こちらはラシックスの持効性カプセルです。

当院採用の先発品とジェネリック医薬品

  • フロセミド錠10mg、20mg「武田テバ」
  • ラシックス注20mg

細粒の採用はなく、粉砕にて対応しています。

 

武田テバには結構痛い目を見ているので変更したいのですが、処方量も多いため結局そのまま採用継続となっています。

ラシックスの副作用について

まずは脱水、低ナトリウム血症と低カリウム血症。水分やナトリウム、カリウムの再吸収が阻害されるため、過剰に排泄されてしまう可能性があります。

 

低ナトリウム血症の症状には体がだるい、のどがかわく、ふらつき、立ちくらみ、動悸など、低カリウム血症の症状には、力が入りづらい、しびれ、脈の乱れなどがあります。

 

続いてめまいやふらつき。高所作業や自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意しましょう。特に高齢者では出現しやすいです。

 

他に注意が必要なのは血糖値と尿酸値の上昇です。

 

ラシックスを長期間服用することで低カリウム血症が出現するとインスリンの分泌が抑えられ、またインスリンの感受性も低下(効きが悪くなる)します。これにより血糖値が上昇します。

 

またナトリウムの再吸収が邪魔されることにより、近位尿細管での尿酸の再吸収が促され尿酸値が上昇することがあります。必要に応じて高尿酸血症治療薬を併用して対応します。

 

これらの副作用が現れた場合は主治医に伝えるようにしましょう。飲み始めてから1~2週間の間に現れることが多いです。

 

ただ服用中は受診の度に血液検査を行う(はず)ですので、下がっても適切な対応をしてもらえます。安心して服用してください。

 

それではラシックスについては以上とさせて頂きます。最後まで読んで頂きありがとうございました。

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この記事を書いた人

あおい|病院薬剤師
感染制御認定薬剤師/日病薬病院薬学認定薬剤師

病院で働く薬剤師です。似た名前の薬や制度の違いを、添付文書・インタビューフォーム・厚生労働省の通知にあたって整理しています。記事には情報の時点を記載し、参考文献には版と日付を残しています。