一般の人から見ればすべて同じ粉薬でも、実はその種類は豊富です。その製剤方法や大きさ、特徴などから、日本における医薬品の規定を示している日本薬局方によって分類されています。

 

現在の日本薬局方は第十七改正ですが、第十六改正時点で散薬などの定義が大きく変化したことをご存知でしょうか?今回は粉薬の分類を再確認していきます。

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散剤とは

 

医薬品の形状などを定めている第十七改正日本薬局方によれば、散剤は粉末状の経口投与する製剤とされ、粒状に造粒しているものではないことが条件となります。

 

以前は粉末状、または微粒状に医薬品を調整したものとされ、その分類は粒の大きさによって区分されていましたが、改定により製剤方法によって区分されることになりました。

細粒剤とは

 

以前は散剤の中でも粒状に製造したものを細粒と称していましたが、第十七改正日本薬局方では顆粒剤の中でも特に小さく製剤したものを細粒剤と呼ぶことになりました。

 

顆粒剤のうち、「18号(850㎛)ふるい」を全量通過し、「30号(500㎛)ふるい」に残るものが10%以下のものであれば細粒剤と称することができます。

顆粒剤とは

 

改定以前では医薬品を粒状に製したものであれば顆粒剤と呼ばれていましたが、第十七改正日本薬局方では経口投与する粒状に造粒した製剤が顆粒剤と定義されました。

 

ただこの改定によって、いままで散剤の区分であったものが、顆粒剤の分類に変更となってしまう場合があります。

 

その救済のため、以前に散剤の規定とされていた「18号(850㎛)ふるい」を全量通過し、「30号(500㎛)ふるい」に残るものが5%以下のものであれば、以前と同じく散剤と称することもできるとされています。

ドライシロップとは

 

日本薬局方では「シロップ用剤」として区分されており、水を加えることでシロップ剤となる顆粒状または粉末状の製剤のことをドライシロップと呼びます。

 

水に溶かしてシロップ剤として服用するほか、そのまま粉の形状で服用することも可能です。

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それぞれの剤形の違い

 

有効成分が散剤のままでは飛散しやすいなどの理由で扱いづらいものに関しては、コーティングなどの加工を施してある顆粒剤・細粒剤とすることで利便性が向上されることがわかっています。これは調剤する時に限らず、患者が服用する時にも言えることです。

 

粒状に加工されることで飛散しづらくなり、さらに口内に入っても有効成分自体の味をカバーすることができるため、口当たりも改善します。また、酸への耐性を付けることにより、腸溶性製剤とすることも可能になるため、より効果的に薬効を発揮することも可能になります。

 

このように書くと「顆粒剤だけあればいい。散剤はいらない」と思われる方もいるかもしれません。しかしそうではなく、散剤にも利点は存在しています。

 

錠剤や顆粒剤に比べて主原料がほぼそのままで服用できるため、吸収時間が速く、効果発現が速くなるという特徴があります。それぞれの利点を比べ、より適した剤形を選択していくべきでしょう。

 

次にドライシロップですが、これは他の剤型に比べて水に溶かすことを想定して製剤されているため、比較的飲みやすくなっています。小児向けの医薬品に多い剤型ですが、嚥下困難を起こしている高齢者にとっても有益な剤型です。

 

ただ甘みがあって飲みやすくされてはいるものの、当然主原料の味を変えることはできません。ですので、水に溶かしたままでいるとコーティングまで溶解してしまい、主原料の味が表に出てきてしまうので、逆に飲みづらくなってしまいます。

 

水に溶けやすいとされているものの、実際に溶かしてみるとダマになって残ってしまうなど、製剤によって使い勝手にばらつきがあります。逆に加工されていない散剤の方が溶けやすいという例も存在しているため、剤型を鵜呑みにはしない方が良いでしょう。

まとめ

 

散剤、細粒、顆粒、ドライシロップについての知識を再確認しました。

 

以前は粒子の大きさによる分類もされていましたが、現在では基本的に製剤方法によって分類されるようになっています。それぞれがメリットとデメリットを持っているため、患者に対して最も適したものを選択することが求められます。

 

それでは今回の記事は以上とさせて頂きます。最後まで読んで頂きありがとうございました。