「漢方薬=ツムラ」という認識の方も多いと思いますが、国内にはツムラ以外にも数多くあり、メーカー名だけが違う漢方薬がたくさん流通しているという現状があります。
実はこれらメーカー間の違いは、メーカー名だけではないのをご存知でしたか?
そこで今回は、漢方薬メーカー大手3社(ツムラ・クラシエ・コタロー)について、その違いを比較・検証していきます。
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大手3社(ツムラ・クラシエ・コタロー)の特徴と違い
ツムラ
ツムラは現在の日本における漢方薬市場で、8割を超えるシェアを持つメーカーです。人によっては「漢方薬はツムラしか販売されていない」と思っている方もいるかもしれませんね。
原料となる生薬の80%程度を中国から輸入しており、15%を日本国内で生産、残りの5%はラオスで作られています。適正・安全に生産するため、生薬管理に関する基準を明文化して管理を行っています。
ツムラの生産している漢方薬は、基本的に粒の大きい顆粒のみとなっています。
クラシエ
日本における漢方薬市場では、ツムラに次いで二番目のシェアを持っています。
中国の青島で生薬を栽培しており、現地に法人を設立して品質管理に努めており、一部の漢方薬では日本薬局方よりも高度な規定で管理を行っています。
クラシエの漢方薬は粉の細かな細粒タイプのもの、また錠剤タイプのものが販売されています。
コタロー
漢方薬メーカーのうち、初めて日本における漢方薬エキス剤を販売したのがコタローです。
漢方薬の原典を忠実に守った生薬を配合しており、添加剤は加えられていないものとなっています。
コタローが生産している生薬は粒の細かな細粒タイプとなっており、一部製剤では錠剤タイプも販売されています。
メーカー間の違い
漢方薬では、メーカーによってその出典としている原典の違いにより、配合されている生薬に違いがあります。また、同様の理由によって、同じ生薬が配合されていても、その量が異なる場合があります。
品質管理は全メーカーともに厳しく行っているため、不純物などの混入の心配はほぼありません。
添加剤を加えているかどうかにも違いはありますが、こちらも効果に大きな変化をもたらすものではありませんのでご安心下さい。
配合生薬の違いと効果の違いは?
メーカーによっては白朮の代わりに蒼朮など、類似の生薬を配合している場合も多くみられます。
参考記事:白朮(ビャクジュツ)と蒼朮(ソウジュツ)の違い
いずれも漢方薬の組み合わせとして日本薬局方で定められているものであるため、基本的に効果に違いは存在しないということに”一応”なっています。
ただ、東洋医学的に考えれば、実際には人体に及ぼす効果にわずかながら差が生まれるのではないかと考えられます。
漢方薬は、自分の体質に合ったものを選択するのが最も大切。そのため、盲目的に原典通りが良いと言うものでもありません。
配合された生薬によって、どんな効果を及ぼすのかを考えた上で処方することが何よりも重要となります。
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漢方薬メーカーの選び方
漢方薬メーカーを選ぶ際には、配合されている生薬の違いや添加剤の違いで選択していくことになります。
先ほどお話した通り、出典としている原典の違いにより、配合されている生薬の違いが生まれ、わずかに効能効果に差が生まれる場合もあります。
とはいえ、現実的には生薬や添加剤の違いよりも、顆粒・細粒・錠剤などの剤型規格、つまり「飲みやすさ」を重視して選択されるケースが多いでしょう。
ただ、医師が患者の要望を汲み取って対応してくれるケースもありますが、ツムラが国内シェアの8割を占めているということもあり、患者さんがメーカーの選択をすることはちょっと難しいかもしれません。
病院や薬局の取引契約の有無によっては、メーカーから仕入れができない場合もあるのです。
ツムラが業界トップシェアとなっている理由は?
ツムラが現在トップシェアとなっている理由は、実は効果が優れているからというわけではありません。
まずは、漢方薬が手軽に使用できるエキス剤として、コタローが業界で初めて6種類の漢方薬からスタートしたのに対し、わずかに遅れて販売を開始したツムラは60種類をラインナップしました。
種類が多いと言うことは、単純に処方機会が多くなるということであり、コタローとの先行者利益の差もすぐに消えてしまいました。
さらに、ツムラは漢方薬の使い方をわかりやすいフローチャートにまとめて、各疾患への対応表を医師に周知したことにより、「この病気にはツムラの○番」という流れを作り出したのです。
それまでは、東洋医学をしっかり勉強した医師でなければ漢方薬はとっつきにくく、効果もわかりづらいものという認識をされていました。
そのため、元々漢方薬治療に興味があった医師の間でツムラは重宝され、現在のトップシェアを誇る状態となっていったというわけです。
まとめ
漢方薬のメーカーは小さな会社を含めれば無数に存在していますが、そのシェアはほぼ上位三社(ツムラ・クラシエ・コタロー)によって占められているといっても過言ではありません。
それぞれの効果に大きな違いはないものの、含まれている生薬やその含有量には細かい違いがあります。
剤型規格が異なる場合もあるため、「散剤がどうしても飲みにくい!」という場合などは、メーカーの変更を医師に相談してみてもいいでしょう。
もしそれが難しければ以下の記事を参考に飲み方を工夫してみて下さいね。
参考記事:漢方薬の飲み方の工夫~少しでも飲みやすくなる方法とは?
それでは漢方薬メーカー間の違いについては以上とさせて頂きます。最後まで読んで頂きありがとうございました。