吐き気止めの中には食前服用と限定されているものがあります。

 

飲み忘れなどの心配もあるため、他の医薬品と一緒に食後で服用できる方が楽ではあるのですが、それでも食前服用とされていることには理由があります。

 

今回は、吐き気止めの食前服用について、そのエビデンスを含めてまとめていきます。

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臨床現場で使用される吐き気止めは?

 

一般的に吐き気止めと言われる医薬品は、正式には消化管運動改善薬という分類になります。

 

胃や腸の蠕動運動を改善して消化を促進し、脳に存在している嘔吐中枢(CTZ:化学受容器引き金滞)の働きを抑制して吐き気も改善させます。

 

どちらか一方のみの効果を持っている医薬品もあれば、両方の効果を同時に発揮する医薬品も存在し、患者の状態に応じて使い分けされています。

吐き気止めの医薬品例

・ナウゼリン:消化管の働きを補助し、嘔吐中枢も抑制する

・プリンペラン:消化管の働きを補助し、嘔吐中枢も抑制する

・ガスモチン:消化管の働きを改善する

・ノバミン:嘔吐中枢の働きを抑制する

・ナゼア:嘔吐中枢の働きを抑制する

なぜ「食前」の指示なのか?

 

吐き気止めが食前服用となっているのには、その効果時間に関係しています。

 

例えば吐き気止めの代表的な薬剤であるナウゼリンは、空腹時では服用後15~30分程度で血中濃度がピークに達して薬効を発揮します。

 

つまり食前で服用することにより、食事の開始時間に合わせて吐き気の症状を緩和することができるというわけです。

 

また食前で服用することによって、あらかじめ胃腸の働きを改善させ、蠕動運動を活発にする効果を発揮します。

 

食事によって摂取した食品が長時間胃内に停留してしまえば、吐き気を誘発してしまう原因となってしまいます。

 

そこで食前に服用することで、摂取した食品が速やかに胃で消化され、腸に排出されていくように環境を整える効果も期待できるのです。

吐き気止めは絶対に食前でしか服用しないのか?

 

食前服用の医薬品だからと言って、絶対に食前でなければいけないというものではありません。より効果的に使用するために食前で用いられていますが、場合によっては食後での服用を検討することもあります。

 

例えば食事によって予期せず吐き気が誘発されてしまった場合には、頓服として食後でも吐き気止めを使用する場合があります。

 

また胃腸の状態を改善させるために使用する目的では、効果を最大限発揮させるよりも継続して飲み忘れずに使用できることを重要視し、食後での指示となる場合もあります。

 

どのタイミングで使用するのかは、医師の判断による部分も大きいですね。

 

即効性は落ちますが、食後で服用しても何らかの不具合が生じる可能性は非常に低いため、食前服用を忘れてしまった場合には食後服用でも構いません。

 

ただし、吐き気がない場合には休薬することも考えられるため、医師の判断に従うようにしましょう。

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吐き気止めの食後服用での問題点とは?

 

吐き気止めを食後で服用することにより、その吸収時間が延長してしまうことが知られています。

 

先程の例でも出てきたナウゼリンですが、食後服用とした場合には最高血中濃度に達するまでに1時間程度の時間が必要になり、これは空腹時と比べて吸収時間が2倍以上に延長していることを意味します。

 

速やかな効果を求めるのなら、空腹時である食前での使用とするべきでしょう。

 

吐き気止めの中には保険適応となる使用方法が「食前」と限定されているものもあります。何らかの理由が明記されないまま食後服用の指示では、査定される可能性がありますので注意が必要です。

まとめ

 

吐き気止めの食前服用は、吸収時間と薬効から考えても明らかに優位性のある使用方法です。食後服用では薬効発現までの時間が延長してしまい、速やかな効果が得られません。

 

保険適応上でも査定されてしまう可能性があるため、食前服用として処方されるのが一般的です。

 

ただし、状態によっては食事に関係なく頓服使用の指示が出ることもありますし、食後の胃もたれを改善するためにあえて食後に服用させる例もあります。

 

食後服用だとしても、若干薬効が低下してしまう可能性はありますが、人体に対して有害な効果が出るわけではありません。

 

とはいえ、医師の指示通りに治療を継続することが大切。自己判断で用法を変えないよう注意してくださいね。

 

それでは今回の記事は以上とさせて頂きます。最後まで読んで頂きありがとうございました。