今回はインクレチン関連薬の『ビデュリオン』ついて説明していきましょう。

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ビデュリオンとは?

ではビデュリオンの名前の由来からいきましょう。最初に種明かしするのは忍びないのですが、ビデュリオンはバイエッタと成分は同じであり、バイエッタの週1回バージョンになります。

 

ビデュリオンは英語でBYDUREONと表記されます。これは何からきているのかというと…

・”BY”は『Byetta(バイエッタ)』※成分が同じなため

・”DUR”はDurationで『持続』

・”EON”は『無限に長い』や『永遠』を意味します。

つまりバイエッタの作用が長く続く」から命名されました。一般名はエキセナチドになります。

 

作用を簡単に説明すると、『血糖値が高い時にインスリンの分泌を促し、血糖値を下げる』となります。

 

先ほどお話したとおり、ビデュリオンとバイエッタは同じ成分です。基本的に適応や作用機序等は同じですので、先にバイエッタをお読み頂いた後に読み進めて頂ければと思います。

 

こちらでは両者の違いについて主に記載します。

関連記事バイエッタの特徴|作用機序と副作用、併用可能薬やビクトーザとの違い

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ビデュリオンとバイエッタの違い

ビデュリオンもバイエッタと同様、N末端から2番目のアミノ酸がアラニンからグリシンであり、DPP-4により分解されにくくなっており、更に週一回の投与となっています。

 

その理由は何でしょうか?インタビューフォームによると…

エキセナチドを生分解性のd,l -ラクチド・グリコリド共重合体(50:50)(PLG)のマイクロスフェア内に包埋することにより、1週間に1回の皮下投与で、エキセナチドを1日2回皮下投与する製剤(バイエッタ皮下注)と同様な効果を示すよう設計された徐放性製剤

な、なんですかこれは!?一般の方は意味不明かもしれません。

 

要はですね…1回で1週間分の量のエキセナチドを単純にそのまま投与しても、1週間作用は持続しません。当たり前ですね。

 

そこで分解しても体に無害な物質で作られた、直径数μm程度の本当に小さい製剤でエキセナチドを包み込みます。この小さい製剤をマイクロスフェアといいます。

 

マイクロスフェアが徐々に加水分解されていくことで中のエキセナチドが徐々に放出されていきます。これにより1週間作用が持続するように設計されているのです。

 

ビデュリオンは1回分ずつのパッケージとなっており、中にはシリンジ、薬が入ったバイアル、バイアルとシリンジを接続するコネクター、注射針が入っています。

 

ダイアルを回して打つだけのバイエッタと違い、ビデュリオンは針をセット後、ノブを回し、薬剤が均一に白く濁った状態になるまで10回ごとに面を変えながら、80回以上タップ。

 

更にノブを回してようやく投与できるようになるのです。結構面倒ですよね。

 

そして注射針ですが、バイエッタはインスリンでも使用する針を用いるため、32Gと非常に細く、痛みも少ないです。

 

しかしビデュリオンの針は23Gとかなり太いため、人によっては結構痛みを感じると思います。1週間分(溶解液0.75mL)を投与となるとこれくらいは必要となってしまうのでしょうか。

 

現在はペン型が販売されていますが、以前よりも簡便にはなったものの、薬剤のセットが2段階であることやタップは同様に行う必要があります。針も同じ23Gのまま。

 

見た目とは裏腹に「そこまで痛くはない」という話も聞きますが、実際私は試したことがありませんし、個人差もあると思いますのでこれ以上のコメントは差し控えさせて頂きます。

 

GLP-1アナログの週1回製剤はトルリシティ皮下注0.75mgアテオスに軍配が上がりますね。

ビデュリオンの副作用

基本的にバイエッタと同じです。

 

ただビデュリオンに特徴的なものとして注射部位の硬結(硬くなる)、そう痒感(かゆくなる)があります。これについては先ほどお話したマイクロスフェア製剤に特徴的なものとされています。

 

ちなみに国内の第三相臨床試験では注射部位の硬結は215人中76人に出現。うち中止に至ったのは1例のみ。

 

また注射部位のそう痒感は215人中14人に出現。うち中止に至ったのは1例のみ、となっています。

 

症状はいずれも軽度または中等度とされていますがバイエッタよりもかなり出現率は高くなっています。

 

それではビデュリオンについては以上とさせて頂きます。最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

出典:
ビデュリオン皮下注用2mgペン 添付文書・インタビューフォーム