今回は漢方薬の温清飲(ウンセイイン)について解説します。

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温清飲の名前の由来とは?

 

温清飲は四物湯と黄連解毒湯の合剤です。それぞれの作用の頭文字をとって命名されています。

・四物湯:温補養血(身体を温め、貧血を改善する)

・黄連解毒湯:清熱瀉火(解熱消炎作用)

温清飲の作用機序と特徴

 

温清飲は月経不順や更年期障害、神経症に適応をもつ漢方薬で、含まれている生薬は地黄(ジオウ)、芍薬(シャクヤク)、川芎(センキュウ)、当帰(トウキ)、黄芩(オウゴン)、黄柏(オウバク)、黄連(オウレン)、山梔子(サンシシ)です。

 

東洋医学では漢方薬の適応を判断するため、個別の患者の状態を判断する「証」という概念を用います。

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温清飲に適応のある証は、虚証・熱証・燥証・血虚であり、体力が中等度以下で華奢な体格、のどの渇きや皮膚乾燥があってほてりやすいタイプの人に向いている漢方薬です。

 

添付文書には以下のように記載されています。

効能又は効果

皮膚の色つやが悪く、のぼせるものに用いる
月経不順、月経困難、血の道症、更年期障害、神経症

用法及び用量

通常、成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口投与する。なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。

ツムラ温清飲エキス顆粒(医療用)の添付文書より引用

 

温清飲は冒頭でお話した通り、体を温める四物湯と体の熱を清める黄連解毒湯を合わせた方剤であり、体の中の偏った熱を改善する効果を持っています。

 

当帰・川芎・芍薬・地黄は四物湯を構成する生薬であり、補血効果で血を補って血流を改善します。黄芩・黄柏・黄連・山梔子は黄連解毒湯を構成する生薬で、消炎作用と抗ストレス作用によって痒みやイライラに効果を発揮します。

 

この二つの作用を発揮するのが温清飲であり、血液の循環が滞って肌色が悪く、乾燥して痒みが出ている場合に効果的です。

 

適応症には皮膚疾患は記載されていませんが、近年の研究により、カサカサとした乾燥性の皮膚症状に効果を発揮することが判明しています。

 

全体的に皮膚を潤す効果がある生薬が配合されているため、ジュクジュクした皮膚症状では悪化させてしまう場合があるため、症状を慎重に判断する必要があります。

 

アトピー性皮膚炎の中でも、乾燥して粉を吹くような状態にある状態では改善が期待でき、また、尋常性乾癬のように皮膚ががさがさとした角質に覆われ、赤みが出ている病状の場合には温清飲が効果を発揮する場合が多くあります。

 

乾癬は悪化と緩解を繰り返す病態ですが、温清飲を継続して服薬することによって、緩解期のまま安定できたと言う症例も存在しています。

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温清飲の副作用

 

温清飲では副作用の発現頻度が明確になる調査を行っていないため、その詳しい発生頻度は不明です。重大な副作用の報告があるため、使用する際にはその兆候となる症状に注意しなければいけません。

 

発熱、咳嗽、呼吸困難、肺音の異常が現れる間質性肺炎や、肝機能検査値の異常を伴う肝機能障害・黄疸が発生することがあります。

 

その他の副作用として、食欲不振や胃部不快感、悪心、嘔吐、下痢などの消化器症状、発疹や発赤などの過敏症状が報告されています。

 

また、添付文書には記載されていませんが、山梔子を含んでいる漢方薬を長期間服薬することによって、腸管膜静脈硬化症を発症するリスクが存在します。

 

腸管膜内を流れる静脈の石灰化によって大腸に炎症を起こし、初期には下痢・腹痛などを繰り返すことが主な病態ですので、これらの症状があった場合にも速やかに服薬を中止し、かかりつけの医師、薬剤師に伝えるようにして下さい。

温清飲の飲み方と注意事項

 

温清飲は1日2~3回に分けて空腹時に服用するのが効果的です。もし服用を忘れて食事をしてしまった場合には、効果は減弱してしまう可能性はありますが、気づいた時点で服用しても構いません。

 

より効果的に服薬するためには、漢方薬本来の姿である液剤とするのが効果的だとされています。あまりに熱いお湯では薬効成分が揮発する場合もあるため、約60℃程度のぬるま湯での服用がオススメです。

 

下痢や軟便、悪心を呈している患者や、著しく胃腸虚弱の患者では、副作用が発現してしまう可能性があるため、慎重に使用する必要があります。

 

妊娠中の使用に関しては「有効性が危険性を上回る場合」と添付文書には記載されています。ただし、古くから妊娠期の掻痒感の改善に用いられてきた漢方薬であり、含まれている生薬も胎児・母体に対して不具合を起こすものではありません。

 

自己判断ではなく、医師の指示のもとで使用するのであれば、安全性が高い漢方薬だと言えるでしょう。

 

それでは温清飲については以上とさせて頂きます。最後まで読んで頂きありがとうございました。