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吸入ステロイド(ICS)の種類とそれぞれの違い、使い分けについて


今回は気管支喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)に用いられる吸入ステロイド(ICS)について解説します。

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喘息治療における吸入ステロイド(ICS)の位置づけ

喘息治療ガイドラインにおいて、吸入ステロイド(以下ICS)は第1選択薬となっています。

 

喘息ではアレルギー反応が原因となって、気管支に慢性的な炎症を起こしている状態。つまり、その炎症を緩和することによって、良好な状態を維持することが可能となります。

 

ステロイド剤は強力な抗炎症作用と抗アレルギー作用を持つため、吸入ステロイドを用いることで気管支の炎症に対して効果的に作用することが判明しています。

ICSの種類

ICSには大きく分けて2種類あり、ドライパウダー製剤とエアロゾル製剤が存在します。

ドライパウダー製剤

代表的な製剤:フルタイドディスカス・フルタイドロタディスク・アズマネックス・パルミコート・アニュイティ

ドライパウダー製剤では噴霧と吸気の同期がいらないため、吸入自体は簡便になっていますが、吸入器の操作方法は煩雑になっているものもあります。残量については見やすいように工夫された製剤が多いですね。

エアロゾル製剤

代表的な製剤:オルベスコ・キュバール・フルタイドエアー

エアロチャンバー等のスペーサーなどの使用が必要で、噴霧と吸気の同期が必要となるため、吸入方法が比較的煩雑となります。ただ吸入器自体の使い方は簡単で、口腔カンジタなどの副作用が起きにくいという利点があります。

ICSの一般的な副作用

ICSは咽頭に付着することによって、嗄声(させい)・口腔咽頭カンジタ症を引き起こすことが知られています。

 

嗄声の原因は、ステロイドが喉に付着することによって、咽頭の筋肉が障害を起こして筋量が低下すること、口腔咽頭カンジタ症の原因は、付着したステロイドによる免疫抑制作用によるものとされています。

 

ただいずれも、喉に付着したステロイドを除去することによって予防することができますので、使用後のうがいは徹底して行う必要があります。

 

ただし、もし発生したとしても薬剤の変更・中止によって改善する副作用ですのでご安心下さい。

ICSの粒子径の影響

ICSでは、含まれている成分の粒子径・大きさによって肺への到達深度が異なり、粒子径が大きいほど中枢気道に沈着しやすく、粒子径が小さいほど末梢気道に到達しやすくなります。

 

喘息治療では、中枢・末梢への治療は独立してQOLに関与しているとされているため、双方の治療を同時に行った方が、予後が良くなるとされています。

 

ただし、この中枢気道・末梢気道に対する知見はまだ少なく、今後の研究の進展が待たれるものです。エアロゾル製剤は一般的に粒子径が小さく、ドライパウダー製剤は一般的に粒子径が大きくなっています。

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ICSの使い分け

ICSの使い分けですが、喘息の状態に合わせて、粒子径や吸入方法、味やにおいなどを考慮して決定していきます。

 

例えば、オルベスコはキュバールに比べてやや薬効が低くなっていますが、変更するまでの大きな違いはありません。

 

ステロイド自体には強弱は存在しますが、吸入回数などで効果は調整されるものですので、製剤間での作用の強弱はあまり考慮しなくても問題ないでしょう。

ICSのそれぞれの特徴・違い

キュバール:エアロゾル製剤:1日2回吸入

エタノール臭があり、残量がわからない。粒子径が小さいので肺深部到達率が高い。

オルベスコ:エアロゾル製剤:1日1回吸入(高用量で使用する場合は1日2回)

エタノール臭があり、残量が外観からはわからない。粒子径が小さいので肺深部到達率が高い。

フルタイドエアー:エアロゾル製剤:1日2回吸入

エタノール臭がしない。残量は外観からはわからない。

フルタイドディスカス:ドライパウダー製剤:1日2回吸入

乳糖が多いため、咳を誘起しやすい。少し甘みがある粉で残量もわかりやすい。ただ吸気をしっかりしなければ吸入できない点に注意。

フルタイドロタディスク:ドライパウダー製剤:1日2回吸入

乳糖が多いため、咳を誘起しやすい。少し甘みがある粉。薬(ディスク)をセットするタイプのため、残量がわかりやすい。

パルミコート:ドライパウダー製剤:1日2回吸入

吸入しても粉っぽさを感じにくい。吸入器の操作が煩雑。咳を誘起しにくいが、人によっては苦みを感じる。

アズマネックス:ドライパウダー製剤:1日2回吸入

操作しやすいシンプルな吸入器で、咳を誘起しにくい。残量がわかりやすく、残りがなくなるとロックされる。無味。

アニュイティ:ドライパウダー製剤:1日1回吸入

操作しやすいシンプルな吸入器で、残量がわかりやすく1日1回で服薬コントロールが容易。

 

以上吸入ステロイド(ICS)概要と違い、製剤の使い分けについて解説しました。ご参考にして頂ければ幸いです。

 

出典:
「吸入ステロイド薬の使い分け」―名古屋市立大学大学院医学研究科呼吸器・免疫アレルギー内科学 新実 彰男
「気管支喘息治療の進歩 吸入ステロイド薬」 日本呼吸器学会誌 新実 彰男
「喘息予防・管理ガイドライン」―国立病院機構東京病院 大田 健
各吸入ステロイド製剤 添付文書・インタビューフォーム
「吸入ステロイド薬の副作用である嗄声発現の要因解析」医療薬学・一般論文

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