今回は過敏性腸症候群(IBS)治療薬のイリボーについてお話ししていきます。
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イリボーとは?
それでは名前の由来からいきましょう。イリボーはIrribowと表記されますが、これは過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome)に対して作用が認められることから下線部を組み合わせて命名されています。一般名はラモセトロンになります。
イリボーの作用を簡単に説明すると「ストレスなどが原因で繰り返す腹痛や腹部不快感を伴う下痢を改善する」となります。
それではまず過敏性腸症候群について簡単にお話していきます。
過敏性腸症候群(IBS)とは?
過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome:IBS)は検査をしても何も異常がないにもかかわらず、通学や通勤中、また試験や重要な会議、プレゼンテーションの前などに便秘や下痢、腹痛などの症状が繰り返し現れる疾患です。
上記のようなことがストレスとなり脳が刺激を受けると、腸粘膜からセロトニン(5-HT)が分泌されます。このセロトニンが腸内のセロトニン3(5-HT3)受容体に結合するとアセチルコリンなどの神経伝達物質が放出され、腸の運動が活発になり症状が現れるのです。
過敏性腸症候群には便秘型、下痢型、両者が交互に起こる交替型(混合型)があります。頻度としては交替型、便秘型、下痢型の順に多くなります。
20~30歳代に多く、男性では下痢型、女性には便秘型が多いとされています。いずれも腹痛やおなかの張りなど腹部症状をともないますが、排便後は症状が軽減するという特徴があります。
ではこれを改善するにはどうすればいいか。そこでイリボーの登場です。
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イリボーの作用機序と特徴
セロトニンがセロトニン3受容体に結合すると腸の運動が活発になる。イリボーの作用機序、もうわかった方もいるかもしれませんね。
イリボーはセロトニン3受容体に結合する作用をもっています。これによりセロトニンが本来結合するはずだったセロトニン3受容体に結合できなくなるため症状の改善が期待できるのです。
イリボーはその作用から下痢型過敏性腸症候群に適応があります。また剤形には普通錠とOD錠があります。
イリボーは発売当初男性のみに適応がありました。理由として男性と比較して女性では便秘や硬便、腹部膨満などの有害事象の発現率が高い傾向にあったためです。
そこで男性の半量で臨床試験を行った結果、女性にも有効性・安全性が認められ、2015年5月より女性にも使用できるようになりました。
用法・用量は以下になります。
5μgを1日1回経口投与。1日最高投与量は10μgまで。
・女性における下痢型過敏性腸症候群
2.5μgを1日1回経口投与。1日最高投与量は5μgまで。
イリボーの副作用
主な副作用は便秘、硬便です。特に女性では男性に比べて多い傾向にあります。3日排便がない場合は服用を中止して主治医の指示を仰ぎましょう。
また稀ですが虚血性大腸炎などの重篤な副作用も報告されています。腹痛の悪化、下血(便に血が混じる)などの症状がみられる場合も同様です。速やかに医療機関を受診するようにしましょう。
それではイリボーについては以上とさせて頂きます。最後まで読んで頂きありがとうございました。