今回は過敏性腸症候群(IBS)治療薬のポリフル、コロネルについてお話ししていきます。

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ポリフル、コロネルとは?

 

それでは名前の由来からいきましょう。いずれも一般名はPolycarbophil calcium:ポリカルボフィルカルシウムになります。

 

まずはポリフルから。これはわかりやすいです。一般名であるポリカルボカルシウムの下線部をとってPolyful:ポリフルと命名されています。

 

続いてコロネル。大腸(Colon)に作用し、便秘と下痢の釣り合いをとる(Equilibrate)という意味を込めて下線部を組み合わせColonel:コロネルと命名されています。

 

ポリフル、コロネルの作用を簡単に説明すると「ストレスなどが原因で繰り返す腹痛や腹部不快感を伴う下痢を改善する」となります。

 

それではまず過敏性腸症候群について簡単にお話していきます。

過敏性腸症候群(IBS)とは?

 

過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome:IBS)は検査をしても何も異常がないにもかかわらず、通学や通勤中、また試験や重要な会議、プレゼンテーションの前などに便秘や下痢、腹痛などの症状が繰り返し現れる疾患です。

 

上記のようなストレスにより脳が刺激を受けると、腸粘膜からセロトニン(5-HT)が分泌されます。このセロトニンが腸内のセロトニン3(5-HT3)受容体に結合するとアセチルコリンなどの神経伝達物質が放出され、腸の運動が活発になり症状が現れるのです。

 

過敏性腸症候群には便秘型、下痢型、両者が交互に起こる交替型(混合型)があります。頻度としては交替型、便秘型、下痢型の順に多くなります。

 

20~30歳代に多く、男性では下痢型、女性には便秘型が多いとされています。いずれも腹痛やおなかの張りなど腹部症状をともないますが、排便後は症状が軽減するという特徴があります。

 

ではこれを改善するにはどうすればいいか。そこでポリフル、コロネルの登場です。

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ポリフル、コロネルの作用機序と特徴

 

腸に到達した内容物には多くの水分が含まれています。その水分の多く(約6~8割)が小腸で吸収され、残りは大腸で吸収されます。かなり大雑把な説明になりますが、吸収される水分量が通常よりも多いと便秘に、少ないと下痢になります。

 

例えば腸の運動が低下したりすると、便が長時間腸内に停滞する事になりますので、その分多くの水分が吸収され、固い便になります。

 

また逆に腸の運動が活発になるとどんどん便が押し出されていき短時間で便が出るため、水分をあまり吸収できず水分を多く含んだ便、つまり下痢になるというわけです。

 

今回のコロネルは便秘型、下痢型両方に有効であることが最大の特徴です。

 

ポリカルボフィルカルシウムは酸性である胃ではカルシウムがはずれ、ポリカルボフィルになります。ポリカルボフィルは中性である小腸や大腸では高い吸水性と保水性を示し、水を吸って膨潤・ゲル化します。

 

下痢の時はポリカルボフィルが便の水分を吸収して膨潤ゲル化します。これにより便の通過時間が遅くなることで便が正常化し、排便回数が減少します。

 

便秘の時はポリカルボフィルが消化管内の水分を吸収することで便を軟化し、かさを増すとともに腸管を刺激します。これにより便の通過時間が速くなることで便が正常化し、排便回数が増加するのです。

 

ポリカルボフィルカルシウムの剤形には錠剤と細粒があります。通常1日量1.5~3.0g(錠:3~6錠、細粒:1.8~3.6g)を服用しますが、下痢状態では1日1.5gでも有効とされています。下痢型の場合1日1.5gから開始することが望ましいでしょう。

 

また喉や食道に留まってしまうと膨張して閉塞する可能性があります。必ずコップ1杯程度の水で服用するようにして下さい。

ポリフル、コロネルの相互作用

 

特に注意が必要なのはオメプラール(オメプラゾール)、タケプロン(ランソプラゾール)などのPPI、ガスター(ファモチジン)、ザンタック(ラニチジン)などのH2受容体遮断薬です。

 

これらは胃酸の分泌を抑制しますので、胃内pHが上昇しカルシウムがはずれにくくなります。つまりポリフル、コロネルの作用が減弱する可能性があります。

 

併用する際は先に制酸剤を服用し、1時間経過した後ポリフル、コロネルを服用するとよいでしょう。

ポリフル、コロネルの副作用

 

主な副作用は腹部膨満感(お腹の張り)になります。これは腸内容物の量が増えるためです。便が正常化するとともにおさまっていきます。

 

それではポリフル、コロネルについては以上とさせて頂きます。最後まで読んで頂きありがとうございました。