今回は骨粗鬆症治療薬でビタミンK2製剤の「グラケー」についてお話していきます。
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グラケーとは?
まずは名前の由来からいきましょう。
詳しくは作用機序の項で後述しますが、骨芽細胞から分泌されるオステオカルシンという蛋白質がγ-カルボキシル化(Gla化)される際にカルボキシラーゼという酵素が関わっているのですが、その時に必要なのがビタミンK2(グラケー)になります。
上記のうち、”Gla化”と”ビタミンK(ケー)”からGlakay:グラケーと命名されました。一般名はメナテトレノンです。
グラケーの作用機序を簡単にお話すると「骨芽細胞に直接作用することで骨形成を促し、同時に骨吸収も抑制することで骨を丈夫にする」となります。それではまず骨粗鬆症についてお話していきましょう。
骨粗鬆症とは?
骨粗鬆症は”骨がもろくなることで骨折しやすくなる病気”のことをいいます。
私達の体は毎日古くなった骨を壊し、壊した部分を新しく作った骨で修復しています。これにより健康で丈夫な骨を維持することができるのです。これを骨の新陳代謝、または骨代謝と言います。
古くなった骨が壊されることを骨吸収といいます。そしてこれを行っているのが破骨細胞です。逆に骨が新しく作られることを骨形成といい、これを行っているのが骨芽細胞になります。
骨吸収と骨形成のバランスが崩れる、つまり骨吸収が骨形成を上回ってしまうと、壊した骨の分を補いきれなくなります。この状態が続くと骨量が減少してしまい、スカスカのもろい骨になってしまうのです。
骨粗鬆症は高齢者、そして女性に多く見られます。高齢者は個人差はありますが、一般的に食事量が低下する上、腸管からのビタミンやカルシウムなどの吸収が低下する傾向にあります。
また運動は骨に適度な負荷がかかり、骨芽細胞を活性化させる物質の分泌を促すのですが、高齢者は運動量が低下するため、骨粗鬆症になりやすいと言えます。運動量の低下は筋力の低下にも繋がるため転倒による骨折のリスクも上がります。
女性については閉経後に卵巣の機能が低下すると、女性ホルモンであるエストロゲンが減少するためです。
エストロゲンは破骨細胞を活性化する物質、インターロイキン1、インターロイキン6(IL-1、IL-6)や腫瘍壊死因子(TNF-α)などが作られるのを抑える作用を持っています。
エストロゲンが減少することで破骨細胞が活性化してしまい、骨粗鬆症になりやすくなる、というわけですね。
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グラケーの作用機序と特徴
冒頭でもお話しましたが、骨芽細胞から分泌される蛋白質”オステオカルシン”はカルボキシラーゼという酵素によりγ-カルボキシル化(以下Gla化)され、活性化します。
Gla化されたオステオカルシンは骨の石灰化(血液中のカルシウムが骨に沈着すること)を促す、つまり骨形成を促進させます。
ただこのGla化はカルボキシラーゼだけでは不十分であり、補酵素であるビタミンK2が必要となります。
そこでグラケーの登場です。
グラケーはビタミンK2製剤そのものであり、服用することでGla化が促進され、その結果骨が丈夫になるのです。
グラケーの副作用
胃部不快感、発疹、嘔気、嘔吐、頭痛などが報告されています。出現しても軽度であることが多く、安全性が高い薬です。
グラケーの相互作用と服用上の注意
併用禁忌の薬として、血液をサラサラにする薬であるワーファリン(ワルファリンカリウム)があります。ワーファリンの作用が減弱する可能性があるためです。
怪我などで出血した際、止血するためには”血液凝固因子”と呼ばれる蛋白質の働きが必要です。血液凝固因子はⅠ~ⅩⅢ(VIは欠番)の12種類があります。このうちⅡ、Ⅶ、Ⅸ、ⅩはビタミンKがないと作ることができません。
ワーファリンとビタミンKは構造が似ており、両者が拮抗することで4種類の血液凝固因子の生成が抑えられます。つまりワーファリンとビタミンKはお互い相反する作用であるため、効果が減弱するのです。
納豆、クロレラ、青汁はビタミンKを多く含むため、グラケー同様、ワーファリンとは併用禁忌です。これは有名ですね。
最後に服用上の注意を一つ。必ず”食後”で服用して下さい。グラケーは脂溶性ビタミンのため、吸収には食事中の脂肪が必要となります。
空腹時では吸収が大幅に低下するため、必ず食後で服用するようにしましょう。
それではグラケーについては以上とさせて頂きます。最後まで読んで頂きありがとうございました。