今回は鎮暈薬のトラベルミンについて解説します。

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トラベルミン配合錠とは?

 

名前の由来からいきます。トラベルミンTravelminと表記されますが、これは旅行の必需品ということから”Travel”、これに語呂をよくするために”ミン(min)”を追加することで命名されています。一般名はジフェンヒドラミン、ジプロフィリンになります。

 

トラベルミン配合錠の作用機序を簡単に説明すると「脳に作用することで乗物酔い(動揺病)やメニエール症候群によるめまい、吐き気を抑えるになります。

 

それではもう少し詳しくみていきましょう。

トラベルミン配合錠の作用機序と特徴

 

「乗り物酔いにはトラベルミン」。トラベルミンのキャッチコピーではありませんが、旅行には欠かせないという方も多いと思います。

 

乗り物酔いは、乗り物の揺れによって内耳の前庭迷路でリンパ液が振動し、実際の視覚情報との間に矛盾が生じることで発生します。

 

混乱した脳が化学物質(ヒスタミン・アセチルコリンなど)を分泌して嘔吐中枢を刺激し、胃酸・唾液の過剰分泌、消化管の痙攣が起きている状態なのです。

 

トラベルミン配合錠の成分のうち、ジフェンヒドラミンは脳内で抗ヒスタミン作用・抗コリン作用を発揮し、嘔吐中枢の興奮を抑制する作用を示します。

 

一方ジプロフィリンは内耳の血管を拡張することで血流を改善し、前庭迷路機能を抑制する効果を持ちます。他にも中枢神経を興奮させて抗ヒスタミン作用の副作用である眠気を防止するとともに、脳内の感覚情報の混乱を抑制します。

 

内耳の前庭迷路の興奮刺激は、めまいの時にも同様に発生しています。そのため、トラベルミンは乗り物酔いだけでなく、めまいやメニエール症候群にも効果を発揮することができるのです。

前庭迷路:内耳にある三半規管と耳石器を合わせた部分。平衡感覚や体の回転運動を把握するための機能を有しており、三半規管の中はリンパ液で満たされている。このリンパ液の振動や傾きで体の動きをキャッチしている。

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トラベルミン配合錠の副作用

 

トラベルミン配合錠では、使用している患者のうち8.7%に副作用の報告があります。1~5%の比較的高い頻度で発生する副作用は動悸、口渇、眠気、頭重感、倦怠感、めまいなどがあります。

 

他にも頻度不明ですが、頭痛や神経過敏などの精神神経症状、悪心・嘔吐、下痢などの消化器症状などの報告があります。

 

これらの症状が現れた場合は速やかにかかりつけ医師・薬剤師に指示を仰ぐようにして下さい。

トラベルミン配合錠の注意事項

 

トラベルミン配合錠は眠気の副作用が比較的高い頻度で発生します。そのため服用中は車の運転など、危険を伴う作業はしないように注意しなければいけません。

 

抗コリン作用を持っていることから、緑内障や前立腺肥大の患者では症状の悪化を招く危険性があるため禁忌とされています。

 

服用上の注意としては、トラベルミン配合錠はかみ砕くと苦みがあり、舌のしびれが現れることがあります。かまずにそのまま服用するようにしてください。

 

妊娠中の女性は基本的に服用を避けるべきでしょう。人間での催奇形性の報告はありませんが、動物実験によってその可能性が示唆されています。また、乳汁中に分泌されてしまうことから、服用中は授乳を避ける必要があります。

病院で処方されるものと市販のものは同じ?

 

市販されているトラベルミンは6種類存在していますので、それぞれ簡単に説明していきます。

 

トラベルミンの市販薬

・トラベルミン(大人):病院で処方されているトラベルミン配合錠とまったく同じ成分のものです。乗り物酔いの予防はもちろん、酔ってしまってからでも効果を発揮します。

・トラベルミンファミリー:メクリジンとスコポラミンが配合されており、5歳以上の子供から大人まで使用できるものです。水なしでも服用できるように加工されています。

トラベルミンR:これは11歳以上から使用できる医薬品となっています。ジフェニドール、スコポラミン、無水カフェイン、ビタミンB6が配合されており、眠気が出にくいように配慮されています。ただし、乗り物酔いの改善効果は多少見劣りしてしまうかもしれません。

トラベルミン・ジュニア:成分は大人用のものと同じものですが、配合量は半分になっています。5歳から15歳までの子供向けの酔い止めです。

トラベルミン1:15歳以上で使用できるもので、1日1回で効果を発揮できるタイプのトラベルミンです。メクリジンとスコポラミンが配合されており、水なしでの服用が可能なタイプです。

トラベルミンチュロップ:5歳以上から使用可能で、子供でも服用しやすい飴玉のようなタイプの医薬品です。クロルフェニラミンとスコポラミンが配合されており、眠気などの副作用が出やすいと考えられます。

 

それではトラベルミン配合錠については以上とさせて頂きます。最後まで読んで頂きありがとうございました。