メジコン（デキストロメトルファン）の作用機序と副作用|鎮咳薬

今回は非麻薬性鎮咳薬の「メジコン」についてお話していきます。

メジコンとは？

まずは名前の由来からいきましょう。”Medico”は医師や医薬を意味し、乾いた咳を音にすると「コンコン」。両者を組み合わせて「Medicon：メジコン」と命名されました。一般名はデキストロメトルファンです。

メジコンの作用を簡単にお話すると「延髄にある咳中枢に作用することで咳を鎮める」となります。それではまず咳が起こる仕組みと痰についてお話していきます。

風邪などで出る咳は本当につらいですよね。ですがこの咳、実は結構重要な役割を担っています。

例えば刺激のあるガスや細菌、ウイルス等の異物を吸い込んだ時、これらにより気道（空気の通り道）の粘膜にある咳受容体という部分が刺激されます。

するとその刺激が延髄の咳中枢に伝達され、反射的に咳が出ます。つまり咳は異物を体から排除するために起こる、生体防御反応の一つであり、なくてはならないものなのです。

また例えば風邪の場合、体に侵入した原因ウイルスは気道から分泌される粘液に取り込まれた後、白血球などの体の免疫システムと激しいバトルを繰り広げます。

この対決はそれは壮絶なもので、数多くのウイルス、白血球が息絶えます。粘液には両者の死骸が多く含まれています。これがいわゆる痰です。

痰は鼻からのどまで生えている線毛が小刻みに動く事により体外に排出されますが、気道に溜まった痰が咳受容体を刺激し、咳をする事でも排出されます。

先ほど咳は非常に重要な生体防御反応の１つである、とお話しましたが、咳は非常に体力を消耗します。咳1回で2キロカロリー消費すると言われるほどです。ひどい咳はやはり鎮める必要があります。

咳中枢に刺激が伝わると、咳中枢が横隔膜等に咳をするよう命令することで咳が出ます。だったらこの咳中枢をなんとかできれば咳を鎮める事ができると思いませんか？

そこでメジコンの登場です。

メジコンは延髄の咳中枢に直接作用し、多少の刺激では「咳をしろ！」という命令を出させないようにする作用を持ちます。

これにより咳が鎮まるというわけですね。この作用からメジコンは鎮咳（咳を鎮める）薬と呼ばれます。

主なものは吐き気、めまい、発疹、眠気ですね。眠気は人によっては強く出る可能性がありますので服用中は自動車の運転等危険を伴う機械の操作は避けるようにして下さい。

重大な副作用としては呼吸困難、蕁麻疹、血管浮腫などの症状が出現するアナフィラキシー様症状です。血管浮腫とは唇やのど、舌、皮膚などが腫れる病気で、特にのどが腫れると呼吸困難となりますので注意が必要です。

メジコンには併用禁忌の薬があります。モノアミンを分解するモノアミン酸化酵素（以下MAO）の働きを邪魔するMAO阻害薬であるエフピー（セレギリン）です。※（）内は一般名です。

メジコンにはモノアミンの１つ、セロトニンの量を増やす作用があり、エフピーによりセロトニンの分解を邪魔してしまうと、脳内のセロトニンの量が異常に増えてしまう可能性があります。

これにより不安な気持ちになったり、イライラしたり、興奮、震え、体が固くなる、発熱、動悸などの症状が現れるセロトニン症候群が出現する可能性があります。お薬手帳を忘れずに見せるようにして下さいね。

それではメジコンについては以上とさせて頂きます。最後まで読んで頂きありがとうございました。