コムクロシャンプーは頭部の尋常性乾癬に使用される外用剤です。
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コムクロシャンプーとは?
まず名前の由来からいきましょう。コムクロシャンプーはComclo Shampooと表記されますが、これは「快適な」を意味するComfortableと成分名のClobetasol:クロベタゾールの下線部を組み合わせて命名されています。
クロベタゾールはステロイド外用剤ではストロンゲスト(最強)に分類されます。
コムクロシャンプーの作用を簡単に説明すると「皮膚の炎症を抑えることで、頭部の尋常性乾癬の症状を改善する」になります。
それでは尋常性乾癬について解説していきたいと思います。
尋常性乾癬とは?
「尋常性乾癬」という文字だけを見てみると、ややこしくて非常に難しい病名のように感じてしまいますが、文字の意味を知ると何も難しい病名ではないということがわかります。
尋常性とは「普通の」「ありふれた」というような意味であり、言い換えてみれば『普通にありふれた乾癬』ということなのです。
乾癬患者の実に90%がこの尋常性乾癬にあたります。一般的に『乾癬』というと、この尋常性乾癬を指していると考えていいでしょう。
原因
乾癬の原因はまだ完全には解明されていませんが、遺伝的な要素が考えられている他に、環境因子(ストレスや生活習慣の乱れ、薬剤によるものなど)や糖尿病などの基礎疾患や肥満も原因の一つと考えられています。
ただし遺伝的な要素があるからといって100%発症するというものではなく、環境因子が必ず引き金になっているとも限りません。人種による発症率の差も報告されており、日本人では比較的遺伝的要素は低いというデータもあります。
また、病名から勘違いされることもあるようなのですが、人から人へ感染することは決してありません。
症状
皮膚の一部が盛り上がり、その部分のみが赤くみられるというのが特徴です(紅斑)。
皮膚の一部が盛り上がってしまう原因ですが、その部位の皮膚の成長速度が他の正常な皮膚に比べて非常に速くなってしまっていることが挙げられます。
最終的に行き場を失った皮膚の表面は、銀白色のフケのような状態になり(鱗屑)、皮膚表面からポロポロと剥がれ落ちていきます(落屑)。
このような乾癬の症状は一過性のものではなく、良くなったり悪くなったりするような状態を慢性的に繰り返していくというのが特徴です。
発疹自体は痛くも痒くもないという場合もあれば、軽いかゆみを伴う場合もあります。その場合はかゆみ止めなどの薬を使用することで対応します。
乾癬の発疹がよくみられる部位には頭や肘、膝、腰回りや臀部、太ももの間などがあります。
また乾癬が原因で、関節炎を発症する場合もあります。関節の腫れや痛みが現れた場合は乾癬が原因の可能性もありますので、主治医に相談するようにしましょう。
治療法
乾癬=この治療法、治療方針というように決まりきったものはありませんが、一般的にはステロイドやビタミンD3製剤の外用剤による治療がよく行われています。
その他にチガソン(エトレチナート)やサンディミュン(シクロスポリン)などの内服薬や紫外線療法、レミケード(インフリキシマブ)などの注射薬などが使われることもあり、これらの組み合わせによって症状の改善を図る場合もあります。
人によって好発部位や症状の経時的な変化が異なることが多くので、治療方針を症状の変化に合わせて変えていくことも重要であり、発症リスクや再発を抑える為にも生活習慣の見直しなども大切になってきます。
コムクロシャンプーの作用機序と特徴
乾癬による発疹がみられる部位では血管が拡張し、浮腫がみられ、肉芽腫と呼ばれる炎症細胞や線維芽細胞などの集合体がみられます。これらが原因となり皮膚の一部が肥厚した状態になっているのです。
コムクロシャンプーには血管収縮作用、浮腫抑制作用および肉芽腫抑制作用があり、これらの作用によって肥厚した皮膚を小さくしてくれます。
頭部の乾癬に関しては副作用の発生リスクの観点などからも薬剤の選択が難しく、QOL(quality of life:生活の質)の低下を招くことなどからも、既存の治療法では患者の満足度が十分には得られていないという現状がありました。
このような状況を受けて頭部の尋常性乾癬の為だけに開発されたのがこのコムクロシャンプーなのです。
ただ尋常性乾癬を根本的に治療するというわけではなく、簡単に説明すると「尋常性乾癬に伴う皮疹を改善する」というものであり、対症療法として使用される薬剤になります。
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コムクロシャンプーの副作用
国内における第Ⅲ相臨床試験では副作用の報告はありませんでしたが、海外における臨床試験および市販後調査などによると、皮膚の過敏症(灼熱感や疼痛、かゆみなど)や刺激感、色素沈着などが報告されています。
万が一そのような症状がみられた場合には医師または薬剤師に相談するようにして下さい。
コムクロシャンプーの注意事項
頭部に傷や皮膚感染症などがみられる場合は、その症状を悪化させる可能性がありますので使用を避ける必要があります。
また、コムクロシャンプーの用法・用量は以下となっています。
用法及び用量
通常、1日1回、乾燥した頭部に患部を中心に適量を塗布し、約15分後に水又は湯で泡立て、洗い流す。
コムクロシャンプー0.05%の添付文書より引用
液垂れにより目やまぶたに付着する可能性がありますので、頭部が乾いた状態で塗布するようにします。また洗い流す際も付着した場合は直ちに水で洗い流すようにして下さい。緑内障、白内障といった眼障害が発生する可能性があります。
未開封で室温保存されていれば3年間は安定ですが、開封後の安定性は4週間までしか確認されていません。そのため開封後4週間を経過したものは廃棄するようにして下さい。
またシャンプーという名称から、子供や薬であることを知らない大人が誤って使用する可能性がありますので、一般のシャンプーなどとは区別して保管するようにしましょう。
ちなみに小児以下に対しては、その使用経験がないことから安全性は確立されていません。
それではコムクロシャンプーについては以上とさせて頂きます。最後まで読んで頂きありがとうございました。