今回は高尿酸血症治療薬『ユリノーム』についてお話していきます。
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ユリノームとは?
まずは名前の由来からいきましょう。
尿酸は『uric acid』、正常化するは『normalize』。尿酸を正常化するという事で、両者の先頭を組合わせて『urinorm(ユリノーム)』と命名されました。
高尿酸血症の薬は尿酸(uric acid)を絡めた名前が多いですね。一般名はベンズブロマロンです。
作用を簡単に説明すると『尿酸の排泄を促すことで尿酸値を下げる』となります。それではもう少し詳しく見て行きましょう。
ユリノームの作用機序と特徴
ザイロリックの記事でも使用した図になります。尿酸は体の中でキサンチンオキシダーゼ(XOR)という酵素により「ヒポキサンチン → キサンチン → 尿酸」に代謝されます。
その後尿酸は腎臓の糸球体で全て濾過されますが、近位尿細管にある尿酸トランスポーター(URAT1)によりほとんど(90~94%)が再吸収されます。
つまり、実際尿として排泄される尿酸はごくわずかだということです。だったらこれを邪魔してしまえばって思いますよね?
そこで今回のユリノームです。
ユリノームは肝臓で代謝され、6-ヒドロキシ体になります。ユリノームと代謝物の6-ヒドロキシ体はURAT1に作用し、尿酸の再吸収を邪魔します。
これにより尿酸の排泄される量が増えることで尿酸値が下がるのです。
ユリノームはその作用機序から尿中の尿酸の量が増えることでpHが下がります。
すると溶けきれない尿酸が結晶化して尿路結石ができたり、腎臓に沈着することで腎臓の働きが悪くなってしまう危険性があります(尿酸は酸性で溶けにくく、アルカリ性で溶けやすい)。
そのためユリノームを使用する際は、水を多く飲み、ウラリットを併用するのが望ましいとされています。
ユリノームの効能効果、用法用量、消失経路
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ユリノームの注意事項
作用が結構強力なので、尿酸値が急激に低下する事があり、結果痛風発作を起こすことがあります。
その時はナイキサンなどのNSAIDS(非ステロイド性抗炎症薬)を使用します。場合によりステロイドも使用します。
また重度の腎機能障害のある方や腎結石のある方に投与すると、尿酸の排泄される量が増えることで症状が悪化する可能性があるため使用できません。
他にも肝機能障害のある方、妊婦にも使用できません。詳しくは副作用の項目をご覧下さい。
ユリノームの副作用
主なものは胃部不快感や下痢や発疹、痒みなどですが、特に覚えておいて頂きたいのは肝機能障害です。
服用開始6ヶ月以内に出やすいとされているため、少なくとも6ヶ月間は定期的な肝機能検査が必要となります。肝機能障害のある方には使用できないのはこのためです。
上で書いた胃腸障害や皮膚の症状は肝機能障害の初期症状である可能性があります。他にも黄疸などがあります。このような場合は直ちに病院を受診するようにして下さい。
またユリノームは動物で催奇形性(胎児の奇形)が報告されていますので、妊婦には使用できません。高尿酸血症・痛風は男性に多いですが、一応頭に入れておいてくださいね。
それではユリノームについては以上とさせて頂きます。最後まで読んで頂きありがとうございました。
出典:
ユリノーム錠25mg 添付文書・インタビューフォーム