今回はとびひの症状や原因、予防、また治療薬についてもお話していきます。

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とびひとは?

とびひの正式な病名は伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)です。とびひは”飛び火”に由来します。

 

細菌感染により皮膚に水ぶくれやかさぶたができ、他人に接触すると感染すること、またかゆみがあるため掻きむしる事で、飛び火のように体のあちこちに一気に広がることから「とびひ」と呼ばれるのです。

とびひの原因と種類、潜伏期間、症状、かかりやすい年齢、季節は?

まず知っていただきたいのは、基本的にとびひはいきなりできるものではないということです。

 

あせもや湿疹、傷などを引っ掻いたりすることでそこに細菌が入り込み感染することで起こります。

 

つまり皮膚が傷んでいる時に起こりやすくなるのです。

 

とびひは2つに分類され、原因となる細菌や症状が異なります。潜伏期間はいずれも2~10日程度となっています。

水疱性膿痂疹

水疱とは水ぶくれのことです。水疱が化膿して破れると皮膚がめくれてただれてしまいます。ちなみにこのただれをびらんと言います。

 

とびひの9割は水疱性膿痂疹であり、子供に多く見られます。

 

ただこの水疱、めちゃくちゃかゆいんですね。だから掻いてはいけないとわかっていても、無意識に掻いてしまい、あっという間に拡がってしまうのです。

 

原因となる菌は黄色ブドウ球菌です。黄色ブドウ球菌はぶっちゃけた話どこにでもいる菌です。当然私達の皮膚の上にもいます。

 

ただ健康な皮膚だと黄色ブドウ球菌は中に入り込めませんが、傷があるとそこから侵入して感染し、毒素を出します。その結果水疱ができてしまうのです。

 

黄色ブドウ球菌以外にも、少ないですが、A群β溶血性レンサ球菌(以下A群溶連菌)の単独、または黄色ブドウ球菌との重複感染も見られます。

 

水疱性膿痂疹は夏に多く見られます。

 

理由は汗をかくことであせもができやすくなること、虫に刺される機会も増えることなどがあげられます。

 

かかりやすい年齢ですが、6歳以下が多いです。

痂皮性膿痂疹

痂皮(かひ)とはかさぶたを意味します。水疱性膿痂疹と違うのは、化膿した水疱(膿疱)が破れた後、厚いかさぶたができることです。

 

こちらは基本的に痒みはなく、逆に痛みがあります。発熱やのどの痛みなどを伴うこともあります。こちらの方が症状としては重いですね。

 

原因となる菌はA群溶連菌と黄色ブドウ球菌

 

以前はA群溶連菌が多かったのですが、最近は黄色ブドウ球菌がメインとなりつつあり、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の割合が増えてきています。

 

痂皮性膿痂疹は、水疱性膿痂疹と異なり季節、年齢問わず発症します。

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とびひの治療法について

先ほどお話したように、原因は黄色ブドウ球菌とA群溶連菌です。これらを退治する薬、抗菌薬(抗生物質)を用います。

○経口薬(内服薬)

・ペニシリン系:オーグメンチン(アモキシシリン・クラブラン酸)

・セフェム系:ラリキシン(セファレキシン)、ケフレックス(セファレキシン)

・テトラサイクリン系:ミノマイシン(ミノサイクリン)

・リンコマイシン系:ダラシン(クリンダマイシン)

・ST合剤:バクタ・バクトラミン(トリメトプリム・スルファメトキサゾール)

 

○外用薬

・アクアチム軟膏(ナジフロキサシン)

・フシジンレオ軟膏(フシジン酸)

軟膏はただ塗るだけではなく、他人に接触しないようガーゼなどで覆うことが大切。

 

また、最近はフシジン酸に耐性のある黄色ブドウ球菌も増えてきており、感受性には注意が必要です。

 

他に水疱性膿痂疹の場合は痒みが強いので抗ヒスタミン薬などを処方したり、水疱の浸出液が多い場合は吸収目的で亜鉛華軟膏を処方する場合もあります。

とびひの感染経路と予防について

感染経路としては接触感染となります。

 

冒頭でもお話しましたが、とびひはいきなりなるものではありません。湿疹や虫さされなどは放置せず治療しましょう。また患部をいじらないことが大切です。

 

子供は口で言っても難しいかもしれませんので爪を短く切り、ヤスリもかけて対策しましょう。

 

あとは毎日お風呂に入る(シャワーでも可)事で体を清潔に保つことも大切です。タオルの共用も控えるようにして下さい。

プールはいつからOK?

プールについては完全に治るまでダメです。他の子供と接触する可能性が極めて高いため、治るまではお休みです。

 

またプールは消毒に塩素系消毒薬が用いられることがあります。

 

濃度が低いとはいえ、皮膚が刺激されることで症状が悪化する可能性もありますので控えるようにしましょう。

幼稚園や学校はいつから登園・登校OK?

明確に何日休むなどの指針はありませんが、厚生労働省の「保育所における感染症対策ガイドライン」では登園のめやすとして

皮疹が乾燥しているか、湿潤部位が被覆できる程度のものである

と記載されています。

 

水疱性膿痂疹であれば患部をガーゼで覆うなどしていれば基本的に感染しませんので、よほど範囲が広くなければ問題ないかと思われます。

 

ただ痂皮性膿痂疹の場合は発熱やのどの痛みなども現れますので、それが落ち着くまでは休んだ方がいいでしょうね。

とびひのまとめ

最後にとびひについてまとめます。

とびひのまとめ

・原因菌
A群溶連菌と黄色ブドウ球菌

・かかりやすい時期
水疱性膿痂疹:主に夏
痂皮性膿痂疹:季節関係なし

・かかりやすい年齢
水疱性膿痂疹:6歳以下
痂皮性膿痂疹:年齢関係なし

主な症状
水疱性膿痂疹:水ぶくれ、かゆみ
痂皮性膿痂疹:発熱、かさぶた、のどの痛み

・感染経路
接触感染

・治療薬
抗菌薬(抗生物質)
※必要に応じて解熱鎮痛剤、抗ヒスタミン薬、亜鉛華軟膏など

・ワクチン
なし

・登園・登校の目安
皮疹が乾燥しているか、湿潤部位が被覆できる程度

それではとびひ(伝染性膿痂疹)については以上とさせて頂きます。最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

・出典
学校、幼稚園、保育所において予防すべき感染症の解説

保育所における感染症対策ガイドライン