病院で処方された薬や病気についてわかりやすく解説します

生活保護受給者の原則後発品は今後の保険制度に多大な影響を及ぼす


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2018年度から生活保護受給者に対する処方では、原則として後発医薬品を使用する方針となりました。

 

現在も生活保護受給者への調剤においては、後発医薬品の使用を促すよう指導されていますが、それがより顕著な形となって発表されたわけですね。

 

生活保護受給者への後発医薬品調剤の原則化は、どのような影響を及ぼすのでしょうか。

医療費の削減効果

 

生活保護受給者への処方せん調剤をすべて後発医薬品で行った場合、当然ですが医療費の削減に高い効果を発揮します。

 

現状の日本は少子高齢化が進んでおり、一人当たりに必要となる医療費はどんどん増加しています。

 

医療の進歩によって慢性疾患を抱えながら寿命を全うすることも当たり前になり、新たな治療法や新薬の導入も常に行われている状況では、医療費が増大し続けるのは当然のことだと言えるでしょう。

 

そこで政府は、セルフメディケーションの推進などを用いて医療費の削減に乗り出しており、後発医薬品の使用促進もその一環なのです。

 

生活保護受給者には後発医薬品を使用するように指導されていますが、現状では強い拘束力はなく、薬局において後発医薬品推進に苦労する状況は多く見受けられます。

 

事実私の周りで調剤薬局に勤務する薬剤師は「生活保護で後発品を希望する人はまずいない」と口を揃えて言います。

 

もちろん後発医薬品でアレルギーを惹起したなど、なんらかの理由があるのであれば先発医薬品を選択するのは当然のことです。

 

ですが、ある調査では調剤薬局が後発医薬品を調剤できなかった理由の約70%が、特に理由はない本人の希望であり、医療的な判断が介在していないことが報告されています。

 

後発医薬品の原則処方が実施されれば、これらの理由のない本人の希望による拒否を回避でき、高い医療費削減効果を発揮できることでしょう。

 

厚生労働省の試算によれば、後発医薬品の使用率が1%上昇すれば、それだけで10億円以上の医療費削減につながるとされています。

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収入による医療格差の始まり?

 

アメリカなどの国では、医療に用いる健康保険を自分自身で用意することとなっています。

 

金銭的に余裕のある世帯ほど最新の医療を受けることができ、医療健康保険に加入できない貧しい世帯では最低限の医療すら困難になる状況で、収入による医療格差が生まれています。

 

その点日本では、国民皆保険制度が導入され、収入に関わらずすべての人が一律の医療を享受できるようにされています。これは本当に素晴らしいことです。

 

通常の医療を超えた部分では自費による保険外診療も実施されていますが、保険内診療で何ら問題のない医療が提供されているのです。

 

では、今回実施される生活保護受給者に対する原則後発品処方は、収入による差別であり、適正な医療を享受できないようにする悪法なのでしょうか?

 

いいえ、決してそんなことはありません。

 

後発医薬品はしっかりと生物学的な同等性が認められた医薬品です。国に認められた適正な医薬品を使用している以上、そこにあるのは差別ではなく、国民皆保険制度を守るための努力だと考えるべきでしょう。

 

さしたる理由もなく後発医薬品を拒否している人こそ、日本の国民皆保険制度を破たんさせる原因だとすら言えるのではないでしょうか。

 

このまま正当な理由なく後発医薬品を拒否し続け、国民皆保険制度が維持できなくなった時こそ、生活保護受給者が適正な医療を受けることができなくなる収入格差・医療格差が生まれる時なのです。

 

今現在の生活のみを見つめるのではなく、将来的な問題を考えるのなら、後発医薬品の原則処方はしかるべき措置なのです。

まとめ

 

日本では国民すべてが何らかの健康保険に加入し、適正な医療が受けられるように法制度が整備されています。生活保護受給者の場合、自己負担が掛からずに医療を受けることができるのです。

 

これは当たり前のように感じますが、収入に関係なく適正な医療を受けられる国は、限られた数しか存在しません。

 

この状況を維持するためには莫大な医療費がかかり、日本の財政はひっ迫した状況です。

 

その中で国も医療費削減のために様々な施策を行っていますが、医療費の増大する速度に比べれば間に合っていません。

 

生活保護受給者の原則後発医薬品調剤は、そういった状況を改善するための施策の一つであり、決して収入による医療格差を生み出すものではありません。むしろ現状を維持するために必要な施策なのです。

 

出典:厚生労働省HP:国民医療費・後発品医薬品の使用促進について

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