今回はかねてから噂がありました湿布薬70枚制限についてお話していきます。

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医薬品の適正給付~湿布薬の処方枚数制限について

 

新設される内容は以下となります。

 

改定案

1.湿布薬について、外来患者に対して1処方につき計70 枚を超えて投薬する場合は、当該超過分の薬剤料を算定しない。ただし、医師が医学上の必要性があると判断し、やむを得ず計70枚を超えて投薬する場合には、その理由を処方せん及び診療報酬明細書に記載することで算定可能とする。

 

【投薬 調剤料・処方料・処方せん料・調剤技術基本料】

入院中の患者以外の患者に対して、1処方につき70枚を超えて湿布薬を投薬した場合には算定しない。ただし、医師が疾患の特性等により必要性があると判断し、やむを得ず70枚を超えて投薬する場合には、その理由を処方せん及び診療報酬明細書に記載することで算定可能とする。

 

【投薬 薬剤料】

入院中の患者以外の患者に対して、1処方につき70枚を超えて湿布薬を投薬した場合は、当該超過分に係る薬剤料を算定しない。ただし、医師が疾患の特性等により必要性があると判断し、やむを得ず70枚を超えて投薬する場合には、その理由を処方せん及び診療報酬明細書に記載することで算定可能とする。

2.湿布薬の処方時は、処方せん及び診療報酬明細書に、投薬全量のほか、一日分の用量又は何日分に相当するかを記載する。

 

まず”湿布薬”となっていますが、これは鎮痛貼付剤を全て含みます。つまり売上ツートップのモーラステープやロキソニンテープも該当するということです。

 

要は外来患者や訪問診療を行っている患者に対して特別な理由がない限り、湿布を70枚超えて処方すると調剤料・処方料・処方せん料・調剤技術基本料は全く算定できなくなり、また薬剤料は70枚を超えた分は算定できなくなるというものです。

 

いや~これメーカー大打撃ですね。売上ガタ落ちですよ。

 

上でも書きましたが4月から湿布薬処方時は「処方せん及び診療報酬明細書に、投薬全量のほか、一日分の用量又は何日分に相当するかを記載」する必要があります。

<処方せん等への記載例>
以下のいずれでもよい。
例1 Mパップ 28枚 (1日2枚×14日)
例2 Mパップ 28枚 (14日分)
例3 Mパップ 28枚 (1日2枚)

厚生労働省 平成28年度診療報酬改定 医薬品の適性給付より引用

ちなみに記載方法は上記が例として挙げられています。

 

仮に同時に処方されている薬が30日分であれば湿布も30日分で処方しないと基本的にダメだと思います。だってそれを行ってこなかったから残薬問題に発展したんですからね。

 

薬によっては6枚、7枚、10枚包装などがありますので多少枚数がオーバーする場合もあるかと思いますが、限りなく同時に処方されている薬の日数に合わせた方が無難でしょう。30日分に対して70枚は許容範囲だと思います。

 

ただこれについては色んな意見があり、「同時処方の薬の日数に関係なく毎回70枚出しても大丈夫」だと言っている先生もいますね。また月に複数回受診して毎回湿布を70枚処方してもOKだとも。

 

確かにドラッグストアで購入するよりはトータルで安くなりますのでやる人はいるかもしれませんが、4月からいきなりやるのは危険だと思いますね。夏辺りに数ヶ月遡って軒並み査定されたら大変な事になりますから。しばらく様子をみたいと思います。

 

またどうしても70枚を超えて処方する必要があれば、その理由を処方箋とレセプトに明記すれば可能です。ただその理由がどこまで認められるか、ですね。この辺はオーダリングシステムのメーカーも医療機関も手探り状態です。

 

整形外科と違い、内科で湿布薬を処方する場合は大した検査もせず”患者の希望で”というケースが多いと思いますので、少なくとも内科では原則70枚までとし、どうしても必要な方だけ70枚を超えて処方するようにしておいた方がいいと個人的には思っています。

 

また「複数の湿布薬を処方すれば問題ないのでは?」という方もいるようですが、全ての鎮痛貼付剤の合計枚数が70枚までです。それがまかり通るなら結局何の制限にもならないでしょう。

 

当院は鎮痛貼付剤は70枚制限をかけ、湿布は通常入力しても検索結果ではヒットせずセット項目で選ばない限りは処方できないようにする予定でしたが、メーカーが対応してくれるとのこと。

 

初回だけは1日使用枚数等を医師に入力してもらう形になりそうです。70枚を超える場合の超過理由コメント、1日使用枚数を入力しないと処方箋が発行されないので、疑義照会ラッシュにはならないと思います。調剤薬局も4月から色々大変ですからね。迷惑がかからないようにしないと。

 

あと気をつけておきたいのが1日2回タイプの薬があるということ。1日2回タイプですとどうしても枚数が増えますので、1日1回タイプに採用品を絞ることも必要になってくるかもしれません。国の方はそれを考慮していませんからね。これもどうかと思いますよ、ホント。

 

また院内にも湿布は1回の処方につき70枚がMAXであり、内用薬に合わせた枚数しか原則処方できない旨を掲示することも現在検討中。このくらいしないと患者さんは納得しませんから。

 

患者さんには申し訳ないですが、足りない分はドラックストアで購入して頂くしかないかと思います。一時期湿布の保険外しの話もありましたので、いずれはそうなると思っておいた方がいいかもしれません。

 

それでは1処方につき湿布薬70枚制限については以上とさせて頂きます。最後までお読み頂きありがとうございました。