今回はエパデールについて解説していきます。
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エパデールとは?
まずは名前の由来から。成分であるEPA-E(イコサペント酸エチル) からEPADEL:エパデールと命名されています。SはSmall、Smooth、Seamless capsuleを表しています。
エパデールの作用を簡単に説明すると「コレステロールや中性脂肪を低下させたり、血栓ができるのを抑えることで血液の流れをよくする」になります。
エパデールの効能効果、用法用量は以下です。
効能・効果/用法・用量
閉塞性動脈硬化症に伴う潰瘍、疼痛及び冷感の改善
イコサペント酸エチルとして、通常、成人1回600mgを1日3回、毎食直後に経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。高脂血症
イコサペント酸エチルとして、通常、成人1回900mgを1日2回又は1回600mgを1日3回、食直後に経口投与する。ただし、トリグリセリドの異常を呈する場合には、その程度により、1回900mg、1日3回まで増量できる。エパデールSの添付文書より引用
エパデールの作用機序と特徴
エパデールは魚油であるイコサペント酸エチル(EPA)を高純度に精製した医薬品で、高脂血症や血流改善のために使用されています。
ちなみにエパデールにはビタミンE(トコフェロール)が添加物として配合されているのをご存知ですか?
EPAは非常に酸化されやすいという性質があります。医薬品としての品質管理のため、酸化防止剤としてビタミンEが配合されているのです。
さて、エパデールは日本でのみ医薬品として販売されており、日本が世界に先駆けて開発した医薬品です。主成分の不飽和脂肪酸であるEPAは、コレステロール・トリグリセリドの代謝に関与しています。
肝臓でトリグリセリドの原料である脂肪酸の合成酵素とトリグリセリドの合成酵素を阻害し、さらに脂肪酸の代謝を促進させる効果も持つことにより、トリグリセリド量を低下させます。
コレステロールに対する効果としては、主なものがコレステリルエステル転送蛋白(コレステロールエステル輸送タンパク質)(CEPT)の抑制です。
CEPTはVLDL・HDL・LDLの相互変換に作用する物質で、これを抑制することでHDLが減少するのを抑制し、LDLの合成を低下させています。
LDLが血液中に過剰になると小型化してしまい、より悪性の強いsd-LDLに変換されてしまうため、CEPTの抑制により、間接的にその発生を抑制することができるのです。
sd-LDLは酸化しやすいという特徴があります。なぜ酸化LDLが問題なのでしょう?それは私達の体が血管壁に入り込んだ酸化LDLを異物と判断するからです。
異物を排除しようと白血球の成分である単球がやってきて血管壁に入り込むと、マクロファージに変化します。マクロファージは酸化LDLが大好物!一心不乱にひたすら酸化LDLを食べまくります。
するとマクロファージがどんどん大きくなります(泡沫化)。マクロファージは酸化LDLを食べるのはいいですが、酸化LDLを消化する能力を持ち合わせていません。
酸化LDLを食べて満足したマクロファージは力尽きますが、中のコレステロールはそのまま残ってしまいます。それらが集まるとアテロームと呼ばれる粥状の塊を作ります。
アテロームが固まると血管壁が盛り上がり、プラークと呼ばれるコブを形成、血管が狭くなってしまいます。これがいわゆる動脈硬化です。
エパデールはVLDLを代謝させるリポ蛋白リパーゼ(以下LPL)の活性を高める作用を持ち合わせており、血液中のコレステロールが過剰に蓄積するのを抑えます。その結果マクロファージの泡沫化が抑制され、動脈硬化を防ぐことができるのです。
また、EPAは体内に取り込まれると構造が似ているアラキドン酸と置き換わります。するとアラキドン酸で作られるPGI2、トロンボキサン(以下TX)A2の代わりに、抗血小板作用を持つPGI3や血小板凝集作用を持たないTXA3が産生され、抗血小板作用を発揮するのです。
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エパデールの用法が食直後である理由は?
エパデールの用法は、食直後(食後10分以内)に指定されています。これはエパデールを空腹時に服用するとほとんど吸収されないためです。
EPAは魚油の製剤、つまり油なんです。吸収するためには胆汁などに含まれている脂質消化酵素が必要となります。
食直後でなければ吸収が低下するのは、この消化酵素が不十分になってしまうことが原因というわけですね。
エパデールの副作用
エパデールは安全性が高い薬ですが、重大な副作用として肝機能障害・黄疸の報告があります。食欲低下、皮膚や白目が黄色くなる(黄疸)、体がだるい(全身倦怠感)などが現れた場合は中止する必要があります。
その他の副作用としては、発疹・掻痒感などの過敏症、貧血、歯肉出血などの出血傾向、悪心・胃部不快感や下痢・食欲不振などの消化管症状、クレアチニン・BUNの上昇などの腎機能症状、頭痛・めまい・眠気などの精神神経症状、関節痛や筋肉痛などの筋骨格系症状、咳や呼吸困難などの呼吸器症状、ほてりやむくみ、倦怠感などの症状が報告されています。
エパデールの注意事項
エパデールには抗血小板作用があるため、出血しやすい状態になります。そのため消化性潰瘍などにより出血している場合には禁忌となり、月経期間にある患者や出血傾向の患者、手術予定の患者には慎重投与となっています。
ワーファリンやバイアスピリンが併用注意となっているのは同じ理由です。併用により出血傾向となりやすいため注意が必要となります。
また、エパデールはイワシの魚油を高純度EPAに精製して製剤化している医薬品です。不純物はほぼ完全に除去されているため、青魚アレルギーの患者に関してもそれほど問題になることはありません。
ただそれでも100%大丈夫とは言い切れませんので、一応頭には入れておくといいでしょう。
妊娠中・授乳中の服用に関しては情報が少ないものの催奇形性の報告はありません。ただ血液・胎盤関門は容易に通過しますし、母乳中にも移行してしまうため、できるかぎり服用を避けることが望ましい医薬品といえるでしょう。
くれぐれも自己判断せず、医師の指示に従って下さいね。
それではエパデールについては以上となります。最後まで読んで頂きありがとうございました。