ヒアレインとジクアスの違いは?点眼順序・しみる理由・LXを比較

ヒアレインとジクアスの違いは?効能と点眼順序、しみる理由を解説

ヒアレインとジクアスは、どちらもドライアイで処方されますが、眼表面への働き方、承認された効能、点眼回数、刺激の出方が異なります。ジクアスLXまで入ると、同じ成分でも1日3回という違いが加わります。

2剤を併用する理由と点眼順序、コンタクトレンズ、市販薬、薬価、しみるときの説明まで、添付文書・インタビューフォーム・ドライアイ診療ガイドラインをもとに整理します。

この記事でわかること
  • ヒアレインとジクアスの作用・適応・点眼回数の違い
  • 直接比較試験とガイドラインからみた効果の読み方
  • 併用時の点眼順序とジクアスがしみるときの対応
  • コンタクトレンズ・市販薬・薬価・ジクアスLXの最新状況

ヒアレインとジクアスの違いを一目で比較する

結論からいうと、ヒアレインは涙を抱え込んで眼表面を守る薬、ジクアスは眼表面から水分とムチンを出させる薬です。同じドライアイに使われても、狙う場所が違います。

いちばん大きい違いは「外から支える」か「自分の涙を出させる」か

涙は単なる水ではありません。水分、ムチン、脂質が薄い膜を作り、まばたきのたびに眼表面へ広がります。ドライアイでは、この膜が早く壊れたり、眼表面とのなじみが悪くなったりします。

ヒアレインの精製ヒアルロン酸ナトリウムは、水分を抱えるスポンジのように働きます。ジクアスのジクアホソルナトリウムは、涙を作る細胞の呼び鈴を押し、水分とムチンの分泌を促します。

効能・用法・禁忌・副作用・薬価を比較する

比較項目ヒアレインジクアスジクアスLX
成分精製ヒアルロン酸ナトリウムジクアホソルナトリウムジクアホソルナトリウム
主な働き保水、角膜上皮の接着・伸展を支える水分・分泌型ムチン・膜型ムチンを増やすジクアスと同じ作用に加え、涙液中脂質を増やす
承認された効能内因性・外因性疾患に伴う角結膜上皮障害ドライアイドライアイ
通常の回数1回1滴、1日5〜6回。症状により適宜増減1回1滴、1日6回1回1滴、1日3回
禁忌添付文書に禁忌の項なし成分への過敏症歴成分への過敏症歴
目立つ副作用眼のかゆみ、眼刺激など眼刺激、眼脂、充血、眼痛など眼刺激、眼脂など
薬価0.1% 192.9円/5mL瓶323.9円/5mL瓶770.5円/5mL瓶

薬価は2026年8月13日適用の薬価基準による1瓶の価格です。自己負担額は負担割合や調剤料などで変わります。

この表は優劣の順位ではありません。処方医は眼表面の状態、症状、点眼回数を続けられるか、刺激の出方などを合わせて選びます。

作用の違いと、どちらが効くかをどう考えるか

「どちらが効くか」は一言では決まりません。角膜の傷を見るのか、結膜を含む眼表面全体を見るのか、涙の膜のどこが崩れているのかで評価が変わるからです。

ヒアレインは保水と角膜上皮の修復を支える

精製ヒアルロン酸ナトリウムは、多数の水分子を抱え込みます。また、眼表面の足場となるフィブロネクチンを介し、角膜上皮細胞の接着と伸展を促すと考えられています。

つまり、乾いた表面に水分を長く置き、荒れた上皮が修復される環境を支える薬です。涙の分泌細胞へ直接命令して、水分やムチンを増やす薬ではありません。

ジクアスは水分とムチンの分泌を促す

ジクアホソルナトリウムは、結膜上皮と杯細胞にあるP2Y2受容体へ作用します。P2Y2受容体は、涙の材料を出す細胞に付いたスイッチのようなものです。

スイッチが入ると、水分と分泌型ムチンが増えます。さらに、角膜表面にある膜型ムチンの産生も促します。ムチンは水を眼表面へなじませる糊のような役割を持ちます。

つまり、涙の量だけでなく、涙が眼表面へ広がって留まる性質まで整えるのがジクアスの特徴です。

直接比較では評価項目によって結果が分かれた

ジクアスと0.1%精製ヒアルロン酸ナトリウムを4週間直接比べた試験では、角膜の傷をみるフルオレセイン染色スコアの改善は同等でした。

一方、角膜と結膜を合わせてみるローズベンガル染色スコアでは、ジクアスが上回りました。したがって「ジクアスのほうが強い」「効果は同じ」のどちらも、評価項目を省くと不正確です。

ドライアイ診療ガイドラインでは、一般のドライアイに対するヒアルロン酸点眼とジクアホソル点眼を、どちらも「実施することを推奨する」としています。シェーグレン症候群に伴うドライアイでは、ジクアホソルは「推奨」、ヒアルロン酸は「提案」です。

ただし、このガイドラインは2019年発行で、推奨は2017年末までの文献に基づきます。提案だから効かない、推奨だから必ず選ぶ、という意味ではありません。

承認適応と使い分けは同じではない

ヒアレインとジクアスは、添付文書で承認されている病名の範囲が違います。作用の違いだけでなく、処方目的を確認するうえで重要です。

ヒアレインは角結膜上皮障害、ジクアスはドライアイが承認範囲

ヒアレインは、シェーグレン症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群、ドライアイなどの内因性疾患に伴う角結膜上皮障害が対象です。術後、薬剤、外傷、コンタクトレンズ装用などによる外因性の角結膜上皮障害も含みます。

ジクアスの効能・効果はドライアイです。さらに、涙液異常に伴う角結膜上皮障害があり、ドライアイと診断された患者に使うよう注意が置かれています。

この違いがあるため、術後や外傷後の眼表面障害にヒアレインが処方されていても、ジクアスへ単純に置き換えられるとは限りません。薬の選択は診断と眼所見に基づきます。

ヒアレイン0.1%と0.3%は濃いほど上位ではない

ヒアレインは通常0.1%を使い、重症疾患などで効果不十分な場合に0.3%を使います。用量反応試験では濃度間の全般改善度に有意差はありませんでしたが、重症の角結膜上皮障害を対象にした層別解析では、0.3%がより有効である可能性が示されています。

0.3%を検討する場合も、0.1%で効果不十分なのか、点眼回数を守れているか、別の病態がないかを確認します。濃度だけを自己判断で変えず、処方元の評価に基づいて選びます。

ジクアスLXは同じ成分を長く留めて1日3回にした製剤

ジクアスLXは、通常のジクアスと同じ3%ジクアホソルナトリウム製剤です。LXだけに含まれるポビドンがムチンと水分の複合体を作り、眼表面での滞留を延ばすと考えられています。

つまり、成分を強くした製剤ではありません。同じ濃度の薬を長く留める設計に変え、1日6回から1日3回へ減らした製剤です。

通常のジクアスとLXを直接比べて有効性の優劣を検証した試験はありません。回数の少なさを、効果の強さと読み替えないことが大切です。

用法・用量と併用時の点眼順序

処方どおりの回数を守り、複数の点眼薬は5分以上あけます。ヒアレインとジクアスの併用では、原則としてジクアスを先にします。

1日の回数は製剤ごとに異なる

製剤添付文書の用法実務上の組み立て
ヒアレイン1回1滴、1日5〜6回。症状により適宜増減起床後から就寝前まで、処方回数を生活に割り当てる
ジクアス1回1滴、1日6回処方回数を起きている時間帯へ分け、減量は自己判断しない
ジクアスLX1回1滴、1日3回処方回数を生活に割り当て、増減は処方元へ確認する

回数を守れないときは、自己判断で減らすのではなく処方元へ伝えます。1日3回のLXが選択肢になることはありますが、供給、費用、眼所見も含めて処方医が判断します。

併用時は原則ジクアスから、5分以上あけてヒアレイン

  1. 手を洗い、コンタクトレンズを外します
  2. ジクアスまたはジクアスLXを1滴点眼します
  3. 静かに閉瞼し、目頭の涙嚢部を1〜5分圧迫します
  4. 5分以上あけてヒアレインを1滴点眼します
  5. 再び閉瞼し、涙嚢部を圧迫します

ヒアレインは眼表面へ長く留まるため、後に点眼する考え方です。ただし、ジクアスで強い刺激が出る場合は、ガイドラインにヒアレインを先にする例外も示されています。

点眼順序による効果差を直接検証した十分なデータはありません。ほかに懸濁性点眼液、ゲル化製剤、眼軟膏がある場合は順序が変わるため、処方元の指示を優先します。

点眼後は閉瞼し、涙嚢部を圧迫する

点眼後すぐに何度もまばたきすると、薬液が鼻へ流れます。閉瞼して目頭を軽く押さえると、薬を眼表面に留めやすくなり、鼻やのどへ流れる量も減らせます。

容器の先端をまぶた、まつ毛、眼球へ触れさせないことも重要です。汚染された容器は、長期使用する点眼薬では感染の原因になり得ます。

しみる・目やに・充血などの副作用をどう見るか

ジクアスでは眼刺激が比較的多く、しみることだけで直ちに効果不十分とは判断しません。ただし、強い痛みや視力低下は別です。

ジクアスの眼刺激は添付文書で5%以上

ジクアスの添付文書では、眼刺激が5%以上に分類されています。眼脂、結膜充血、眼痛、かゆみ、異物感、眼部不快感も記載されています。

承認時までの試験で眼刺激または眼痛が出ても点眼を続けた人では、79%が28日以内に消失しました。ただし、症状が強くて中止した例もあり、全員が自然に軽くなるという意味ではありません。

角膜の上皮障害が強いほど刺激が出る可能性が示されています。擦り傷に水がしみるのと似ていますが、刺激の原因を自己判断で決めず、痛みの強さと経過を処方元へ伝えます。

禁忌と、眼科へ連絡する症状

確認項目ヒアレインジクアス・ジクアスLX
禁忌添付文書に禁忌の項なし成分に対する過敏症の既往歴
よくみる症状かゆみ、刺激、眼脂、充血、異物感刺激、眼脂、充血、眼痛、かゆみ、異物感
角膜障害の記載びまん性表層角膜炎など糸状角膜炎、表層角膜炎、角膜びらんなど
対応異常があれば中止など適切な処置異常があれば中止など適切な処置

急な視力低下、激しい眼痛、強い充血、まぶしさ、膿のような眼脂、外傷後の悪化は、単なる点眼刺激として済ませません。点眼を続けるかを自己判断せず、早めに眼科へ連絡する症状です。

両剤とも、添付文書に重大な副作用の項は設定されていません。ただし、重大な副作用がないことと、異常を放置してよいことは別です。

コンタクトレンズ・妊婦・授乳婦・小児での注意

コンタクトレンズは原則外して点眼します。妊娠、授乳、小児では、添付文書の記載と治療上の必要性を処方元で確認します。

コンタクトレンズは原則外し、カラーコンタクトでは点眼しない

製剤装用中の扱い確認したい点
ヒアレイン点眼液原則として外す。装用中に使えるとの一律の承認記載はないマルチドーズ製剤で、クロルヘキシジンを含む
ヒアレインミニ原則として処方元の指示を確認する防腐剤はないが、レンズの種類まで確認する
ジクアス・ジクアスLX原則として外す。装用中に使えるとの一律の承認記載はない製品名とレンズの種類を処方元へ伝える
カラーコンタクト装用中の点眼を避ける安全性への影響が十分に検討されていない

レンズ素材と製品ごとに条件が違います。患者から聞かれたら、処方された製品名、レンズの種類、カラーの有無まで確認します。

妊婦・授乳婦・小児は添付文書の記載が2剤で異なる

ヒアレインは、妊婦では治療上の有益性が危険性を上回る場合にのみ投与するとされています。授乳婦では、治療上の有益性と母乳栄養の有益性を考慮し、授乳継続または中止を検討します。

ジクアスとジクアスLXには、妊婦・授乳婦の項が設定されていません。項がないことを、無条件に安全という意味へ読み替えないようにします。

小児については、3製剤とも小児を対象にした臨床試験が実施されていません。年齢だけで自己判断せず、処方目的と使用経験を処方元で確認します。

市販薬・後発品・薬価・供給状況の違い

市販のヒアレインSは、医療用ヒアレイン0.1%と同じ成分・濃度でも、承認された効能が違います。ジクアスとジクアスLXは処方箋医薬品です。

ヒアレインSは医療用ヒアレインと同じ濃度でも効能が違う

ヒアレインSは、目の乾き、異物感、疲れ、かすみ、コンタクトレンズ装用時の不快感を緩和する第2類医薬品です。効能に「ドライアイ」はありません。

添付文書の「してはいけないこと」には、ドライアイ、シェーグレン症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群、角膜感染症と診断された人が含まれます。

成分が同じでも、市販薬としては軽い目の乾きに使う承認です。診断後の継続治療を、市販薬へ自己置換する製品ではありません。

ヒアレインSの添付文書では、1週間ほど使って改善しない場合や、2週間を超えて使う場合に相談するよう求めています。急な視力低下や激しい眼痛がある人も使用対象ではありません。

ジクアスは処方薬で、LXの後発品はない

製品薬価後発品
ヒアレイン点眼液0.1%192.9円/5mL瓶精製ヒアルロン酸ナトリウム点眼液として多数あり
ヒアレイン点眼液0.3%235.2円/5mL瓶精製ヒアルロン酸ナトリウム点眼液として多数あり
ジクアス点眼液3%323.9円/5mL瓶ジクアホソルNa点眼液3%「ニットー」あり
ジクアスLX点眼液3%770.5円/5mL瓶なし

薬価は2026年8月13日適用の公定価格です。後発品は製品ごとに添加剤や容器が異なるため、コンタクトレンズや防腐剤が論点になる人では製品名まで確認します。

ジクアスLXは2026年8月時点で通常出荷

ジクアスLXは防腐剤濃度の低下が一部ロットで確認され、2024年5月から自主回収と出荷停止が続きました。対策後、2025年12月に限定出荷で再開しています。

医療用医薬品供給状況データベースでは、2026年1月19日から通常出荷です。2026年8月25日時点でも通常出荷を確認しました。供給状況は変わるため、調剤時は最新情報を再確認します。

ジクアホソルナトリウムの市販薬化は行政で検討されていますが、検討結果の公表と個別製品の承認・発売は別の段階です。2026年8月25日時点で、ジクアスを市販薬として購入できるとは扱いません。

患者には目的・回数・相談する症状をセットで説明する

点眼指導では、薬の名前だけでなく何を補う薬か、1日何回か、どの症状を連絡するかを一組で伝えます。

切り替え・併用・刺激の場面別に説明する

場面患者への説明例あわせて確認すること
ヒアレインから変更「今度の薬は涙の水分とムチンを眼から出させる薬です。前の薬と働き方が違います」変更理由、点眼回数、刺激歴
2剤を併用「原則はジクアスを先に1滴、5分以上あけてヒアレインを使います」ほかの点眼薬、眼軟膏、刺激の有無
ジクアスがしみる「刺激は起こり得ます。強い痛みや見え方の変化があれば、回数を変えずに処方元へ連絡してください」痛みの強さ、充血、視力低下、眼脂
LXへ変更「成分濃度は同じですが、眼に長く留まる設計で1日3回になりました」費用、供給、3回を続けられるか
ワンポイント・アドバイス
  • 処方監査では、ジクアスとジクアスLXの1日回数を最初に確認する
  • 併用順序は原則ジクアス、5分以上、ヒアレイン。刺激が強い場合は逆の指示もあり得る
  • コンタクトレンズは製品名・レンズ素材・カラーの有無まで聞く
  • しみる相談では、急な視力低下・激しい痛み・強い充血を先に除外する

よくある質問

ヒアレインとジクアスは一緒に使えますか?

併用されることがあります。原則はジクアスを先に1滴使い、5分以上あけてヒアレインを点眼します。刺激が強い場合などは順序が変わるため、処方元の指示を確認してください。

ジクアスはどのくらいで効果が出ますか?

効果を感じる時期には個人差があります。臨床試験では4週間後に評価されていますが、4週間を待てば必ず効くという意味ではありません。刺激や悪化があれば早めに処方元へ伝えます。

ジクアスがしみるのは効いている証拠ですか?

効いている証拠とはいえません。眼刺激は既知の副作用で、角膜上皮障害が強い人ほど出る可能性があります。激しい痛みや視力低下、強い充血があれば眼科へ連絡してください。

ヒアレインSを処方のヒアレイン代わりに使えますか?

自己置換はできません。同じ0.1%精製ヒアルロン酸ナトリウムでも、市販薬の効能は軽い目の乾きなどです。ドライアイと診断された人は使用しないよう添付文書に記載されています。

ジクアスLXの出荷停止は終わりましたか?

医療用医薬品供給状況データベースでは、2026年1月19日から通常出荷です。2026年8月25日時点でも通常出荷を確認しました。供給は変動するため、調剤時は最新情報を再確認します。

ヒアレインとジクアスの違いのまとめ

ヒアレインとジクアスの要点
  • ヒアレインは保水と角膜上皮修復を支え、ジクアスは水分とムチンの分泌を促す
  • 承認範囲はヒアレインが角結膜上皮障害、ジクアスとLXがドライアイ
  • 通常はヒアレイン1日5〜6回、ジクアス1日6回、ジクアスLX1日3回
  • 併用時は原則ジクアスを先にし、5分以上あけてヒアレインを点眼する
  • 刺激、コンタクトレンズ、市販薬への置換は自己判断せず製品ごとに確認する

まず確認したいのは、処方目的、製剤名、1日の回数です。次に、コンタクトレンズの種類と刺激症状を聞けば、服薬指導で外しやすい点を拾えます。

違いは「どちらが強いか」ではなく、眼表面のどこを支えるかにあります。処方医が眼所見と生活上の続けやすさを合わせて選ぶため、患者には目的と使い方を具体的に伝えます。

参考文献

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この記事を書いた人

あおい|病院薬剤師
感染制御認定薬剤師/日病薬病院薬学認定薬剤師

病院で働く薬剤師です。似た名前の薬や制度の違いを、添付文書・インタビューフォーム・厚生労働省の通知にあたって整理しています。記事には情報の時点を記載し、参考文献には版と日付を残しています。