今回は市販されている睡眠改善薬「ドリエル」についてお話していきます。ドリエルは第二類医薬品。ドラックストアやAmazonなどでも購入することができます。
ドリエルとは?
それではまず名前の由来からいきましょう。ドリエルはdrewellと表記されますが、これは”dream”と”well”を組み合わせて命名されています。一般名はジフェンヒドラミンです。
ドリエルの作用を簡単に説明すると「ヒスタミンがヒスタミン受容体に結合するのを邪魔することで眠気を引き起こす」となります。
ドリエルの作用機序と特徴
化学伝達物質(ケミカルメディエーター)の1つにヒスタミンがあります。このヒスタミンが脳内のヒスタミンH1受容体に結合すると脳の神経細胞が興奮し、覚醒します。
だったら多くの方はこう考えると思います。「ヒスタミンをヒスタミンH1受容体に結合させなければいいのでは?」
それを行うのが今回のドリエルです。
ドリエルは本来ヒスタミンが結合するはずのヒスタミンH1受容体に結合します。これによりヒスタミンがヒスタミンH1受容体に結合できなくなるため、覚醒が抑制される、つまり眠たくなるのです。
当サイトの他の記事をお読みの方は「これってどこかで読んだ気がする…」と思われたかもしれません。
そうなんです。ドリエルは実はくしゃみや鼻水、皮膚のかゆみを改善する抗ヒスタミン薬なんです。
抗ヒスタミン薬の代表的な副作用が眠気。この眠気を主作用として販売されているのがドリエルなんですね。
ドリエルの成分ジフェンヒドラミンは第一世代(要は古い)の抗ヒスタミン薬であり、脂溶性が高いという特徴があります。
脳には有害物質が簡単に入らないよう、血液脳関門(blood brain barrier、略してBBB)という血液と脳の間に関所のようなものが存在します。
血液脳関門を通過しやすい条件としては、例外はありますが、脂溶性である、分子量が小さい(500以下)などが挙げられます。
脂溶性が高いドリエルは脳に移行しやすい、つまり脳内のヒスタミンH1受容体に結合しやすいため睡眠改善薬として作用できる、というわけです。
スポンサーリンク
ドリエルとレスタミンコーワ錠・ベナ錠は同じもの?
結論から言いますといずれも成分はジフェンヒドラミンで同じです。ただし含有量と適応が異なります。
商品名 | 規格 | 適応 |
ドリエル | 1錠中25mg | 一時的な不眠の次の症状の緩和:寝つきが悪い、眠りが浅い |
ドリエルEX | 1カプセル中50mg | |
レスタミンコーワ錠・ベナ錠 | 1錠中10mg | じん麻疹、皮膚疾患に伴うそう痒(湿疹・皮膚炎)、春季カタルに伴うそう痒、枯草熱、急性鼻炎、アレルギー性鼻炎、血管運動性鼻炎 |
ドリエル、ドリエルEXの1回量はジフェンヒドラミン50mg。つまりレスタミンコーワ錠、ベナ錠5錠に相当します。
価格についてもみていきましょう。
商品名 | 価格 |
ドリエル | 6錠包装:1錠180円 12錠包装:1錠171円 |
ドリエルEX | 1カプセル396円 |
レスタミンコーワ錠・ベナ錠 | 1錠 5.8円 ※平成28年度薬価 |
1回量をみていくと…
ドリエル:360円or342円
ドリエルEX:396円
レスタミンコーワ錠・ベナ錠:29円
となります。
これだけみると「病院でレスタミンコーワかベナを処方してもらえばいい」と思われる方もいるかもしれませんが、これは絶対に止めて下さい。
他の記事でも書きましたが、近年医薬品の適正使用が厳格化されてきており、医薬品副作用被害救済制度の対象とならない場合があるからです。
医薬品副作用被害救済制度とは医薬品の副作用で健康被害(入院治療が必要だったり、日常生活が著しく制限される程度)を受けた患者様が給付を受けることができる制度です。
その条件の1つとして「医薬品の使用目的・方法が適正であったとは認められない場合」があります。
レスタミンコーワは安全性の高い薬ではありますが、万が一重篤な副作用が発現した場合、全て自己責任となってしまいますので十分注意して下さいね。
ドリエルの副作用と注意事項
ドリエルの副作用にはめまい、日中の眠気、頭痛、頭重感、倦怠感が主な副作用になります。他にも発疹、発赤、かゆみ、動悸、吐き気、排尿困難、口渇なども報告されています。
またドリエルの成分ジフェンヒドラミンは市販の風邪薬、乗り物酔い薬などにも多く含まれていますので、薬局で購入する際は、薬剤師にご相談下さい。
それではドリエルについては以上とさせて頂きます。最後まで読んで頂きありがとうございました。