人間は生涯の内、約1/3を睡眠の時間に費やすと言います。良質な睡眠は心身の健康の元でもあり、仕事を効率よくこなすのにも必要です。ところが、「長時間寝たのに頭がすっきりしない。」「目覚めが悪い。」というようなこともありますね。

 

同じように寝ているのにぐっすり眠れる時と眠れない時がある。これはいったいどのようことが原因で違ってくるのでしょうか?そして快適な睡眠を得るための寝方とは?

 

実は、睡眠状態にはレム睡眠とノンレム睡眠という2種類の睡眠状態があり、この2つの睡眠の取り方によって「眠りの質」は変わってくるのです。

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レム睡眠とは?

 

レム睡眠は正しくはREM睡眠と書き、REMは「Rapid Eye Movement(急速眼球運動)」の略です。眠りの深さは浅く、寝ているにもかかわらず眼球はキョロキョロ動いている。それがREM睡眠の名付けの元であり、最大の特徴です。

ノンレム睡眠とは?

 

ノンレム睡眠(Non-REM睡眠)はレム睡眠とは逆に眼球運動を伴わない深い睡眠状態のことを言い、更に、その睡眠の深さによって4段階に分けられています。

 

特に、眠りに就いてから30分から1時間で到達する一番深い眠りのことを「徐波睡眠」と言い、この時に最も成長ホルモンが分泌されると言われています。

レム睡眠とノンレム睡眠 それぞれの違い

 

眼球運動を伴うかどうかでレム睡眠とノンレム睡眠が区別されているということはお分かりいただけたかと思いますが、それでは一体どうして、レム睡眠とノンレム睡眠という二つの睡眠状態が必要なのでしょうか。

 

それを知るには、それぞれの眠りの違いと特徴を比べてみると見えてくるかもしれません。

ノンレム睡眠の特徴

脳では脳温が下がり代謝や活動量も低下するなど、脳は休息状態となっています。この時は夢を見ることもほとんど無いと言われています。また、入眠後の深い睡眠(徐波睡眠)時には成長ホルモンも活発に分泌され、組織の増殖や損傷の修復が図られています。免疫力も高まっている状態です。

 

眠りが深くなるにつれて呼吸数や脈拍は安定してきますが、その反面、体は完全に脱力するわけではなく体を支える筋肉の緊張は残っています。これらのことから、ノンレム睡眠時には体の休息も行われていますが、主に大脳の完全休息のためにあると考えられています。

レム睡眠の特徴

レム睡眠時には、体は休息しているものの、眠りは浅く脳は半分活動している状態です。夢を見るのも、このレム睡眠の時間だと言われています。また、眼球の急速運動はありますが体の筋肉はリラックスし、呼吸や脈拍は不規則になります。

 

では、体を休息させるのがレム睡眠の役割でしょうか?いいえ、それだけではありません。

レム睡眠が多いほど記憶力アップ?

こんな研究結果があります。

 

レム睡眠と学習効果の関係を調べる研究で、複数人に同一の記憶学習を繰り返し行い途中で睡眠を取らせるよう実験を行ったところ、レム睡眠の割合が多い人ほど学習内容を記憶した割合も多いという結果が出たのです。

 

レム睡眠中は体が休んで頭だけが働いている状態のため、脳は体に余計な指令を出す必要がなく、情報処理に専念することができるためだと考えられています。つまり、脳の完全休息状態のノンレム睡眠に対し、体の休息と記憶の整理固定をするのがレム睡眠の役割と言えそうです。

 

そして、1日の睡眠の中でレム睡眠とノンレム睡眠は交互に繰り返し、睡眠サイクルを作っています。

 

人は、睡眠状態に入ってまず初めに、ノンレム睡眠の中でも一番深い眠りの状態に入ります。その後はだんだんと覚醒の方向に向かいレム睡眠状態に到達し、またノンレム睡眠の深い眠りへと向かい、浅いレム睡眠へと覚醒するということを繰り返すのです。

 

この睡眠サイクルはだいたい90分を1サイクルで繰り返しますが、一晩の中でずっと一定ではなく、第3・第4段階の深い眠りは前半に、レム睡眠などの浅い眠りは後半に多く出現することがわかっています。

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なぜレム睡眠とノンレム睡眠という2つの睡眠状態が必要なのか

・睡眠中に脳の働きが低下しすぎるのを防ぐために時々覚醒に近い状態に戻す
・睡眠中、外敵から攻撃されやすい完全な休息状態を減らす

など所説ありますが、この睡眠サイクルや記憶の処理能力向上を見ると、レム睡眠を何度か繰り返すことで脳を少しずつ目覚めさせたり、レム睡眠時に大脳の莫大な情報の整理を行ったりすることが、レム睡眠の大きな役割の一つなのではないかと推察されます。

 

レム睡眠 ノンレム睡眠
状態 ・急速眼球運動を伴う
・浅い眠り
・夢を見る
・呼吸や脈拍は不規則
・体は完全に脱力
・眼球運動を伴わない
・深い眠り(4段階)
・夢を見ることはほとんどない
・呼吸や脈拍は安定し減少する
・体を支える筋肉は緊張している
役割 ・体の休息
・記憶の整理、固定
・大脳の情報処理
・大脳の休息
・成長ホルモンの分泌
・免疫機能が活性化
・組織の増殖、損傷の修復

まとめ

 

人の眠りには、深い眠りで脳を休ませるノンレム睡眠と、浅い眠りの内に体を休ませ脳の記憶整理を行うレム睡眠があることがわかりました。特に、「よく寝た!」と言う感覚を得るためには、深い眠りであるノンレム睡眠が重要です。

 

眠り始めてからいち早く深い睡眠である徐波睡眠に到達すること。そして一晩の中でノンレム睡眠のトータル時間が長いこと。この2つが快眠の条件だと言われています。

 

快適な睡眠は作業の効率化や心身の健康にも影響するもの。ぜひ「睡眠のメカニズム」を理解して、上質な睡眠、気持ちのいい目覚めを手に入れてください。

 

それではレム睡眠とノンレム睡眠の違い・特徴については以上とさせて頂きます。最後まで読んで頂きありがとうございました。