今回はパーキンソン病治療薬のネオドパストン・メネシットについてお話していきます。

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ネオドパストン・メネシットとは?

 

それではまず名前の由来からいきましょう。MENESIT:メネシットの由来は海外での製品SINEMETの綴りを並べ替えています。ネオドパストンには特に由来はないようです。

 

どちらの製剤もレボドパカルビドパの2成分を含む配合剤です。レボドパとカルビドパが10:1の比率で含まれています。

 

ネオドパストン・メネシットはパーキンソン病の症状である手足の震え(振戦)や、筋肉のこわばり(筋固縮)、動きが遅くなる(無動)、体のバランスがとりにくくなる(姿勢反射障害)などの神経症状に効果を発揮する薬です。

 

それではまずパーキンソン病について簡単にお話していきたいと思います。

パーキンソン病とは?

 

パーキンソン病は、1817年にジェームズ・パーキンソン医師によって初めて報告されたので、このような病名になりました。

 

パーキンソン病は、なめらかな動きが出来なくなっていく病気で、主な症状に「手足のふるえ(振戦)」「筋肉のこわばり(筋固縮)」「動きが遅くなる(無動)」「体のバランスがとりにくくなる(姿勢反射障害)」の4つがあります。

 

体を動かすためには、脳から筋肉へと運動の指令が伝わらなければなりません。脳からの指令を伝達するために必要なのがドパミンやアセチルコリンなどの神経伝達物質です。

 

パーキンソン病では脳の黒質というドパミンが作られる部分が変性し、破壊されてしまうためドパミンの量が減少しています。

 

健常な方ですとドパミンとアセチルコリンのバランスが取れていますが、パーキンソン病の患者様はドパミンが少なくなることで相対的にアセチルコリンが多くなってしまうのです。

 

そのため、運動の指令がうまく伝わらず、体をなめらかに動かすことができなくなるのですね。

 

またドパミンは体の動きを調節する以外にも意欲や記憶など精神面でも重要な物質なので、うつや幻視、認知症などがみられたり、体中の働きを調節する「自律神経」が乱れることで便秘や立ちくらみ、排尿障害、発汗障害など様々な症状が現れます。

 

黒質の神経細胞が減る原因は未だ解明されていないため、現在パーキンソン病は特定疾患(難病)に指定されています。

 

また向精神薬の一部にはドパミン受容体を遮断する作用があるものがあり、副作用としてパーキンソン病と同様の症状が現れる場合があります。これを薬剤性パーキンソニズムと言います。

 

具体的には抗精神病薬のセレネース(ハロペリドール)などに加え、カルスロット(マニジピン)などの高血圧薬でもみられる場合があります。

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ネオドパストン・メネシットの作用機序と特徴

 

パーキンソン病治療薬には以下の様なものがあります。

パーキンソン病治療薬の種類
1.脳内で分解されてドパミンになる薬(L-ドパ)
2.ドパミンを分解する酵素(MAOB)を阻害する薬
3.レボドパを分解する酵素(DDC)を阻害する薬
4.レボドパを分解する酵素(COMT)を阻害する薬
5.本来ドパミンが結合する部分(受容体)に結合する薬
6.ドパミンの放出を促す薬
7.アセチルコリンの働きを弱める薬
8.脳内で分解されてノルアドレナリンになる薬
9.アデノシンの働きを弱める薬
10.ドパミンの合成を促す薬

 

ネオドパストン・メネシットは上記の

「1.脳内で分解されてドパミンになる薬(L-ドパ)」
「3.レボドパを分解する酵素(DDC)を阻害する薬」

に当てはまります。

 

レボドパはドパミンの前駆物質であり、腸管から吸収されて血液脳関門を通過し、脳内でドパミンになることで、パーキンソン病症状の改善に役立ちます。

 

これだけ読むと、レボドパさえあれば何も問題ないような気がしますよね。

 

しかしレボドパは腸管や血管に存在しているドパ脱炭酸酵素(DDC)、カテコール-O-メチル基転移酵素(COMT)によりほとんどが分解され、脳へ移行するのはわずか数%。これでは十分な効果を発揮することができません。

 

ただ単純にレボドパの投与量を増やすと、食欲不振や悪心などの胃腸症状や不整脈などの副作用が出る危険性があります。

 

ではどうすればいいか?この問題を解決してくれるのが、カルビドパになります。

 

カルビドパはレボドパを分解する酵素であるドパ脱炭酸酵素を阻害します。レボドパとカルビドパを一緒に服用することで、レボドパが脳以外で分解されなくなり、脳への移行が高まる、というわけですね。

 

カルビドパを併用することで、レボドパの量は単独投与時と比べて4分の1から5分の1と少量で済み、副作用も少なく抑えることができます。またカルビドパは血液脳関門を通過しないので、脳内でレボドパがドパミンに変化するのを妨げません。

 

レボドパのみの服用時に比べて薬効の持続時間が延長することから「一日中安定した効果が得られる」「効果が早く現れる」などと良い点が多く報告されています。

ネオドパストン・メネシットの副作用

 

ネオドパストン・メネシットの副作用には、吐き気や悪心・食欲不振などの消化器症状、起立性低血圧、めまい、不整脈、不安や幻覚・妄想などの精神症状などが報告されています。

 

またパーキンソン病治療薬全般に見られる副作用にジスキネジアがあります。

 

ジスキネジアは自分の意思に反して体が勝手に動いてしまう(不随意運動)の総称であり、口をモグモグさせる・すぼめる・突き出す、舌を左右に動かす・突き出すといった症状があります。この場合原因となる薬剤の減量、中止、他剤への変更等で対応します。

 

続いてウェアリング・オフ現象。L-ドパ製剤を服用していてもパーキンソン病は進行し、神経細胞は減少していきます。すると余ったドパミンを再取込してストックすることができなくなるため、結果L-ドパの作用時間が短くなり、薬の効かない時間が出てきます。

 

ウェアリング・オフ現象の対応としてはL-ドパ製剤の1日量を変えずに服用回数を増やしたり、ドパミンアゴニストやドパミンを分解する酵素(MAO)を阻害する薬(エフピー)、レボドパを分解する酵素(COMT)を阻害する薬(コムタン)を追加します。

 

他にも前兆なく突然眠り始めてしまう突発的睡眠が起こる場合もありますので、服用中は自動車の運転や機械の操作、高所作業等危険を伴う作業は避ける必要があります。

 

稀ではありますが、悪性症候群がみられる場合もあります。急な増量、減量、中止などにより高熱や意識障害、ショック等が現れる場合があります。自己判断で薬の量を変更するのは避けましょう。

 

またL-ドパには抗コリン作用があるので、閉塞隅角緑内障の方には禁忌、また糖尿病の方、気管支喘息や重篤な心・肺疾患のある方には慎重投与となっていますので注意が必要です。

 

それではネオドパストン・メネシットについては以上とさせて頂きます。最後までお読み頂きありがとうございました。