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トラムセット配合錠の作用機序と副作用|非麻薬性鎮痛薬

患者と看護師

今回は非麻薬性鎮痛剤の「トラムセット」についてお話していきます。

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トラムセットとは?

 

まずは恒例名前の由来からいきましょう。本剤は”Tramadol:トラマドール”と”Acetaminophen:アセトアミノフェン”の配合剤になります。前者から”Tram”、後者から”cet”を抜き出し組み合わせTramcet:トラムセットと命名されました。

 

トラムセットの作用を簡単に説明すると、「オピオイド受容体を刺激する事で痛みの伝達を抑え、また痛みを抑える神経を活性化させる。更に脳に働きかけ痛みの閾値を上昇させる。となります。

トラムセットの作用機序

 

トラムセットは1錠中トラマドールを37.5mg、アセトアミノフェンを325mg含有しています。まずはトラマドールの作用機序からいきましょう。

トラマドールの作用機序

トラマドールは脊髄後角のオピオイドμ受容体を刺激することで侵害刺激伝達が抑える作用と、下行性痛覚抑制系を活性化する作用を持っています。

 

まずは侵害刺激伝達の抑制について。侵害刺激は「組織が傷害されるほどの強い刺激」と思って頂ければよろしいかと思います。

 

オピオイド受容体は脳、脊髄、末梢神経などに存在し、”μ(ミュー)”、”δ(デルタ)”、”κ(カッパ)”の3つのサブタイプ(種類)があることがわかっています。中でも主にμ受容体が強い鎮痛作用と関係しています。

 

トラマドールが脊髄後角のオピオイドμ受容体に作用すると侵害刺激が脳に伝わるのを抑えることができます。また大脳皮質にも働きかけ、痛みの闘値を上昇させる、つまり”痛みを感じにくくする”作用もあります。

 

続いて後半の下行性痛覚抑制系の活性化について。例えば何らかの原因で指を怪我したとしましょう。するとその刺激が神経を伝って脊髄を通り、脳に伝わると私達は『痛い!』と感じるわけです。

 

それとは逆に脳から指先に向かって流れている神経があり、これを下行性痛覚抑制系といいます。下行性痛覚抑制系は文字通り痛みを抑える作用を持っています。

 

そしてこの下行性痛覚抑制系は神経伝達物質であるセロトニン、ノルアドレナリン(これらをモノアミンといいます)により活性化する事がわかっています。つまりセロトニン、ノルアドレナリンを増やしてあげれば痛みが抑えられるのです。

 

ここで神経細胞間の情報伝達について簡単にお話します。神経細胞の末端はシナプスと呼ばれる構造を持っています。神経細胞同士はくっついておらず、数万分の1mm程度離れており、この隙間をシナプス間隙といいます。

 

そして情報を伝達する側のシナプスを前シナプス、情報を受け取る側のシナプスを後シナプスといいます。

 

前シナプスからモノアミンがシナプス間隙に放出され、それが後シナプスに到達し受容体と結合することで情報が伝達するようになっています。

 

モノアミンは情報の伝達を終えると、前シナプスにあるモノアミントランスポーターにより取り込まれ再利用されます。そしてトラマドールはこの取り込みを邪魔する作用を持ちます。

 

その結果シナプス間隙のセロトニンとノルアドレナリンの量が増加するため下行性痛覚抑制系が活性化します。これにより痛みを抑える事ができるのです。

アセトアミノフェンの作用機序

続いてアセトアミノフェンの作用機序ですが、こちらは未だにハッキリとは解明されていません。考えられているのは視床と大脳皮質に作用することで痛覚閾値の上昇、つまり痛みを感じにくくする作用により鎮痛効果を発揮するとされています。

 

ロキソニンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)と違い、末梢でのシクロオキシゲナーゼ阻害作用は弱いとされており、抗炎症作用はほとんどありません。

 

トラムセットは1日4回、4時間以上の間隔をあけて服用します。モルヒネとの比較ですが、トラマドールは経口モルヒネの約1/5の鎮痛効果を有しているとされています。

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トラムセットの副作用

トラマドールの副作用

オピオイドμ受容体にはμ1受容体とμ2受容体があります。それぞれの作用を以下にまとめます。

μ1受容体:鎮痛、悪心・嘔吐、尿閉、痒み、縮瞳など
μ2受容体:鎮痛、鎮咳、鎮静、便秘、依存、呼吸抑制など

 

トラマドールはμ受容体を刺激しますので、上記のような症状が副作用として出現する可能性があることがわかります。中でも多いのが悪心、嘔吐、傾眠、便秘浮動性めまいですね。

 

吐き気が強い場合にはプリンペランやナウゼリン、便秘が強い場合には酸化マグネシウムプルゼニドアローゼンラキソベロンなどが処方されることがあります。

 

傾眠やめまいがみられる可能性があるため、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事してはいけません。服用中はアルコールの摂取も控えましょう。

アセトアミノフェンの副作用

続いてアセトアミノフェン。こちらは肝機能障害に注意が必要です。発生機序について簡単にお話しておきます。

 

アセトアミノフェンは主にグルクロン酸抱合、硫酸抱合にて代謝されますが、一部は肝薬物代謝酵素CYP1A2、CYP2E1、CYP3A4により代謝され、特にCYP2E1によりN-アセチル-p-ベンゾキノンイミン(NAPQI)が生成します。このNAPQIが毒性を持ち、肝細胞に障害を与えます。

 

通常量服用する分にはNAPQIはグルタチオン抱合されきちんと体外に排泄されますが、過量投与された場合、解毒に必要なグルタチオンが不足してしまいます。その結果肝機能障害が発現するというわけです。

 

アルコール中毒の方や肝臓に疾患のある方、絶食状態、低栄養状態の方などは特に注意が必要です。またアセトアミノフェンは市販の風邪薬に多く含まれています。トラムセット服用中は併用しないようにしましょう。

トラムセットの相互作用について

 

トラムセットの成分トラマドールには併用禁忌の薬があります。モノアミンを分解するモノアミン酸化酵素(以下MAO)の働きを邪魔するMAO阻害薬であるエフピー(セレギリン)です。※()内は一般名です。

 

トラマドールは作用機序の項でお話した通りモノアミンであるセロトニンとノルアドレナリンの量を増やす作用があります。エフピーによりこれらの分解が邪魔されてしまうと、脳内のセロトニンとノルアドレナリンの量が異常に増えてしまう可能性があります。

 

これにより不安な気持ちになったり、イライラしたり、興奮、震え、体が固くなる、発熱、動悸などの症状が現れるセロトニン症候群を含む中枢神経系(攻撃的行動、固縮、痙攣、昏睡、頭痛)、呼吸器系(呼吸抑制)及び心血管系(低血圧、高血圧)の副作用が発現する危険性があります。

 

ただしエフピーと同時に服用するのはダメですが、エフピー中止後14日経過していれば影響はないとされています。逆の場合はトラムセット中止後2~3日間隔をあければエフピーを服用することができます。お薬手帳を忘れずに見せるようにして下さいね。

 

それではトラムセットについては以上とさせて頂きます。最後まで読んで頂きありがとうございました。

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