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ハーボニー(レジパスビル・ソホスブビル)の作用機序と副作用

夫婦

今回は慢性C型肝炎の治療薬ハーボニー配合錠についてお話します。ちなみに薬価は1錠54796.9円(平成28年4月時点)です。

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ハーボニーとは?

 

まず名前の由来からいきたいところですが、ハーボニーには特に由来はないようです。一般名ですが2剤の配合錠となり、レジパスビル・ソホスブビルになります。ソホフスビルは以前解説したソバルディになります。

 

ハーボニーの作用機序をまとめると「HCVが増殖する時に必要なタンパク質、酵素の働き邪魔することでウイルスを除去する」 となります。それではまず、C型慢性肝炎についてお話していきましょう。

C型慢性肝炎とは?

 

何らかの感染経路(血液感染)によりC型肝炎ウイルス(HCV)に感染すると肝臓に炎症が起こります。この炎症が続くことで肝臓の細胞が壊れて働きが低下してしまう、これがC型慢性肝炎です。

 

C型慢性肝炎のやっかいな所は自覚症状に乏しい事。HCVに感染すると7割は自然治癒せず、持続的に感染します。特に感染初期は症状が出現しにくいため、症状を自覚した時には病気が結構進行しているケースもあります。

 

C型慢性肝炎が治療されずにいると肝硬変や肝臓がんを引き起こす可能性があります。実際肝臓がんの方の7~8割がC型慢性肝炎であったと言われており、早期発見・治療が望まれます。

 

■HCVの種類

遺伝子型 日本人における割合 インターフェロンの有効性
1a ほぼゼロ 効きにくい
1b 約7割
2a 約2割 効きやすい
2b 約1割

C型肝炎は遺伝子の型(ジェノタイプ)により1a、1b、2a、2bの4つに大きく分類され、1bが日本人に多いとされ、ジェノタイプ1(1aと1b)はインターフェロンが効きにくいと言われています。

 

ハーボニーの適応は”ジェノタイプ1のC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善”となっています。ソバルディはリバビリンと併用してジェノタイプ2のみの適応でしたが、レジパスビルとの2剤併用でジェノタイプ1にも使用可能となっています。

 

ちなみに代償性肝硬変とは、肝硬変の中でもある程度肝臓の機能が残っている状態を意味します。肝細胞が壊れていってもまだ生きている肝細胞が代わりとなるまさに代償、日本語そのままですね。

 

これが進行すると非代償性肝硬変となります。代償性肝硬変の「非」、つまり否定ですから、肝細胞が多く壊れてしまい、残った細胞が少ないため代わりが効かない、つまり肝臓が正常に機能しなくなった状態を言います。

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ハーボニーの作用機序と特徴

 

ハーボニーは直接作用型抗ウイルス剤(Direct-actingAntiviral Agents:DAA)と呼ばれます。文字通り直接HCVに作用することで排除する薬です。HCVはRNAウイルスです。細菌は自分自身で増殖できますが、ウイルスはそれができません。

 

例えれば細菌が「設備の整った工場」であり、ウイルスは「設計図(RNA)を持つがそれを作る設備がない」などと言われることがあります。つまり細菌は栄養(材料)さえあれば工場内で増殖できます。しかしウイルスは設計図しかないので、材料がいくらあっても設備がないため作ることができないのです。

 

そこでウイルスは生きた細胞に侵入し、設計図をすり替えます。すると工場ではその設計図を元に増殖に必要なタンパク質や酵素などが作られ、結果としてウイルスが増殖する事になります。

 

ハーボニーの成分であるレジパスビルは増殖に必須なタンパク質のうち”NS5A”の働きを抑え、ソホフスビルは酵素”NS5Bポリメラーゼ”の働きを抑える作用を持っています。これによりHCVの増殖が抑えられるのです。

 

ハーボニーの用法・用量は以下です。

1日1回1錠(レジパスビルとして90mg及びソホスブビルとして400mg)を12週間経口投与

※ソホフスビルにおいて重度の腎機能障害(eGFR<30mL/分/1.73m2)や透析を必要とする腎不全の患者様には使用した場合、海外では死亡例も出ているため禁忌となります。

 

ジェノタイプ1に使用可能な抗HCV薬としては、既にダクルインザとスンベプラが発売されています。こちらは1日2回の服用が必要でしたが、ハーボニーは1日1回の服用でOKです。更に服用期間もダクルインザ・スンベプラの24週に対し、半分の12週で済みます。

 

そして国内の第3相臨床試験において、治療歴、代償性肝硬変の有無、年齢及び投与前のNS5A耐性変異の有無にかかわらず、SVR12率は100%となっています。海外の第3相臨床試験においても100%ではありませんが、非常に高い効果が認められています。※SVR12とは治療終了後12週間経過後にHCVが陰性化していることを意味します。

ハーボニーの副作用

 

主な副作用はそう痒症、悪心、便秘、頭痛、口内炎などになります。これだけ強力な薬にも関わらず副作用が少ないのは素晴らしいですね。副作用の多いリバビリンを併用しなくてもいいことが大きいかと思います。

ハーボニーの妊婦・授乳婦への投与について

 

ハーボニーは動物実験(ラット及びウサギ)において、胚・胎児発生に対する影響は見られてはいませんが、妊娠中の投与に関する安全性は確立しておりません。妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が胎児への危険性を上回ると判断される場合にのみとなっています。

 

また動物実験(ラット)において、ソホスブビルの主要代謝物が乳汁中への移行が認められているため、服用中は授乳を避ける必要があります。

ハーボニーの相互作用

 

併用禁忌の薬は以下になります。

・リファンピシン:抗結核薬
・カルバマゼピン、フェニトイン:抗てんかん薬
・セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品

これらはP糖蛋白を誘導する作用を持ちます。ハーボニーの血中濃度が低下し、効果が低下する可能性があるため禁忌となっています。※P糖蛋白とは薬物を細胞外に排出するポンプです。

 

禁忌ではないものの抗不整脈薬の”アンカロン(アミオダロン)”との併用には十分注意する必要があります。徐脈などの不整脈が発現する危険性があり、海外の市販後において死亡例も報告されています。そのため可能な限りハーボニーとアンカロンの併用は避けることとなっています。

 

やむを得ず併用する場合は少なくとも3日間は入院した上で心電図モニタリングを実施し、退院後も少なくとも2週間は患者様自身やご家族等が心拍数を確認し、不整脈の徴候がないか十分に観察し、少しでも異常が認められた場合には直ちに病院を受診頂く必要があります。

 

これらの多くは治療開始後、数時間から2日以内に発現しているとされていますが、2週間近く経過して発現した症例も報告されているため注意が必要です。

 

アミオダロンを長期間投与した際の血漿からの消失半減期は19~53日と非常に長いです。そのためアミオダロンを中止した後にハーボニーを開始する場合も同様に注意する必要があります。

 

上記以外にも効果を増強、減弱する可能性のある併用注意の薬がいくつかあるため、服用中の薬・健康食品については医師、薬剤師に報告するのを忘れずに。

 

それではハーボニーについては以上とさせて頂きます。最後まで読んで頂きありがとうございました。

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