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【爪白癬新薬】クレナフィンの作用機序と副作用|薬価とその効果は?

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爪白癬に適応がある外用薬は今までありませんでした。今回は爪白癬の新薬クレナフィン爪外用液10%について解説していきます。

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爪白癬とは?

 

まずは爪白癬についてお話していきましょう。爪白癬とは要は爪の水虫です。原因菌は白癬菌と呼ばれ、カビ(真菌)の仲間です。白癬菌が足にいれば足白癬(いわゆる水虫)、足の爪に侵入すると爪白癬となります。

 

白癬菌はケラチナーゼという酵素を出して、皮膚の角質の構成成分であるケラチンというタンパク質を溶かし、それを食べて増殖します。爪や髪の毛などケラチンが多く含まれる部位に発生しやすいのです。爪白癬は足の親指によく見られます。

 

症状としては爪が白や黄色く濁ったり、ボロボロ欠ける、変形する、厚くなる、などが挙げられます。痛みや痒みなどの自覚症状が比較的少ないのも特徴の一つです。ただ放置しておくと皮膚にまで入り込み、痛みが発生する事もあります。

今までの爪白癬の治療法

 

外用薬(塗り薬)を塗っても爪が硬く、白癬菌も奥深くにいるためなかなか到達できません。そのため基本的に今までは内用薬(飲み薬)で治療していました。※内用薬しか適応がありませんでした。

 

内用薬による治療は二種類あります。

ラミシール錠125mg(一般名:テルビナフィン)

1日1回 1回1錠を6ヶ月間服用します。症状により治療期間は変化することがあります。

 

重い肝機能障害や赤血球・白血球・血小板が減少の副作用がみられる可能性があるため、肝臓の悪い方や、血液に障害のある方は使用できません。肝機能、血液検査を定期的に行う必要があります。

 

ちなみに先発品のラミシールの薬価は184.2円/錠 180日で33156円。後発品の最安値で73.1円/錠となります。180日で13158円。

 

ただ先発品と後発品では添加物や剤形が異なる事で(最近はオーソライズドジェネリックという外観だけが異なり、効果が同じ物もあります)「効果が全く同じである」とは言えませんので単純に比較はできませんが、結構差がありますね。

参考記事:オーソドライズドジェネリック(AG)とは?メリットとデメリットを解説

イトリゾールカプセル50(一般名イトラコナゾール)

こちらはちょっと飲み方が特殊でパルス療法と呼ばれます。1回2カプセルを1日2回食直後に服用します。これを1週間服用し、3週間休む。これを3回繰り返します。実質の服用期間は3週間です。

 

ちなみにイトリゾールが食直後なのは理由があります。イトリゾールは脂溶性(水に溶けにくい)性質があり、空腹時では吸収が悪くなってしまいます。脂肪分や胆汁の助けが必要なため、食直後となっているのです。

 

イトリゾールの欠点は相互作用(飲み合わせ)が非常に多い事です。これから服用する方もいるかもしれませんので、併用禁忌の薬を挙げておきましょう。

・ピモジド、ブロナンセリン(抗精神病薬)
・キニジン、ベプリジル(抗不整脈薬)
・トリアゾラム(睡眠薬)
・シンバスタチン(脂質異常症薬)
・アゼルニジピン、ニソルジピン、エプレレノン、アリスキレン(降圧薬)
・エルゴタミン、ジヒドロエルゴタミン(片頭痛治療薬)
・エルゴメトリン、メチルエルゴメトリン(子宮収縮薬)
・バルデナフィル(ED治療薬)
・シルデナフィル、タダラフィル、リオシグアト(肺動脈性肺高血圧症治療薬
・ダビガトラン、リバーロキサバン(抗凝固薬)

すごい数ですね!更に併用注意の薬も入れると、とんでもない数になりますので、ここでは割愛します。一緒に服用することで一方の作用が強くなる物が多いです。

 

また肝臓の悪い方も症状を悪化させる可能性があるため使用することができません。他にも妊娠の可能性がある人、妊婦は服用できません。胎児に奇形を生じる可能性があるからです。

 

イトリゾールは本当に制限が多いのです。(※医師により敢えて処方されるケースもあるかと思いますが、ここでは一般的な使用法として記載します。)

 

先発のイトリゾールの薬価は354.2円/カプセル21日で29752.8円。後発品の最安値で152.2円/カプセル21日で12784.8円。

 

内服薬は腸から吸収されると、爪に移行して留まることで持続的な効果を発揮します。その結果爪の奥深くの白癬菌を退治することができます。

 

爪白癬は自覚症状がなくなったり、見かけ上治ったと思っても、そこで治療を止めてはいけません。きちんと決められた指示通りに服用する事が大切です。中途半端な治療だと白癬菌は復活します。徹底的に退治する必要があるのです。

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クレナフィンの名前の由来と特徴、作用機序

 

そこで登場したのが爪白癬の外用薬クレナフィンです。

 

名前の由来ですが、爪白癬になった爪を清浄(Clean)にする。またこの薬剤の一般名がエフィナコナゾール(Efinaconazole)であることから上記2つの一部『Clean』 + 『fin』を合わせて『Clenafin:クレナフィン』命名されました。

 

クレナフィンは今までの塗り薬と違い、爪の奥まで染みこんで作用する事ができます。理由として先ほどお話したケラチンとの親和性が他の抗真菌外用剤よりも低い事が挙げられます。

 

続いて作用機序について説明していきます。真菌(カビ)自身を取り囲む細胞膜は主にエルゴステロールという物質により構成されています。エルゴステロールはラノステロールと呼ばれる物質から作られます。ラノステロールからメチル基(-CH3)を取るとエルゴステロールとなります。

 

ラノステロールからメチル基を取ることを脱メチル化といい、それを行う酵素がラノステロールC-14脱メチル化酵素です。クレナフィンはこの酵素に選択的に結合し、酵素の働きを失わせます。その結果、エルゴステロールが作られなくなり細胞膜が壊れることで、白癬菌が死滅するのです。

クレナフィンの用法・用量と薬価について

 

用法・用量は1日1回罹患爪全体に塗布となっています。皮膚と爪の間もしっかり塗ります。ただし皮膚に付いた薬液は拭き取るようにして下さい。先端がハケのようになっており塗りやすくなっています。手を汚さずに塗れるのはいいですね。

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足の爪の生え変わりは約1年かかります。そのため48週の使用が基本となりますが、半年で完治するケースもあるようですね。これは素晴らしい。

 

外用薬は基本塗った部位周囲にしか作用しません。そのため全身性の副作用が起こる可能性は低く、他剤との相互作用も気にしなくてよいのがメリットです。

 

気になる点があります。それは…薬価です。1本3.56gで、なんと5900.7円です。

 

1本でどれくらい持つかですが、塗る部位や塗り方により変わってきます。塗る部位が少ない人だと1ヶ月以上持ちますが、開封後4週間以上経過した残液は使用しないこととなっています。

 

理由としては、1本を4週間以上かけて使用した際のデータがないため。確かに使用する患者さんの扱いによっては、先端のハケや内部が汚染される可能性もありますからね。4週間経過したものは廃棄するのが無難でしょう。

 

爪1枚しか塗らない患者さんでも毎月1本は必要になります。塗る部位が多く1本では足りない患者さんでは月2本です。

 

ざっくり月6000 or 12000円とすると、48週(一年)で72000円 or 144000円となります。ちょっと高いですね。ただメリットも多いため、患者さんがこれをどう判断するかですね。

クレナフィンの副作用

 

副作用は塗った部位の皮膚炎や水疱(水ぶくれ)など。皮膚炎が大部分を占めます。これは皮膚に付いた薬液を拭き取らなかった事が原因で起こることが多いようですね。先ほどお話したように皮膚に付いた薬液は拭き取るようにして下さい。

 

副作用の内容は、他の抗真菌薬の外用剤とほぼ同様ですが、クレナフィンの方が頻度は高いです。これは添加物にエタノールを使用している事に加え、元々皮膚刺激性が強い外用抗真菌剤が高濃度で配合されていることも関係していると言われています。

クレナフィンの注意事項

 

クレナフィンは直接鏡検か培養により爪白癬の確定診断がなければ処方できません。見た目だけではクレナフィンは処方できないのです。ただ自施設に設備がなくても外注で対応する事は可能です。

 

それではクレナフィンについては以上とさせて頂きます。最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

爪白癬の外用薬ルコナックについても知りたい方はこちらの記事をどうぞ。

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