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ベルソムラの特徴|作用機序と副作用、他睡眠薬との違い|オレキシン

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今回は睡眠薬の新薬『ベルソムラ』についてお話していきます。海外に先駆けて平成26年11月26日に発売となりました。

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ベルソムラとは?

 

まずは恒例名前の由来からいきましょう。belleはフランス語で”美人”の意味。”美しい”という形容詞としても使用されます。somは”睡眠”を意味します。

 

2つを組み合わせ、”美しい睡眠”という意味を込めてBelsomra:ベルソムラと命名されました。一般名はスボレキサントです。

 

それではまず従来の睡眠薬について簡単に復習しておきます。

今までの睡眠薬の作用機序

 

ベンゾジアゼピン系(類似含む)

ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は、抑制性神経伝達物質であるGABAがGABA受容体に結合しやすくすることで眠気を誘発するというものでした。

メラトニン受容体アゴニスト

ロゼレムは、眠気を誘発するメラトニンと同様の作用を持ち、脳内のメラトニン受容体に作用することで眠気を誘発するというものでした。

 

今回のベルソムラは今までの睡眠薬とは全く異なる新規の作用機序となり、「レキシン受容体拮抗薬」と呼ばれますが、これだけではちょっとわかりませんよね。それでは作用機序について詳しくみていきましょう。

ベルソムラの作用機序と特徴

 

作用機序の前に、まずオレキシンについて説明していきましょう。オレキシンとは脳内の神経伝達物質の一つであり、覚醒と睡眠に関与しています。

 

オレキシンは視床下部の神経細胞で作られており、覚醒中枢にあるオレキシン受容体に結合すると覚醒が促されるようになっています。これにより私達は起きている事ができるのです。

 

これを聞くと「だったらオレキシンをどうにかできればいいのでは!?」って思いますよね?

 

そこで今回のベルソムラです。

 

ベルソムラはオレキシンが作用するオレキシン受容体に結合することで、オレキシンの結合を邪魔する作用を持ちます。その結果覚醒が抑制され眠りにつくことができるのです。

 

最高血中濃度到達時間(服用後薬の濃度が最大になるまでの時間)は服用後1.5時間。半減期(血中濃度が半分になるまでの時間)は10時間であり、効果の持続時間は概ね6~8時間、服用初日から効果が現れると言われています。

 

上記より、入眠障害、中途覚醒の改善が期待できます。メーカーの方曰く、効果についてはマイスリーに近いとの事です。

 

またベルソムラは向精神薬に指定されていません。よって他の睡眠薬と異なり30日、90日等投与日数に制限はありません。

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ベルソムラの用法・用量、代謝、相互作用

 

用法・用量ですが、「成人には1日1回20mgを就寝前に経口投与(※高齢者に1日1回15mg)」となっています。

 

適宜増減の一文がありませんので、成人に対して15mg、逆に高齢者に対して20mgは適応外となり、地域によっては査定される可能性もありますのでご注意下さい。※これは医療関係者向けです。

 

ベルソムラの消失経路は肝代謝になります。肝臓の代謝には主にCYP3Aという酵素が関与しています。そのためこの酵素を邪魔する薬と一緒に服用すると効果が強く出てしまう可能性があります。

 

以下は併用禁忌のお薬です(一般名で記載しています)。

・イトラコナゾール、ボリコナゾール(抗真菌薬)
・クラリスロマイシン(マクロライド系抗菌薬)
・リトナビル、サキナビル、ネルフィナビル、インジナビル(抗HIV薬)
・テラプレビル(抗HCV薬)

中でもクラリスロマイシンは処方頻度が比較的高いので要注意です。

 

これ以外にもCYP3Aを阻害する薬はたくさんありますが、当然それらも注意が必要です。しかし上記は中でも阻害作用が強いため禁忌となっています。医師や薬剤師にお薬手帳を見せるのを忘れないで下さいね。

 

他に注意することとしては食後の服用を避けること。服用直後の血中濃度が低下する可能性があるからです。また効果発現が遅れる可能性も指摘されています。ロゼレム同様最低1時間はあけた方がいいかもしれません。

 

また現段階では、

他の不眠症治療薬と併用した時の有効性及び安全性は確立されていない。

となっています。

 

最初は単剤、つまり新規の患者様への処方が基本となりますが、専門の医師は他の睡眠薬と併用されるケースもあるかと思います。

 

その場合は主治医の指示に必ず従って服用するようにしましょう。自己判断で今までの睡眠薬を急に中止しベルソムラに切り替えた場合、反跳性不眠(後述)でかえって眠れなくなる可能性があります。※反跳性不眠とは突然服用を中止することで、服用前より強い不眠が現れることを言います。

ベルソムラの副作用

 

主な副作用は傾眠、頭痛、疲労などになります。服用の翌朝以後に眠気や注意力、集中力、反射運動能力等の低下がみられる場合がありますので、自動車の運転など危険を伴う機械の操作に従事しないようにして下さい。

 

ベルソムラはベンゾジアゼピン系(類似含む)と作用機序が異なるため、依存性や筋弛緩作用がなく、反跳性不眠もプラセボ群(ベルソムラを含まない偽薬を服用したグループ)と差がないとされています。

 

そして理論上起こる可能性があると思われるのがナルコレプシー様症状です。ナルコレプシーとは時と場所に関係なく、いきなり強い眠気が襲ってきたり、笑い・怒り・興奮など強い感情が引き金となり、突然全身の力が抜けてしまうといった症状が現れる病気です。

 

例えば学校の授業中なら特別周囲に被害はありませんが、車などの運転中にいきなり症状が現れたらどうなるか?非常に危険ですよね。

 

ナルコレプシーの患者様はオレキシンの量が少ない事が指摘されています。つまりベルソムラを服用することはナルコレプシーと似た状況を作り出す事が想定されます。

 

ただ市販後調査(2014年11月26日~2015年5月25日)ではナルコレプシーの報告はありませんでした。この半年間で処方された患者様は、メーカーの出荷数から約75000人と推定されるようです。引き続き注意が必要ですが、頻度としてはかなり低いとみられます。

 

上で書いたように効果の持続時間は6~8時間とされていますが、当然個人差もあります。また海外に先駆けて日本で発売されたため、現段階ではデータが少なく発売後に未知の副作用が出る可能性もあります。適正使用頂くために薬剤師の服薬指導が非常に重要となります。

ベルソムラの薬価

 

薬価も決まりましたね。15mg錠が89.1円、20mg錠が107.9円です。せっかくなのでどのようにして薬価が決まったのか簡単に説明します。ベルソムラは”似薬効比較方式”で薬価が決められました。

 

類似薬効比較方式とは、既に類似薬(効能・効果や薬理作用、組成、化学構造式、投与形態、剤形区分、剤形、用法の項目で似ていると判断された薬)がある場合に、新薬の1日あたりの薬価を類似薬の1日薬価に合わせるというものです。

 

今回はロゼレムが類似薬として選ばれました。ただベルソムラはロゼレムと作用機序が異なります。このように新規の作用機序を持つ、類似薬よりも有効性が高い、希少疾病用医薬品である、等の条件を満たすと更に薬価に加算されます。

 

加算には画期性加算、有用性加算、市場性加算、小児加算があり、有用性加算と市場性加算は更にⅠとⅡに分類されます。

 

長くなるのでここでは説明は割愛しますが、ベルソムラは有用性加算Ⅱというものが適用されました。有用性加算2は5~30%の範囲で加算されます。今回はロゼレムの薬価84.9円の5%増しとなり、15mg錠が89.1円と決められたのですね。

 

それではベルソムラについては以上とさせて頂きます。最後まで読んで頂きありがとうございました。

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