今回は痛風治療薬の『ザイロリック』についてお話していきます。

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ザイロリックとは?

まずは名前の由来からいきましょう。ザイロリックの一般名はAllopurinol(アロプリノール)です。また化学名は1H-Pyrazolo [3, 4-d]pyrimidin-4-ol(1H-ピラゾロ[3, 4-d]ピリミジン-4-オル)です。

 

前者の『lo』『ri』、後者の『z』『y』を組み合わせてzyloric(ザイロリック)と命名されました。

 

ザイロリックの作用を簡単に説明すると『尿酸の生成を抑えることで尿酸値を下げる』になります。それではもう少し詳しく見て行きましょう。

ザイロリックの作用機序と特徴

尿酸の生成過程

尿酸の生成過程は「ヒポキサンチン→キサンチン→尿酸」となっています。上図矢印の部分で同じ酵素が代謝に関わっており、その酵素の名前をキサンチンオキシダーゼ(以下XOR)といいます。

 

次にアロプリノールを服用すると体内で「アロプリノール→オキシプリノール」となり、矢印の部分で先ほどと同じ酵素XORが関与しています。

 

つまり、ヒポキサンチン、キサンチン、アロプリノールは3つとも同じ酵素で代謝されるのです。

 

上記3つはいずれもプリン骨格と呼ばれる構造を持っており非常によく似ています。

 

そのため体がアロプリノールをキサンチン、ヒポキサンチンと勘違いして「アロプリノール→オキシプリノール」の代謝に酵素を優先的に使ってしまうのです。

 

その結果、尿酸生成過程で使われる予定だったXORが減ってしまうため、尿酸の生成が抑えられるという事になります。ちなみにこのような阻害の仕方を競合阻害といいます。

 

更にアロプリノールの代謝により作られるオキシプリノールも活性代謝物であり、自身もXOに共有結合(2~3時間)して働きを失わせます。この二重の作用により、尿酸の生成が抑制されるのです。

 

そのためアロプリノールはXOR阻害薬と呼ばれます。

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ザイロリックの効能効果、用法用量、消失経路

ザイロリックの効能効果・用法用量をみる

効能又は効果
下記の場合における高尿酸血症の是正
痛風、高尿酸血症を伴う高血圧症

用法及び用量
通常、成人は1日量アロプリノールとして200~300mgを2~3回に分けて食後に経口投与する。年齢、症状により適宜増減する。

オキシプリノールは腎臓から排泄されます。オキシプリノールに薬効がないか非常に弱ければ問題ないのですが、XORを阻害する作用を持つため、腎機能障害のある方は減量する必要があります。

 

死亡例も出ていますので、クレアチニン・クリアランス(腎機能を評価する指標の1つ)を参考に、以下のように対応します。

表 腎機能に応じたアロプリノールの使用量
Ccr>50mL/min         100mg~300mg/日
30mL/min<Ccr≦50mL/min    100mg
Ccr≦30mL/min       50mg/日
血液透析施行例        透析終了後に100mg
腹膜透析施行例        50mg/日

GSKホームページより引用

ザイロリックの副作用

主な副作用は、皮疹、胃部不快感、下痢、痛風発作誘発、貧血、一過性黄疸など。

 

他にも重篤なもので皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)、剥脱性皮膚炎等の重篤な発疹又は過敏性血管炎などが報告されています。

 

血液や皮膚に関連する副作用については、アロプリノールが同じくキサンチンオキシダーゼ以外の核酸代謝酵素を阻害するためと言われています。

 

初期症状である発疹や発赤、水ぶくれなどがみられましたら直ちに病院を受診して下さい。特に腎機能障害のある方に使用すると上記副作用が出やすくなりますので注意が必要です。

ザイロリックの相互作用(飲み合わせ)について

最後に相互作用についてお話しします。気管支拡張剤のテオフィリン、代謝拮抗薬のアザチオプリンやメルカプトプリンはキサンチンオキシダーゼにより代謝されます。

 

アロプリノールがキサンチンオキシダーゼを阻害するためこれらの薬の血中濃度が上昇する可能性があります。

 

お薬手帳を医師、薬剤師に見せるのを忘れずに!

 

それではザイロリックについては以上とさせて頂きます。最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

出典:
ザイロリック錠50/ ザイロリック錠100 添付文書・インタビューフォーム