今回は抗不安薬のコレミナールについて説明します。
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コレミナールとは?
まずは名前の由来からいきましょう。
胃腸症状を調整(Correct)するminor tranquillizer(穏和精神安定剤)ということで両者を組み合わせコレミナール:COREMINALと命名されました。一般名はフルタゾラムです。
作用を一行でまとめると『不安や緊張を和らげ、また筋肉の緊張も和らげる』となります。それではもう少し詳しくみていきましょう。
抗不安薬のタイプについて
抗不安薬と睡眠薬はいずれもベンゾジアゼピン系に属する薬が大半を占めます。両者の作用機序は基本的に同じです。
その中で催眠作用が強いものが睡眠薬、抗不安作用が強いものが抗不安薬に分類されているだけです。難しく考えないで下さいね。
抗不安薬は半減期により大きく4つに分類できます。半減期とは薬の血液中の濃度が最高になった後、それが半分の濃度になるまでにかかる時間を指します。これが作用時間の目安となります。
タイプ | 主な抗不安薬 | 一般名 | 半減期(時間) |
短時間型 | リーゼ | クロチアゼパム | 4~5 |
デパス | エチゾラム | 6 | |
中間型 | レキソタン/セニラン | ブロマゼパム | 8~9 |
ワイパックス | ロラゼパム | 12 | |
コンスタン/ソラナックス | アルプラゾラム | 14 | |
長時間型 | エリスパン | フルジアゼパム | 23 |
メンドン | クロラゼプ酸二K | 24 | |
セレナール | オキサゾラム | 50~62 | |
セルシン/ホリゾン | ジアゼパム | 20~70 | |
メレックス | メキサゾラム | 60~150 | |
超長時間型 | メイラックス | ロフラゼプ酸エチル | 122 |
レスタス | フルトプラゼパム | 190 | |
非BZD系 | セディール | タンドスピロン | 1.4 |
代表的な抗不安薬を分類しました。抗不安薬は抗不安作用だけでなく、催眠・鎮静作用、筋弛緩作用、抗けいれん作用、抗うつ作用を持っています。※薬によって一部ないものもあります。
処方する際は症状により薬を使い分けます。2種類以上併用する場合もあります。
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コレミナールの作用機序と特徴
コレミナールはベンゾジアゼピン系に分類されます。※以下ベンゾジアゼピンをBZDと表記します。
神経症、心身症、パニック障害、強迫性障害などの不安障害は神経系の興奮により引き起こされます。ということはその興奮を鎮めれば症状が緩和できます。
そこで注目するのがガンマアミノ酪酸(以下GABA:ギャバ)と呼ばれる物質です。GABAは脳内に存在し、その作用から抑制性神経伝達物質と呼ばれています。
GABAはGABA受容体に結合することで、通常は細胞の外にある塩化物イオン(Clイオン)が細胞内に進入します。Clイオンにより細胞内がマイナスに傾いていくと興奮が伝わるのが抑えられます。
そこでコレミナールの登場です。
コレミナールはBZD受容体と結合することでGABAをGABA受容体に結合しやすくします。ちなみにこれを感受性を高めるといいます。
その結果、細胞内にClイオンが入るのがどんどん促進され、興奮が伝わりづらくなり症状が緩和されるのです。
BZD受容体にはω(オメガ)1とω2受容体の2つがあります。ω1受容体は主に催眠鎮静作用に、ω2受容体は主に抗不安作用や筋弛緩作用に関与しています。
コレミナールはω1とω2両方に作用します。そのため抗不安作用だけでなく、催眠鎮静作用や筋弛緩作用も併せ持ちます。
コレミナールは半減期が3.5時間であり、短時間型の抗不安薬になります。抗不安作用は中程度、筋弛緩作用は比較的弱いです。
コレミナールの副作用と注意事項
副作用としては眠気、ふらつき、倦怠感などがあります。この辺はベンゾジアゼピン系に共通のものですね。
高齢者は運動失調等が出やすいため、少量から開始するのがよいかもしれません。
運動失調とはろれつが回らない、動きがぎこちない、ふらふらする等の症状を言います。中枢神経系の抑制と筋弛緩作用が原因と考えられています。
またベンゾジアゼピン系共通の注意事項として、重症筋無力症と急性狭隅角緑内障の方には使用できません。
重症筋無力症に対して使用できないのは神経伝達がブロックされ筋弛緩作用が増強するため。急性狭隅角緑内障に対して使用できないのは、抗コリン作用による眼圧上昇作用のためです。
あと注意が必要なのがアルコール。アルコールには脳の活動を抑える作用があり、抗不安薬と一緒に飲むことで作用が増強される可能性があります。
睡眠の質が悪くなるとも言われていますので可能な限り控えるようにしましょう。
最後に自己判断で中止するのは止めましょう。突然服用を中止することで、服用前より強い不安障害が現れることがあります。中止する場合は医師の指示の下、徐々に減量します。
それではコレミナールについては以上とさせて頂きます。最後まで読んでいただきありがとうございました。