今回は男性型脱毛症治療薬で5α還元酵素阻害薬の「ザガーロ」についてお話していきます。

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ザガーロとは?

 

それではまず名前の由来からいきたいところですが、ザガーロには特にないようですね。一般名はデュタステリドになります。

 

この成分名どっかで聞いたことありませんか?そうなんです。前立腺肥大症治療薬アボルブと同じ成分になります。デュタステリドは男性脱毛症に効果があることがわかっており、それが今回日本でも認可されたということになります。

 

ザガーロの作用機序を簡単にお話すると「男性脱毛症の原因となるジヒドロテストステロン(DHT)が作られるのを抑えるとなります。

 

それではまず男性脱毛症(AGA)とヘアサイクルについてお話していきましょう。

男性脱毛症(AGA)とヘアサイクルとは?

 

テレビCMでもよく耳にするAGA。これはAndrogenetic Alopeciaの略で”男性脱毛症”を意味します。特徴としては頭頂部や生え際が薄くなっていくケースが多いです。原因は遺伝やジヒドロテストステロンというホルモンによるとされています。

 

続いてヘアサイクルについてお話していきます。通常、髪の毛が抜けるとまた新しい毛が生えてきます。この一連の流れをヘアサイクルと言います。

 

ヘアサイクルには髪の毛が成長する成長期(2~6年)、髪の毛の成長が止まる退行期(2~3週間)、新しい毛が下から生えてきて古い髪の毛が抜け落ちる休止期(3~4ヶ月)があります(個人差あり)。

 

ヘアサイクルに異常がなければいいですが、例えば何らかの原因で成長期が短くなったりしたらどうでしょうか?

 

ヘアサイクルの中で一番の割合を占める成長期は髪の毛が太く、長く成長する期間です。これが短くなると髪の毛は成長する前に抜け落ちてしまうことになります。つまり細くて短い毛が多くなってしまいます。

 

成長期が短くなる原因の1つが先ほどお話したジヒドロテストステロンというホルモンです。ジヒドロテストステロンは通常2~6年の成長期を数ヶ月から1年程度に短縮してしまいます。

 

毛根の数は生まれた時に決まっており増えることは決してありません。つまり早めの対応が求められます。

 

ではどうすればAGAを食い止めることが出来るでしょうか?それでは今回のお薬”ザガーロ”の作用機序についてお話していきましょう。

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ザガーロの作用機序と特徴

 

AGAの原因の一つして考えられているのがジヒドロテストステロン(以下DHT)と先ほどお話しました。

 

精巣で作られる男性ホルモンの1つである”テストステロン”は毛乳頭細胞において5α還元酵素によりDHTに変換されます。

 

DHTが毛乳頭細胞の受容体と結合するとTGF-βと呼ばれるサイトカインが作られます。このTGF-βがヘアサイクルを成長期から退行期へと移行させてしまうため、成長期が短くなってしまうのです。

 

そこでザガーロの登場です。

 

ザガーロは5α還元酵素の働きを邪魔する作用を持ち、TGF-βを生み出す原因となるDHTが作られるのを抑えることができます。その結果成長期が長くなり、ヘアサイクルを正常に近づけることができるのです。

 

5α還元酵素には1型と2型の2種類があります。男性型脱毛症治療薬にはプロペシアもありますが、プロペシアは2型5α還元酵素のみ阻害します。

 

しかし今回のザガーロは1型と2型5α還元酵素の両方とも阻害する作用を持つため、プロペシアよりも効果が期待できるのです。適応は”男性における男性型脱毛症”です。

 

ザガーロの効果判定は通常投与開始後6ヶ月経過した時点で行います。継続して服用する必要がありますので、自己判断で中止しないようにしましょう。

ザガーロの副作用

 

勃起不全、性欲減退、乳房障害(女性化乳房、乳頭痛、乳房痛、乳房不快感)などが報告されています。

ザガーロの注意事項

 

まずは禁忌から。

・重度の肝機能障害のある患者

これはザガーロが主に肝代謝型のためです。半減期も約3~5週間と非常に長く、上記のような患者様では血中濃度が上昇する危険性があります。

 

・女性、小児

ラット及びウサギにザガーロを経口投与したところ、雄胎児の外生殖器の雌性化がみられたとの報告があります。小児については安全性が確立されていません。

 

ザガーロは皮膚からも吸収されるため、女性や小児と同居されている男性の方は取扱に注意して下さい。特に子供が安易に触れることができる場所には保管しないようにしましょう。

 

女性、小児はカプセルから漏れた薬に触れてはいけません。触れてしまった場合は直ちに石鹸と水で洗い流すようにしましょう。

 

続いて”PSA検査”を受ける際には、必ずザガーロを服用していることを伝えるようにして下さい。PSA検査とは前立腺癌の可能性がある人を見つける検査のことです。

 

ザガーロはPSAの値を50%程度下げる作用を持っています。つまり服用中はPSA値が低くても前立腺がんを否定できないことになるため、定期的な評価が必要となります。

 

それではザガーロについては以上とさせて頂きます。最後まで読んで頂きありがとうございました。