B型肝炎は現在日本でも若い世代を中心に増加傾向にあります。
B型肝炎は多くの場合には治療により改善する疾病ですが、肝硬変や肝ガンに移行する危険性があり、もし劇症肝炎に移行してしまえば、死亡率が70%~80%となってしまう恐ろしい疾病です。それを防ぐために重要になるのがワクチンの接種です。
B型肝炎ワクチンに2種類あり、それぞれに特徴があります。今回はそれらの違いについてお話していきます。
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B型肝炎ワクチンとは?
B型肝炎はウイルスが原因となって発症する疾病です。そのため、ワクチンによって感染を防ぐことが可能になります。
ワクチンとは毒性を弱めたウイルスにあえて感染することで、体内に抗体を作り出すものです。このB型肝炎を防ぐためのワクチンは2016年10月以前まで任意予防接種として設定されていましたが、その重要性と有用性が再考され、現在では定期接種と改められました。
B型肝炎ワクチンは世界でも多く使用されている安全性の高いワクチンであり、そのワクチンには2種類存在しています。ビームゲンとヘプタバックス-Ⅱです。その違いについては事項で説明していきます。
B型肝炎ワクチンの接種は3回に分けて行われます。初回接種から4週間後に2回目の接種を行い、3回目は5~6か月後に接種します。
定期接種としてワクチンを用いるためには、1歳未満である必要があり、1歳以上になってしまうと自費での接種となるため注意が必要です。
成年となってからでもワクチンを接種した場合には効果を発揮しますが、乳幼児期に接種した場合の方がより効果的であるため、定期接種期間内に接種することが望まれます。
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ビームゲンとヘプタバックス-Ⅱの違い
ワクチンには毒性を弱めたウイルスが用いられていますが、そのウイルスにも種類が存在します。
遺伝子型の違い
B型肝炎ウイルスの場合、現在AからHまでの遺伝子型が確認されていますが、日本ではBタイプとCタイプが多くを占めており、Aタイプは増加傾向にあります。Dタイプ~Hタイプは日本では極めてまれであり、ほぼ確認することはありません。
ビームゲンとヘプタバックス-Ⅱには、それぞれ異なる遺伝子型のウイルスが使用されており、ビームゲンには遺伝子型C、ヘプタバックス-Ⅱには遺伝子型Aのウイルスが用いられています。
だからといってそれぞれの遺伝子型に関してのみ作用する抗体ができるわけではなく、どちらを使用したとしてもB型肝炎ウイルスに対して抗体を得ることができます。
また3回の接種の間にこれらのワクチンの種類を変えたとしても、問題なく抗体を獲得することができます。厚生労働省から発表されている審議会の発表においても、それぞれ互換性があり、重篤な副作用の心配もないとされています。
ビームゲンは化血研製の国産品ですが、ヘプタバックスはアメリカのメルク社製です。ですので、日本で多い遺伝子型Cに対応してビームゲンには遺伝子型C、アメリカで多い遺伝子型Aに対応するためヘプタバックスには遺伝子型Aが使用されています。
防腐剤の違い
そのほかの違いとして、添加されている防腐剤にも違いがあります。
ビームゲンにはチメロサールが添加されており、ヘプタバックスには含まれていません。このチメロサールは一部において過敏症状を起こしてしまうと議論されていますが、WHOではその問題に関しては否定されています。
規格容量の違い
それぞれの販売されている規格容量にも違いがあり、ビームゲンには0.25mlバイアルと0.5mlバイアルが販売されていますが、ヘプタバックスでは0.5mlバイアルのみが販売されています。
ゴム栓の違い
さらに、ゴム栓の素材にも違いがあり、ビームゲンは合成ゴムのみの使用ですが、ヘプタバックスでは天然ゴムが含まれているので、ラテックスアレルギーの方(天然ゴムに含まれる成分ラテックスにアレルギーのある方)には適しません。
ワクチンの乳幼児に対する接種量は0.25mlですので、使い勝手が良いのはラテックスが使用されていないビームゲンといえるでしょう。ただし、チメロサールの影響には注意する必要があります。
まとめ
B型肝炎はワクチンの接種により感染を防ぐことができます。ビームゲンでもヘプタバックスでも、同様にB型肝炎の感染を抑えることができますが、それぞれに違いがあります。明確な理由をもってどちらか選択し、その理由について説明できるようにするべきでしょう。
この記事を書いた平成28年10月27日時点ではビームゲンは製造されていないため、在庫は全国的に少なく、しばらくはどの医療機関でもヘプタバックス-Ⅱをメインで使用することになります。看護師の方も両者の違いについて知っておいて下さいね。
それではビームゲンとヘプタバックスの違いについては以上になりますです。最後までご覧いただきありがとうございました。