今回は便秘治療薬でクロライドチャネルアクチベーターのアミティーザについてお話します。NHKのためしてガッテンでも紹介されましたね。
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アミティーザとは?
名前の由来ですが、アミティーザは特にないようです。一般名はLubiprostone:ルビプロストンになります。
アミティーザの作用を簡単に説明すると「小腸からの水分の分泌を促し、水分を便に含ませる事で便が柔らかくなり、排便が促される」となります。
それでは作用機序についてもう少し詳しくみていきましょう。
アミティーザの作用機序と特徴
腸に到達した内容物には多くの水分が含まれています。その水分の多く(約6~8割)が小腸で吸収され、残りは大腸で吸収されます。かなり大雑把な説明になりますが、吸収される水分量が通常よりも多いと便秘に、少ないと下痢になります。
例えば腸の運動が低下したりすると、便が長時間腸内に停滞する事になりますので、その分多くの水分が吸収され、固い便になります。
また逆に腸の運動が活発になるとどんどん便が押し出されていき短時間で便が出るため、水分をあまり吸収できず水分を多く含んだ便、つまり下痢になるというわけです。
腸が水分の吸収する働きを持つことはわかりましたね。ただ小腸には水分を分泌させる仕組みも備わっており、小腸の粘膜上皮細胞に存在するCIC2-クロライドチャネルと呼ばれるタンパク質がそれを担っています。
クロライド(chloride)は塩化物(塩素)イオン(以下Cl–)の事で、チャネルは細胞を出入りするイオン専用の出入り口と考えて頂ければよいかと思います。
CIC2-クロライドチャネルは小腸の粘膜上皮細胞から腸内にCl–を分泌させる作用を持ちます。Cl–が腸内に移動すると、ナトリウムイオン(以下Na+)も腸内に移動し、それに伴い水分も腸内に移動します。
CIC2-クロライドチャネルの働きを活発にしてあげれば通常よりも多くの水分が腸内に分泌される事になります。つまり「便が水分を含んで柔らかくなる=便秘に効く」ということです。
アミティーザはCIC2-クロライドチャネルに働きかけ活性化(アクチベーター)させる作用をもちます。これにより便秘が改善が期待できるのです。
アミティーザは長期間継続して服用しても、大腸刺激性下剤(アローゼンやプルゼニドなど)と違い、効果が落ちる事がない(耐性ができない)とされており、特徴の一つとなっています。
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アミティーザの禁忌
それでは禁忌についてお話していきます。
腸閉塞の患者様がアミティーザを服用すると、かえって症状が悪化する可能性があるため禁忌となっています。
続いて
これについては動物実験で胎児喪失の報告があるため。アメリカでは妊婦は禁忌ではありませんが、日本では安全性が確立されておらず禁忌となっています。
アミティーザの副作用
まずは下痢。新しい作用機序とはいえ、アミティーザは下剤ですから下痢の副作用は想定内かと思われます。要は効き過ぎという事です。
その場合は1日1カプセルに減量するのもよいかと思います。また1日1カプセルから段階的に増量するのも一つです。※アミティーザの常用量は「1回1カプセルを1日2回」です。
もう一つが吐き気。これは結構な頻度でみられます。数日継続して服用すると慣れるという報告もあるため、症状が軽い場合は様子をみてもいいかもしれません。また食後に服用する事で多少は軽くする事ができます。
この吐き気ですが、ガナトンなどの消化管運動賦活剤を併用すると軽減または消失するとの報告もあります。もし病院でアミティーザと一緒に処方された場合、吐き気を抑えるためと思って頂ければいいでしょう。また腸の運動が活発になりますので便秘改善効果も期待できます。
またアミティーザは排便を促す以外にも様々な作用があると言われており、研究が進められています。今後が非常に楽しみな薬の一つです。
それではアミティーザについては以上とさせて頂きます。最後まで読んで頂きありがとうございました。