今回は高尿酸血症治療薬で選択的キサンチンオキシダーゼ阻害剤の『フェブリク』についてお話していきます。ザイロリックとの違いについても触れていきます。
スポンサーリンク
フェブリクとは?
まずは名前の由来から。
フェブリクの一般名はfebuxostat(フェブキソスタット)、また尿酸は、”uric acid”。前者の”febu”、後者の”ric”を合わせてfeburic(フェブリク)と命名されました。
お薬の作用は『尿酸の生成を抑えることで尿酸値を下げる』になります。
これだけ見るとザイロリックと同じですよね。ですがフェブリクの作用機序はちょっと異なります。それではもう少し詳しく見て行きましょう。
フェブリクの作用機序と特徴、ザイロリックとの違い
ちょっと尿酸生成の流れをおさらいしますね。
「ヒポキサンチン → キサンチン → 尿酸」。矢印の部分で同じ酵素が代謝に関わっており、その酵素の名前をキサンチンオキシダーゼ(以下XOR)と言います。
XORには穴(ポケット)が開いています。通常はポケットの中にヒポキサンチンやキサンチンが入り込み、酵素内部で代謝され出ていきます。
今回お話するフェブリクはXORのポケットに入る事ができます。フェブリクはポケットの内部の形と非常によく似た構造をしておりピッタリはまります。
その上XORとより強力に結合することで、XORの寿命である約36時間結合し続けます。作用が強力かつ長時間持続するのはこのためですね。
XORのポケットはフェブリクにより埋め尽くされ、ヒポキサンチンやキサンチンは中に入ることができなくなります。つまり代謝できなくなるため、尿酸の生成が抑制される、というわけです。
ザイロリックはプリン骨格を持ち、XORを自身の代謝に優先的に使わせます。そして代謝物のオキシプリノールがXORの活性の中心であるモリブデン原子に共有結合して、その働きを失わせる事で尿酸生成を抑制します。
フェブリクはプリン骨格を持たず、それ自身がXORの寿命が来るまで結合し続けることで、ヒポキサンチン、キサンチンが結合できなくなり、尿酸生成が抑制されます。
一言でキサンチンオキシダーゼ阻害と言っても違うのがおわかり頂けたでしょうか。
フェブリクの効能効果、用法用量
スポンサーリンク
フェブリクの消失経路
続いて消失経路です。ザイロリックは未変化体と代謝物のオキシプリノールが主に尿中に排泄(腎排泄)されます。一方フェブリクは肝臓で代謝され、尿中と便中にバランスよく排泄されます。
そのため、ザイロリックは軽度でも腎機能障害のある方は減量する必要がありますが、フェブリクは軽度~中等度の腎機能障害の患者様には減量する必要がありません(重度の腎機能障害の方は慎重投与)。
1日1回なのは作用機序の部分で述べたとおりです。フェブリクの作用は強力なので、医師からも20mgでコントロールできるケースが多いと聞きます。
フェブリクの相互作用(飲み合わせ)
続いて相互作用(飲み合わせ)の注意です。代謝拮抗薬のアザチオプリンやメルカプトプリンはキサンチンオキシダーゼにより代謝されます。
アロプリノール同様、フェブリクもキサンチンオキシダーゼを阻害するためこれらの薬の血中濃度が上昇する可能性があります。お薬手帳を忘れずに医師、薬剤師に見せるようにしましょう。
フェブリクの副作用
主な副作用は下痢や倦怠感など。
作用が結構強力なので、徐々に増量しても尿酸値が急激に低下する事があり、結果痛風発作を起こすことがあります。
その時はNSAIDS(非ステロイド性抗炎症薬)を使用します。場合によりステロイドも使用します。
ザイロリックで見られた再生不良性貧血、汎血球減少等の血液障害、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)等の皮膚障害は基本的にみられません。
これはフェブリクがプリン骨格を持たず、他の核酸代謝酵素を阻害しないため、XORのみを選択的に阻害できることによるとされています。
それではフェブリクについては以上とさせて頂きます。最後まで読んで頂きありがとうございました。
出典:
フェブリク錠10mg/フェブリク錠20mg/フェブリク錠40mg 添付文書・インタビューフォーム