過去の医療では、その主体が患者ではなく医療関係者にありました。どのような計画で治療を進め、どんな治療薬を選択していくのかは、医療関係者の一存によって決められていたのです。

 

ですが、情報開示が当たり前の権利として定着し、個人の声が大きくなった現代では、医療者の一存で治療を決めることは現実的ではありません。

 

今回は、患者が積極的に自分の医療に関わっていくためのインフォームドコンセント、さらにはインフォームドチョイス、そして両者の違いについて解説していきます。

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インフォームドコンセントとは?

 

インフォームドコンセントは、日本語に訳すと「説明と同意」です。自分の受ける医療に関してきちんと説明を受け、同意した上で治療を受けることをいいます。

 

どういった方針を持って治療していくのか、使用する医薬品はどういったものであるのか、自分の状態も含めて説明を受け、その説明に納得した場合に治療を行うことになります。

 

現在では医療関係者には説明義務があり、当然行われているものですが、以前の医療は患者の意思が入る余地はなく、自分の病状に関しても知らないままに治療を行っている人が多くいました。

 

インフォームドコンセントの概念が広まり、その状態が是正されたといえるでしょう。

インフォームドチョイスとは?

 

インフォームドコンセントに比べて、まだ耳に新しい言葉であるインフォームドチョイスですが、これは日本語に訳すと「説明と選択」です。

 

自身の状態と、それに則して受けることのできる治療の種類やそのメリット・デメリット、使用するべき医薬品などについて説明を受けて、患者の意思で治療を決定していくことをいいます。

 

この選択には治療を受けるかどうかも含まれており、医療の主体が完全に患者の意思にゆだねられた状態と言えます。この考え方は、現在では癌などの重大な疾病である場合に用いられることが多いものです。

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両者の違いは?

 

両者とも患者を主体に置いた医療を提供するためのものですが、その内容には大きな隔たりがあります。どちらの場合でも病状や治療の方針などに関する説明は的確に行われていますが、その後の内容に大きな違いがあるのです。

 

インフォームドコンセントでは、患者が行うことは同意することのみで、確かに医療関係者主体から患者主体へと移そうとする試みであるとは感じられますが、本当に主体は患者に移ったのかと言われれば首をかしげたくなる部分がありました。

 

自分よりも知識豊富な医師から説明をされた後に、「いいですよね?」と問われれば、「嫌です」と答えられる人は少ないのではないでしょうか。実際そう思っても医師に対して口に出すのは難しいですよね。

 

その点、インフォームドチョイスでは、本当の意味で患者に主体が移ったと言える考え方であると評価できます。

 

適切な病状の説明を受け、現在受けられる治療に関しての説明を受け、治療をするかしないかの選択から、治療する場合ではどのような治療を行っていくかまで、専門家のアドバイスをもらいながら、自分の意思で決めることが可能となるのですから。

 

インフォームドチョイスとは、インフォームドコンセントをさらに推し進めた医療体制と言えるでしょう。

まとめ

 

インフォームドコンセントとは「説明と同意」であり、治療に関しての説明を受けて、問題がなければ同意して治療を行うというものです。

 

一方、インフォームドチョイスとは「説明と選択」であり、治療に関しての説明を受けて、自分が本当にしてほしい医療を選ぶことができるというものになります。

 

インフォームドコンセントを推し進めたものがインフォームドチョイスといえるでしょう。まだそれほど浸透しているようには感じないインフォームドチョイスですが、患者主体の治療を行う上では非常に有用なものといえます。

 

その反面、医療関係者にかかる負担は大きくなり、求められる技術も高いものが要求されるようになっていきます。現在では新しいと感じる考え方かもしれませんが、近い将来、当然行われるべきものになっていくことでしょう。

 

それではインフォームドコンセントとインフォームドチョイスの違いについては以上とさせて頂きます。最後まで読んで頂きありがとうございました。