今回は抗不安薬のホリゾン、セルシンについて説明します。
ホリゾン・セルシンの名前の由来は?
それでは名前の由来からいきましょう。
まずはホリゾンから。英語でhorizonは『水平線』。精神安定剤として心の安定を示唆するという事で命名。
英語では発音はホライズンですが、日本ではホリゾン:Horizonとなっています。一般名はジアゼパムです。
続いてセルシン。こちらは“certain(確かな)精神状態”にもっていく薬剤ということでCERCINE:セルシンと命名されています。
ホリゾン・セルシンの作用を短くまとめると『不安や緊張を和らげ、また筋肉をほぐし痙攣を抑える』となります。それではもう少し詳しくみていきましょう。
抗不安薬のタイプについて
抗不安薬と睡眠薬はいずれもベンゾジアゼピン系に属する薬が大半を占めます。両者の作用機序は基本的に同じです。
その中で催眠作用が強いものが睡眠薬、抗不安作用が強いものが抗不安薬に分類されているだけです。難しく考えないで下さいね。
抗不安薬は半減期により大きく4つに分類でき、これが作用時間の目安となります。
半減期とは?
薬の血液中の濃度が最高になった後、それが半分の濃度になるまでにかかる時間
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代表的な抗不安薬を分類しました。
抗不安薬は抗不安作用だけでなく、催眠・鎮静作用、筋弛緩作用、抗けいれん作用、抗うつ作用を持っています。※薬によって一部ないものもあります。
処方する際は症状により薬を使い分けます。2種類以上併用する場合もあります。
ホリゾン・セルシンの作用機序と特徴
ホリゾンはベンゾジアゼピン系に属します。※以下ベンゾジアゼピンをBZDと表記します。
神経症、心身症、パニック障害、強迫性障害などの不安障害は神経系の興奮により引き起こされます。ということはその興奮を鎮めてあげればいいわけです。
そこで注目するのがγアミノ酪酸(以下GABA:ギャバ)と呼ばれる物質です。
GABAは脳内に存在し、その作用から抑制性神経伝達物質と呼ばれています。
GABAはGABA受容体に結合することで、通常は細胞の外にある塩化物イオン(Clイオン)が細胞内に進入します。
Clイオンにより細胞内がマイナスに傾いていくと興奮が伝わるのが抑えられるというわけです。
そこでホリゾンの登場です。
ホリゾンはBZD受容体と結合することでGABAをGABA受容体に結合しやすくします。ちなみにこれを感受性を高めるといいます。
その結果、細胞内にClイオンが入るのがどんどん促進され、興奮が伝わりづらくなり症状が緩和されるのです。
ちなみに、BZD受容体にはω(オメガ)1とω2受容体の2つがあります。
ω1受容体:主に催眠鎮静作用に関与
ω2受容体:主に抗不安作用や筋弛緩作用に関与
ホリゾンはω1とω2両方に作用します。そのため抗不安作用だけでなく、催眠鎮静作用や筋弛緩作用も併せ持ちます。
ホリゾンは半減期が20~70時間であり、長時間型の抗不安薬に属します。
特徴としては抗不安作用は中程度であり、鎮静作用、筋弛緩作用、抗けいれん作用は強いです。高齢者では転倒の危険性が高まりますので処方する際は注意が必要です。
ホリゾンの効能効果・用法用量
[su_spoiler title=”ホリゾン錠2mg/ホリゾン錠5mg/ホリゾン散1%の効能効果・用法用量をみる”]
効能又は効果
○ 神経症における不安・緊張・抑うつ
○ うつ病における不安・緊張
○ 心身症(消化器疾患、循環器疾患、自律神経失調症、更年期障害、腰痛症、頸肩腕症候群)における身体症候並びに不安・緊張・抑うつ
○ 下記疾患における筋緊張の軽減
脳脊髄疾患に伴う筋痙攣・疼痛
○ 麻酔前投薬
用法及び用量
通常、成人には1回ジアゼパムとして2~5mgを1日2~4回経口投与する。ただし、外来患者は原則として1日量ジアゼパムとして15mg以内とする。
また、小児に用いる場合には、3歳以下は1日量ジアゼパムとして1~5mgを、4~12歳は1日量ジアゼパムとして2~10mgを、それぞれ1~3回に分割経口投与する。
筋痙攣患者に用いる場合は、通常成人には1回ジアゼパムとして2~10mgを1日3~4回経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
麻酔前投薬の場合は、通常成人には1回ジアゼパムとして5~10mgを就寝前または手術前に経口投与する。
なお、年齢、症状、疾患により適宜増減する。
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[su_spoiler title=”ホリゾン注射液10mgの効能効果・用法用量をみる”]
効能又は効果
○ 神経症における不安・緊張・抑うつ
○ 下記疾患及び状態における不安・興奮・抑うつの軽減
麻酔前、麻酔導入時、麻酔中、術後、アルコール依存症の禁断(離脱)症状、分娩時
○ 下記状態における痙攣の抑制
てんかん様重積状態、有機リン中毒、カーバメート中毒
用法及び用量
本剤は、疾患の種類、症状の程度、年齢及び体重等を考慮して用いる。一般に成人には、初回2mL(ジアゼパムとして10mg)を筋肉内又は静脈内にできるだけ緩徐に注射する。以後、必要に応じて3~4時間ごとに注射する。なお、静脈内に注射する場合には、なるべく太い静脈を選んで、できるだけ緩徐に(2分間以上をかけて)注射する。
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ホリゾン・セルシンの副作用と注意事項
副作用としては眠気、ふらつき、倦怠感などがあります。この辺はベンゾジアゼピン系に共通のものですね。
高齢者は運動失調等が出やすいため、少量から開始するのがよいかもしれません。
運動失調とは?
ろれつが回らない、動きがぎこちない、ふらふらする等の症状が現れ、中枢神経系の抑制と筋弛緩作用が原因と考えられています。
そして、ベンゾジアゼピン系、非ベンゾジアゼピン系共通の注意事項として、重症筋無力症と急性狭隅角緑内障の方には禁忌となり、使用することができません。
重症筋無力症に対して使用できないのは神経伝達がブロックされ筋弛緩作用が増強するため。
急性狭隅角緑内障に対して使用できないのは抗コリン作用による眼圧上昇作用のためです。
またアルコールには脳の活動を抑える作用があり、睡眠の質が悪くなるとも言われています。抗不安薬と一緒に飲むことで作用が増強される可能性がありますので、なるべく控えるようにしましょう。
最後に自己判断で中止するのは控えてくださいね。
突然服用を中止することで、服用前より強い不安障害が現れることがあります。中止する場合は医師の指示の下、徐々に減量します。
ホリゾン・セルシンの配合変化について
最後にホリゾン・セルシン注射液についてお話します。
ホリゾン・セルシンは非常に水に溶けにくいため、有機溶媒であるプロピレングリコールに溶解しています。
そのため他の注射液と混合すると、希釈されて溶けきれなくなったホリゾンが析出(結晶として出現)して白濁します。ホリゾンが他剤と配合禁忌なのはこのためです。
またホリゾン・セルシンは浸透圧が27と非常に高いです。投与部位で炎症を起こし、血栓ができてしまう血栓性静脈炎を起こしやすいという性質があります。
そのため、なるべく太い静脈を選び、できるだけ緩徐に(2分以上かけて)注射することで、ある程度予防する事ができます。
筋注も一応可能です。しかしホリゾン・セルシンに限らず筋注は痛いですよね。ホリゾンはその上浸透圧が高いためかなり痛いです。
ですから基本的に静注が推奨されます。これは一般の方というより医療関係者向けですね。
それではホリゾン・セルシンについては以上とさせて頂きます。最後まで読んでいただきありがとうございました。
出典:
ホリゾン注射液10mg 添付文書・インタビューフォーム
ホリゾン錠2mg/ホリゾン錠5mg/ホリゾン散1% 添付文書・インタビューフォーム
