兼ねてより噂がありましたゾピクロン(先発品:アモバン)とエチゾラム(先発品:デパス)ですが、2016年10月14日より第3種向精神薬に指定されます。ただし処方日数の上限が30日に制限されるのは11月1日からになります。

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指定されるのはアモバンとデパスだけ?他の睡眠薬は?

 

まあ普通に考えてこう思うのは当たり前だと思いますが、今回はゾピクロン(先発品:アモバン)とエチゾラム(先発品:デパス)のみが第3種向精神薬に指定となっています。当然ジェネリック医薬品も該当します。

 

実は今回フェナゼパムという成分も指定されていますが、日本では未発売のためこの記事では割愛します。

 

さて、作用機序や依存性からベルソムラやロゼレムが指定されないのは理解できます。しかしリスミー、特にアモバンからS体を抜き出したルネスタが指定されないのはどうなんでしょうね。

 

リスミーとアモバンは日本で向精神薬を指定する法律(麻薬及び向精神薬取締法)を作る際、アメリカの法律を引っ張ってきたわけですが、両剤はアメリカでは販売されていなかったため向精神薬に指定されなかったという経緯があります。

 

だとしたらこの機会にまとめて指定した方がいいのでは?と単純に思ってしまいますが。

 

アモバンとデパス…ジェネリック医薬品を含めると30日を超えて処方されている患者さん結構いるんですよね。オーダリングシステムで日数制限かけないと大変なことになりそうです。

向精神薬の保管について

 

病院・診療所における向精神薬の保管については以下のように定められています。今一度確認しておきます。

第4 保管(法第50条の21・施行規則第40条)
(1) 譲り受けた向精神薬は、次により保管しなければなりません。
① 病院・診療所の施設内に保管すること。
② 保管する場所は、医療従事者が実地に盗難の防止に必要な注意をしている場合以外は、かぎをかけた設備内で行うこと。
〔例〕
a) 調剤室や薬品倉庫に保管する場合で、夜間、休日で保管場所を注意する者がいない場合は、その出入口にかぎをかけること。
日中、医療従事者が必要な注意をしている場合以外は、出入口にかぎをかけること。
b) ロッカーや引き出しに入れて保管する場合も、夜間、休日で必要な注意をする者がいない場合には、同様に、ロッカーや引き出しあるいはその部屋の出入口のいずれかにかぎをかけること。
c) 病棟の看護師詰め所に保管する場合で、常時、看護師等が必要な注意をしている場合以外は、向精神薬を保管するロッカーや引き出しに鍵をかけること。
(2) ペンタゾシン、ブプレノルフィン等の向精神薬注射剤については、特に乱用・盗難のおそれが高いので保管管理を厳重にし、不正使用や盗難防止に一層留意してください。

厚生労働省医薬食品局 監視指導・麻薬対策課 病院・診療所における 向精神薬取扱いの手引より引用

 

薬剤師不在時は向精神薬の保管場所も施錠するのが望ましいですが、最低限薬剤部の出入口をきちんと施錠しておけば問題ありません。

 

特に注意が必要なのが病棟に定数配置する場合ですね。10月14日以降にアモバンとデパスを病棟に定数配置する場合、保管場所から取り出す時以外は施錠する必要があります。ここは医療監視で間違いなくチェックされるでしょう。

向精神薬の記録について

 

病院・診療所における向精神薬の記録については以下のように定められています。

第7 記録(法第50条の23第2項及び第4項)
第1種向精神薬又は第2種向精神薬を譲り受け、譲り渡し、又は廃棄したときは、次の事項を記録し、この記録を最終記載の日から2年間保存しなければなりません。
① 向精神薬の品名(販売名)・数量
② 譲り受け、譲り渡し、又は廃棄した年月日
③ 譲受け又は譲渡しの相手方の営業所等の名称・所在地
(注)
a) 患者への向精神薬の交付、施用、患者に交付された向精神薬の返却、返却を受けた向精神薬の廃棄については、記録の必要はありません(施行規則第42条)。
b) 同一法人の病院・診療所との間で譲受け又は譲渡しがあった場合も、記録する必要があります。
c) 向精神薬が記載された伝票の保存をもって記録に代えることができますが、向精神薬が記載されていない伝票とは別に綴ってください。
d) 第3種向精神薬については、記録義務はありませんが、譲受けについて記録し、定期的に在庫確認をすることが望ましいです。

厚生労働省医薬食品局 監視指導・麻薬対策課
病院・診療所における 向精神薬取扱いの手引より引用

 

今回アモバン、デパスは第3種向精神薬のため記録義務はありません。ただ譲受けの記録は伝票の保存で対応できますので、医薬品卸にエチゾラムとゾピクロン製剤は別伝票で発行してもらうようにしておくと医療監視の時に楽ですね。

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アモバン・デパスの処方日数の上限は30日まで!

 

処方日数は30日までに決定しました。参考:中央社会保険医療協議会 総会(第336回)議事次第 ○新たに向精神薬に指定される内服薬の投薬期間について

 

厚労省の調べによると、院外処方の85%前後が30日以内(エチゾラム:平均27.0日、ゾピクロン:平均26.8日)であったこと、また関係団体等からも現場が混乱しないよう14日ではなく30日にするよう要望があったことによります。

 

これは当然ですね。ここで14日なんかにしたらとんでもないことになるのは誰もが予想できますから。

 

参考までにアモバンとデパスを加えた処方日数に上限のある向精神薬を一覧にしました。一般名順とし、先発品と日数を記載しています。

 

処方日数に上限のある向精神薬一覧

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個人輸入禁止・携帯して輸出入可能な量も制限

 

他に注意すべき点として、2016年10月14日をもってゾピクロンとデパスは個人輸入が禁止になります。また携帯して輸出入できる量もゾピクロン300mg、エチゾラム90mgまでと制限されます。該当する方は気をつけて下さいね。

 

オーダリングシステムを導入されている医療機関は処方日数制限をかけるのを忘れずに。疑義照会ラッシュになります。また病棟に定数配置する際は取り出す時以外は施錠が必要となります。

 

ただし冒頭でお話しましたが、両剤の処方日数の上限が30日となるのは2016年11月1日からとなりますのでご注意を。

 

また10月31日以前に交付された処方箋を11月1日以降に薬局に持参した場合、処方日数の制限は受けません。あくまで処方日を基準に対応します。向精神薬加算は10月14日より算定することができます。

今回の一部改正は平成28年11月1日より適用されますが、これに伴う保険薬局における処方せんの取り扱いは以下のとおりです。

①平成28年10月31日までに交付された処方せんについては、同11月1日以降に受け付けた場合であっても、投薬量の制限(1回の投薬量が30日分以内)は適用されない。
②ただし、向精神薬加算(調剤料)については、同10月14日調剤分より算定できる。

日薬業発第253号平成28年10月13日 療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等の一部改正についてより引用

 

それでは最後まで読んで頂きありがとうございました。