今回は流行性耳下腺炎、いわゆるおたふくかぜについてお話していきます。
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流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)の原因
ムンプスウイルスが原因となります。細菌ではなくウイルスのため抗菌薬(抗生物質)は効きません。ただ一度感染すると終生免疫(通常一生免疫が続くため二度と感染しないがゼロではない)を獲得することができます。
流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)はいつ流行する?かかりやすい年齢は?
季節性はなく1年を通してみられる病気です。3~6歳に多くみられますが大人も感染することがあります。
流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)の潜伏期間と症状
感染してもすぐに症状は出ません。通常2~3週間の潜伏後、38℃以上の発熱に加え両方または一方の耳下腺が腫れてきます。痛みもあります。流行性耳下腺炎が通称”おたふく”と言われるのはこれに由来します。
通常1~2週間程度で症状は治まりますがまれに重症化する場合があります。無菌性髄膜炎、 精巣炎、卵巣炎、難聴などの合併症を起こすことがあるため注意が必要です。
成人男性が精巣炎を合併すると精巣が萎縮することで精子の数が減るとされていますが、それが不妊につながるのは稀です(ゼロではない)。
また妊婦が流行性耳下腺炎に感染しても先天性の障害が出ることがありませんが、流産、早産の危険性が高まります。そのため妊婦の方は流行期には可能な限り患者に接触しないように努めて下さい。またマスクの着用も忘れずに。
また感染しても症状が現れない(不顕性感染)場合も3割程度あると言われています。
流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)の感染経路と予防
感染経路としては飛沫感染と接触感染となります。
飛沫感染とは?
感染者が咳やくしゃみをした時の水しぶき(飛沫)に含まれる病原微生物を、周囲の人が吸い込むことで感染する経路です。
接触感染とは?
感染者が咳やくしゃみをした時の水しぶき(飛沫)に汚染された環境や物に接触することで病原微生物が付いた手を介して感染する経路です。
感染拡大防止のため流行期はうがい手洗いをきちんと行い、子供間でのタオルの共用は避けましょう。また感染した子供にはマスクを着用させるなど咳エチケットも大切です。
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流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)に有効な薬やワクチンは?
残念ながら流行性耳下腺炎に有効な薬はありません。治療するとしてもあくまで対症療法(症状をおさえる治療)であり、熱や痛みに対して解熱鎮痛薬などが処方される場合があります。
流行性耳下腺炎には生ワクチンがあり、予防効果は90%程度とされています。
生ワクチンとは生きた細菌やウイルスの毒性を極度に弱めたものです。これを接種し、体内で増殖する事で免疫を高めます。自然に罹った場合(自然感染)とほぼ同じような形で免疫ができるため、強く長期間持続するわけです。
ワクチンを接種していると合併症の発現頻度が低くなりますし、そもそも流行性耳下腺炎にかかりにくくなります。しかし弱めたとはいえ細菌やウイルスそのものを体内に入れるわけですから流行性耳下腺炎と似た症状が出る可能性があります。
また非常に稀ですが無菌性髄膜炎や難聴などが出る可能性もあります。接種する際は以上を納得した上で行う必要があります。
ちなみに生ワクチンは妊婦には使用できません。胎児に悪影響が出る可能性が理論上あるからです。生ワクチン接種後は二ヶ月避妊する必要があります。
流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)の登園や登校の目安は?
さて幼稚園や保育園、学校にいつから行っても大丈夫かですが、日本小児科学会 予防接種・感染対策委員会作成の「学校、幼稚園、保育所において予防すべき感染症の解説」には
耳下腺、顎下腺または舌下腺の腫張が発現した後5日を経過し、かつ全身状態が良好となるまで出席停止とする。
と記載されています。
腫れが出てから4日間は感染力が強いため5日経過となっています。その後元気になれば登園可能です。
流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)のまとめ
それでは最後に流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)についてまとめます。
ムンプスウイルス
・かかりやすい時期
関係なく1年を通してみられる
・かかりやすい年齢
3~6歳
・主な症状
発熱、両方または一方の耳下腺の腫れなど
・感染経路
飛沫感染、接触感染
・治療薬
対症療法として熱や痛みに対して解熱鎮痛薬など
・ワクチン
あり(予防効果は90%程度)
・登園・登校の目安
耳下腺、顎下腺、舌下腺の腫脹が現れてから5日を経過し、元気になったら
それでは流行性耳下腺炎(おたふく)については以上とさせて頂きます。最後まで読んでいただきありがとうございました。