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エフィエント(プラスグレル)の作用機序と副作用|抗血小板薬

外人親子三代

今回は2015年6月1日より長期処方が解禁となりました抗血小板薬「エフィエント」についてお話していきます。

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エフィエントとは?

 

まずは名前の由来からいきましょう。エフィエントは”Efient”と表記され、以下の2つの言葉を組み合わせにより命名されています。前半の”Efi”は”Efficacy(効果)”から、後半の”ent”は”Consistent(確実)”から。つまり確実な効果が期待できるという意味が込められているのです。一般名はプラスグレルになります。

 

エフィエントの作用機序を簡単に説明すると「血小板の働きを抑えることで、血栓(血の塊)が作られるのを抑える」となります。

 

エフィエントは以下の適応を持ちます。

・経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される下記の虚血性心疾患
・急性冠症候群(不安定狭心症、非ST上昇心筋梗塞、ST上昇心筋梗塞)
・安定狭心症、陳旧性心筋梗塞

ここでは虚血性心疾患と経皮的冠動脈形成術について簡単に説明します。

虚血性心疾患と経皮的冠動脈形成術とは?

 

心臓は自身の伸縮により血液を全身に送り出しています。1日に約10万回収縮と拡張を繰り返し、送り出される血液量は7~8トンとも言われています。心臓の働きが低下することがどれだけ危険なことかはご理解頂けるかと思います。

 

虚血性心疾患と言えば基本的に狭心症と心筋梗塞を意味します。

狭心症

狭心症とは心筋に酸素や栄養を届ける冠動脈が狭くなり、血液が十分に供給されないことで酸素不足となり胸が痛い、しめつけられる、押さえつけられるなどの症状が出現する病気です。症状は数分~15分程度で消失します。

 

狭心症の分類

狭心症を上記により分類しましたが、書籍などにより異なりますので参考までに。ちなみに3つ目のアテロームとは血管壁にコレステロールが蓄積することでできる粥状の塊のことです。これが安定した状態なのが安定狭心症。

 

動脈硬化が進行するとアテロームが固まって血管壁が盛り上がり、プラークと呼ばれるコブを形成します。プラークは薄い皮膜で覆われており、非常に破れやすくなっています。この状態が不安定狭心症です。

 

プラークが破れると出血し、これを止めようと血栓が作られて血管が狭くなり酸素の供給が不十分になってしまうのです。いつ心筋梗塞を起こしてもおかしくない状態です。

心筋梗塞

心筋梗塞は動脈硬化の進行により冠動脈が狭くなったところに血栓が詰まってしまい、そこから先の心筋が壊死してしまう病気です。狭心症は冠動脈が狭くなるもののまだ血流は途絶えませんが、心筋梗塞は完全に閉塞してしまいます。

 

痛みは狭心症の比ではありません。30分以上持続する上、吐き気や発熱、冷や汗、呼吸困難などをともなう場合もあります。壊死した部分が拡がるとショックを起こし死亡する可能性があります。他にも不整脈を合併することもあり、非常に危険です。

 

狭心症、心筋梗塞いずれも根底として動脈硬化の存在があり、高血圧や糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症、肥満、喫煙などが危険因子として挙げられます。

経皮的冠動脈形成術(PCI)

これは動脈にカテーテルを挿入することで狭くなっている部分を拡げるというものです。具体的には先端にバルーンを装着したカテーテルを挿入し、狭くなっている部分でバルーンを膨らませて強引に拡げます。

 

最近ではバルーンに金属製の網状の筒(ステント)を装着した状態で膨らませて、ステントを留置することも行われています。これにより再狭窄をかなりの確率で予防できるようになりました。ただしゼロではないため定期的な検査は必要です。

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エフィエントの作用機序と特徴、プラビックスとの違い

エフィエントとプラビックスの違い

エフィエントはそのままでは薬効を発揮せず、腸管から吸収された後に肝臓へ移行し、代謝されて初めて効果を発揮するプロドラッグになります。

 

代謝経路ですが、まずエステラーゼを介した経路で代謝されることで中間体になり、続いてCYPを介した経路により代謝され、活性を持つ物質になります。これがエフィエントの薬効、抗血小板作用を発揮します。

 

プラビックスとの違いがここにあります。

 

プラビックスは85%がエステラーゼにより代謝され活性を持たない物質になり、残りの15%はCYPより2段階の代謝を受けることで活性代謝物となるのでした。ただCYP2C19には遺伝子多型が存在し、効果にバラつきがあるのが欠点でしたね。

 

エフィエントもCYPにより代謝されます。ただCYP2C9やCYP2C19も関与するものの、メインがCYP3A及びCYP2B6であるためプラビックスよりも効果のバラつきが少なく、安定した効果が期待できます。

 

またCYPの代謝も1回であるため、プラビックスと比較して効果発現が早いという特徴もあります。

エフィエントの作用機序

 

まず前提として、血小板内のカルシウムイオン濃度が上昇すると血小板が活性化する、つまり血栓が形成されることになります。

 

血小板内にはアデニル酸シクラーゼ(以下AC)と呼ばれる酵素があるのですが、ACによりATP(アデノシン3リン酸)はcyclic AMP(サイクリックエーエムピー)に変換されます。

 

cyclic AMPは血小板内のカルシウムイオン濃度の上昇を抑える働きを持っています。

 

また血小板にはADP(アデノシン2リン酸)、セロトニンなど多くの生理活性物質が含まれており、ADPが血小板外に放出されると、ADPは血小板の表面に存在するADP受容体(P2Y12)に結合します。

 

するとADP受容体によりACの働きが抑えられてしまうのです。

 

またcyclic AMPはホスホジエステラーゼ3(以下PDEⅢ)という酵素により分解されることがわかっています。

 

PDEⅢによりcyclic AMPが分解され、その量が減ってしまうと血小板内のカルシウムイオン濃度が上昇し、血小板が活性化して凝集し、血栓が形成されてしまいます。

 

以上から血栓の形成を抑えるためには…

1.アデニル酸シクラーゼ(AC)を活性化する
2.cyclic AMPを増やす
3.ADPのADP受容体(P2Y12)への結合を阻害する
4.ホスホジエステラーゼ3(PDEⅢ)の働きを阻害する

といったことを行えばいいことがわかりますね。

 

今回のエフィエントが作用するのはADP受容体です。上記「3.ADPのADP受容体(P2Y12)への結合を阻害する」作用を持ちます。

 

エフィエントがADP受容体に結合することで、ADPがADP受容体に結合できなくなります。するとACの働きが邪魔されなくなるため、cyclic AMPが多く作られることになり、カルシウムイオンが減少します。

 

これにより血小板の活性化を抑えることができる、つまり血栓の形成を抑えることができるのです。

エフィエントの副作用

 

エフィエントは血液をサラサラにする作用を持ち、更にアスピリンとの併用が基本となりますので、出血しやすくなるというのは想像に難くないでしょう。そのため出血している方は禁忌となります。青あざができたり鼻血や歯茎からの出血がみられた場合は医療機関を受診して下さい。

 

またその作用から手術前に一時的に服用を中止する場合があります。手術の14日以上前の中止が望ましいとされていますが、こちらは病院により異なる場合がありますので主治医の指示に従うようにして下さい。

 

それではエフィエントについては以上とさせて頂きます。最後まで読んで頂きありがとうございました。

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