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メマリーの作用機序と副作用|併用可能薬とグルタミン酸仮説

老夫婦

今回は認知症治療薬、NMDA受容体拮抗薬の『メマリー』について解説していきます。

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メマリーとは?

 

まずは名前の由来からいきましょう。メマリーの一般名はメマンチンです。メマから始まる名前で第一三共株式会社で保有している短い名前の中から選択したそうです。

 

作用を短くまとめると『NMDA受容体の過剰な興奮を抑え、情報の伝達をスムーズにする』となります。これだけじゃよくわかりませんね。ではもう少し詳しく見ていきましょう。

認知症とは?

 

メマリーの作用機序を説明する前に認知症についてお話します。認知症とは何らかの原因で脳細胞が破壊されることにより、脳の働きが徐々に低下し、日常生活に支障が生じる程度まで症状が重くなった状態をいいます。

 

認知症は引き起こす原因によりアルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症などに分類されますが、ここではその中で最もよくみられるアルツハイマー型認知症についてお話ししていきます。

アルツハイマー型認知症とグルタミン酸仮説

 

アルツハイマー型認知症の発症のメカニズムについてはアリセプトに代表するコリンエステラーゼ阻害剤の記事で解説しました。アミロイド仮説、タウ仮説、コリン仮説がありましたね。ここではもう一つの仮説グルタミン酸仮説をお話します。

 

神経細胞の末端はシナプスと呼ばれる構造を持ちます。神経細胞同士はくっついておらず、数万分の1mm程度離れており、この隙間をシナプス間隙といいます。そして情報を伝達する側のシナプスを前シナプス、情報を受け取る側のシナプスを後シナプスといいます。

 

前シナプスからは神経伝達物質のグルタミン酸が放出されていますが、通常時その量はわずかです。しかし何かを記憶したり学習する際には大量のグルタミン酸が放出されます。

 

ボーっとしているときはグルタミン酸の放出が少ない、逆に必死こいて勉強しているときは放出が多いとイメージ頂ければわかりやすいかもしれません。つまりグルタミン酸の量にメリハリがあるわけです。

 

次に後シナプスにはNMDA(N-methyl-D-asparate:N-メチル-Dアスパラギン酸)受容体があるのですが、普段はマグネシウムイオン(以下Mg2+)が受容体に蓋をするように結合しています。

 

グルタミン酸がNMDA受容体に結合すると蓋をしていたMg2+がポロッと取れてしまいます。その瞬間、シナプス間隙に存在するカルシウムイオン(以下Ca2+が神経細胞内に一気に入るのです。これにより情報が伝達され、その後Mg2+が再びNMDA受容体に蓋をします。これが記憶形成の一連の流れです。

 

アルツハイマー型認知症の患者様はグルタミン酸の放出が活発化しています。NMDA受容体は常に活性化され、Mg2+が外れることでCa2+が神経細胞内に入り放題という状態です。

 

神経細胞内のCa2+濃度が高い状態が続いてしまうため、Ca2+により活性化される酵素が暴走してしまいます。その結果神経細胞が傷害され死んでしまうのです。

 

またグルタミン酸が出っぱなしのため、脳も記憶形成のため量が増えているのかどうか判断できなくなってしまいます。これでは情報はうまく伝達されませんよね。これがグルタミン酸仮説になります。

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メマリーの作用機序と特徴

 

メマリーはグルタミン酸仮説におけるMg2+同様NMDA受容体に蓋をするように結合します。これによりCa2+が中に入れなくなるため、神経細胞の傷害を抑える事ができるのです。

 

しかし結合してその後ずっと離れなければCa2+が神経細胞内に入ることができないため情報が伝達されませんよね。ですが心配御無用。メマリーはシナプス間隙のグルタミン酸の量が一定以上になると外れるという特徴があります。

 

そのため記憶形成時にグルタミン酸の量が増えた時にはしっかりとCa2+を通過させ、その後再び蓋をします。本来の記憶形成流れに近い形となるため、症状の緩和が期待できるのです。

 

ただメマリーもアミロイド仮説やタウ仮説に作用する薬ではありません。現在発売されている他の認知症治療薬同様、進行を若干遅らせる、症状を一時的に軽くする薬であると認識する必要があります。

 

メマリーの適応、用法・用量は以下のようになっています。

効能又は効果/用法及び用量

中等度及び高度アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制
通常、成人にはメマンチン塩酸塩として1日1回5mgから開始し、1週間に5mgずつ増量し、維持量として1日1回20mgを経口投与する。

メマリー添付文書より引用

メマリーは4週毎に徐々に増量するのですが、その理由は副作用のめまいの発現を抑えるためです。少しずつ量を増やすことで徐々に慣らしていきます。

 

また軽度のアルツハイマー型認知症には使えません。適応は「中等度及び高度アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制」です。ご注意を。

 

メマリーは腎排泄型の薬であり、肝臓での代謝はほとんど受けないとされています。そのため高度の腎機能障害(Ccr>30mL/min未満)の方には1日10mgまでの使用となります。※Ccrはクレアチニンクリアランスの略号で腎機能の評価に用いられます。

メマリーの副作用

 

メマリーに特徴的な副作用は先程お話しためまいです。他にも便秘や頭痛などがあります。重篤なものとしては痙攣や意識消失などがあります。

 

認知症の方は運転能力の低下が認められています。また上記に加え眠気などの副作用出現の可能性もあり、自動車などの運転は控える必要があります。これは抗認知症薬全てに言えることです。

他の認知症治療薬との併用について

 

メマリーは現在発売されている全ての抗認知症薬と併用可能です。理由は簡単で作用機序が異なるからです。リバスタッチ、イクセロン、アリセプト、レミニールは全てコリンエステラーゼ阻害剤です。メマリーはNMDA受容体拮抗薬になります。

 

それではメマリーについては以上とさせて頂きます。最後まで読んで頂きありがとうございました。

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