今回はビタミンD製剤であるアルファロール、ロカルトロール、エディロール、これら3剤の違いと使い分けについて解説します。

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骨粗しょう症の病態

骨粗しょう症は、何らかの原因によって骨の強度が低下してしまい、骨折リスクが高くなっている状態を指します。年齢が高くなるほどに発症する可能性が高くなってしまい、男性よりも女性に多い疾病です。

 

骨は常に代謝を繰り返しており、骨の中にカルシウムを送り込む活動(骨形成)と、骨からカルシウムを取り出す活動(骨吸収)が行われています。このバランスが崩れてしまったときに、骨がもろくなってしまうのです。

 

骨粗しょう症になってしまうと、例えば背骨が体重を支え切れなくなり、一部が圧迫骨折して背中に鋭い痛みを感じたり、腰が曲がったり、身長が縮んでしまったりということが報告されています。

 

原因は加齢によるホルモンバランスの乱れが多く、そのほか、偏った食生活や運動不足なども発症を促す原因とされています。

骨粗しょう症の治療

骨粗しょう症の治療は、まずは食事療法から開始します。

 

カルシウムを多く含む食品(小魚・牛乳など)を積極的に摂取し、カルシウムの吸収を促進する役割を持つビタミンD・ビタミンKを多く含む食品(きのこ類や野菜、納豆など)を摂取するように心がけます。

 

カルシウムの排泄を促進するものや吸収を阻害するもの、例えばアルコールやリンを多く含んだ食品はできるだけ摂取を避けていきます。

 

それに合わせ、適度な運動を組み合わせることも骨密度を回復させる効果があるとされており、軽いスクワットなどの筋肉トレーニングも効果的です。

 

食事・運動での効果が不十分だった場合、薬物療法も行われます。ホルモンバランスを整えて骨の代謝を改善する医薬品や、カルシウム・ビタミンを補充する医薬品など、状況に合わせて処方が決められていきます。

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ビタミンD製剤の特徴

骨粗しょう症の薬物治療では、ビタミンD製剤を利用することが一般的です。ビタミンDは食品として摂取した後、体内で太陽の光によって活性型ビタミンDとなることで効果を発揮します。

 

医薬品の場合には、当初から活性型ビタミンDとされているため、効率的な摂取が可能となるのです。ビタミンDは食品からも摂取できる成分であるため、重篤な副作用が出る可能性が低いこともあり、使用しやすい医薬品だと言えるでしょう。

 

ただし、カルシウムが過剰に吸収された場合の「高カルシウム血症」「腎不全」には注意しなければいけません。強い動悸や血圧の変動、むくみなどが現れた場合には、医師・薬剤師に相談する必要があります。

アルファロール

アルファロール(一般名:アルファカルシドール)は、カプセル剤・液剤・散剤が発売されており、活性型ビタミンD製剤で最も剤型が多いものです。

 

プロドラッグとされているため、内服後に代謝されることによってその効果を発揮します。効果が持続的に発揮されるため、急激な血中濃度の上昇がないことが特徴的です。

ロカルトロール

ロカルトロール(一般名:カルシトリオール)は、カプセル剤・注射剤が発売されています。プロドラッグではないため、高カルシウム血症・ビタミンD中毒症に対して禁忌とされています。

エディロール

エディロール(一般名:エルデカルシトール)は、カプセル剤のみが販売されています。活性型ビタミンD製剤ではもっとも新しいものであり、骨粗しょう症に対する効果も従来のものよりも高くなっています。

 

骨折リスクを減少させる効果も検証されています。活性型ビタミンD製剤のなかでは、唯一催奇形性が認められているものであり、妊婦には禁忌となっています。

ビタミンD製剤の使い分け

その効果の面から、エディロールが他の活性型ビタミンD製剤よりも優れていると考えられるため、基本的にはエディロールを選択するべきでしょう。ただし、価格の面で言えば、アルファロールが最も安価となっています。

 

妊娠中であればエディロールは使用できませんし、経口服用が不可能であればロカルトロールの注射剤を選択する必要があります。

 

効果に多少の違いはありますが、そこまで大きな違いだとも言えない為、必要に応じて選択を変えていくことになります。

 

出典:
アルファロール 添付文書・インタビューフォーム
ロカルトロール 添付文書・インタビューフォーム
エディロール  添付文書・インタビューフォーム
公益財団法人 骨粗鬆症財団 ホームページ