明治時代に制定された法律によって医師と薬剤師の業務を分けた、いわゆる医薬分業が始まったことにより、現在では全国のほぼすべての病院や診療所で処方箋が発行されることになりました。

病状によって処方せんを発行してもらい、薬局で調剤をしてもらう。日本では当たり前のスタイルですが、欧米では日本とは異なる処方箋の形態がとられていることをご存知でしょうか?

日本とは異なる方法により患者に薬を提供するリフィル処方箋という制度。どういったものであるのか、この記事では期待できるメリットやデメリットについてお話していきたいと思います。

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リフィル処方箋とは?

 

リフィル処方箋とは、1枚の処方箋で定められた期間の間に繰り返し調剤を受けることができる処方箋のことです。調剤できる回数も処方箋に記載されます。リフィルの日本語訳は「おかわり」や「差し替え」などであり、繰り返すことを意味しています。

 

リフィル処方箋は多くの先進国で採用されている制度で、日本でも導入の検討が以前から行われています。一般的には病状の安定した患者に対して発行されるもので、誰でも利用できるわけではありません。

 

しかしこのリフィル処方箋によって現状の医療が大きく変わる可能性を秘めています。

導入によるメリット

 

リフィル処方箋が可能となれば、医師・薬剤師・患者のすべてにメリットが生まれます。まずは医師のメリットとして、日々の多忙な業務を軽減することが可能になる点です。

 

安定した状態の患者であれば、リフィル処方箋の発行で薬局に管理を委任することが可能になり、その分急性期の患者に対して割ける時間を増やすことができます。これによって日本の医師不足による問題点を解消することができるとされています。

 

次に薬剤師にとってのメリットですが、その専門知識を今以上に発揮する機会が増えることにより、薬剤師の地位向上につながることになるでしょう。地域医療での薬剤師の存在感が大きくなることが予想されます。

 

さらに、患者にとっても診察に掛かる医療費を軽減することができ、また時間を節約することも可能になります。国にとっても医療費の削減につながる為、大いにメリットがあることでしょう。

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導入によるデメリット

 

さてリフィル処方箋のメリットについてお話しましたが、当然デメリットも存在しています。このデメリットについても現在議論が進められています。

 

医師にとってのデメリットとして考えられるのが、収入の低下と患者の医師離れです。単純に患者が病院に受診する回数が減ってしまうため、それに伴って病院の収入は低下してしまいます。また、医師と顔を合わせる機会が減れば、どうしても患者との距離が開いてしまいます。

 

薬剤師にとってのデメリットは、いままで医師に担ってもらっていた医療に対する責任のほぼすべてが、薬剤師に掛かってくる点でしょう。

 

些細な見逃しが重大な医療事故につながる危険性をはらんでいるため、今まで以上に一人の患者に対する注意をしなければなりません。適切に患者対応するための知識と技術を日々習得するため、さらなる努力が求められることになります。

 

患者にとっても自分の状態を今までは医師と薬剤師のダブルチェックで行っていたものが、薬剤師だけのチェックになってしまうという点がデメリットとして考えられます。

 

リフィル処方箋を扱い得るだけの技量を持った薬剤師に担当してもらえなければ、医療費と時間の節約になるはずが、逆に重大な健康被害を受けてしまう可能性もあるのです。

まとめ

 

リフィル処方箋にはデメリットはありますが、メリットも多く存在しています。医師の負担を減らし、医療費を削減することが可能になれば、さらに良い医療につながっていくことでしょう。

 

そのため、国にとっても優秀な薬剤師を育成することが急務となり、リフィル処方箋の中心となる薬剤師には、さらなる精進が求められます。

 

リフィル処方箋は近い未来に実現するかもしれない制度です。医療関係者でなくてもその概要は知っておいた方がいいと思います。

 

また実現したその日に実力不足だったと嘆くことがないように、惰性で日々を過ごすのではなく、一歩でも前に進んで学んでいく姿勢で私も日々業務にあたりたいと思います。

 

それではリフィル処方箋については以上とさせて頂きます。最後まで読んで頂きありがとうございました。