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トレリーフ(ゾニサミド)の作用機序と副作用|パーキンソン病治療薬

パーキンソン振戦

今回はパーキンソン病治療薬のトレリーフについてお話していきます。

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トレリーフとは?

 

それでは名前の由来からいきましょう。トレリーフTRERIEFと明記されますが、これはTREAD(歩行)の障害や TREMOR(振戦)といった運動症状をRELIEF(緩和、軽減)する薬剤をイメージして命名されています。一般名はゾニサミドです。

 

ゾニサミドは1989年6月に抗てんかん薬としてエクセグラン名義で販売された薬です。パーキンソン患者様がけいれんを起こした時にゾニサミドを投与したところ、けいれんとともにパーキンソン病の症状改善も認められたのです。

 

この結果を元に研究が進められ、販売されたのがトレリーフになります。

 

ちなみに薬価はエクセグラン錠100mg:29.8円に対し、トレリーフ錠25mgは1115.9円となっています。※平成28年5月時点。

 

単純計算で約37倍です。なぜこのような事になったのでしょうか?それはトレリーフが”似薬効比較方式”で薬価が決められたためです。

 

類似薬効比較方式とは、既に類似薬(効能・効果や薬理作用、組成、化学構造式、投与形態、剤形区分、剤形、用法の項目で似ていると判断された薬)がある場合に、新薬の1日あたりの薬価を類似薬の1日薬価に合わせるというものです。

 

今回はエフピーが類似薬として選ばれました。ただトレリーフはエフピーと作用機序が異なります。このように新規の作用機序を持つ、類似薬よりも有効性が高い、希少疾病用医薬品である、等の条件を満たすと更に薬価に加算されます。

 

加算には画期性加算、有用性加算、市場性加算、小児加算があり、有用性加算と市場性加算は更にⅠとⅡに分類されます。

 

長くなるのでここでは説明は割愛しますが、トレリーフは有用性加算Ⅱというものが適用されました。有用性加算2は5~30%の範囲で加算されます。

 

当時のエフピーの薬価は1錠344.4円。1日薬価は1033.2円。これに有用性加算Ⅱで5%増しとなり、1084.9円となったのです。

 

さて、トレリーフの作用を簡単に説明すると「ドパミンの合成を促すことでパーキンソン病の症状を改善する」となります。

 

それではまずパーキンソン病について簡単にお話していきたいと思います。

パーキンソン病とは?

 

パーキンソン病は、1817年にジェームズ・パーキンソン医師によって初めて報告されたので、このような病名になりました。

 

パーキンソン病は、なめらかな動きが出来なくなっていく病気で、主な症状に「手足のふるえ(振戦)」「筋肉のこわばり(筋固縮)」「動きが遅くなる(無動)」「体のバランスがとりにくくなる(姿勢反射障害)」の4つがあります。

 

体を動かすためには、脳から筋肉へと運動の指令が伝わらなければなりません。脳からの指令を伝達するために必要なのがドパミンやアセチルコリンなどの神経伝達物質です。

 

パーキンソン病では脳の黒質というドパミンが作られる部分が変性し、破壊されてしまうためドパミンの量が減少しています。

 

健常な方ですとドパミンとアセチルコリンのバランスが取れていますが、パーキンソン病の患者様はドパミンが少なくなることで相対的にアセチルコリンが多くなってしまうため、運動の指令がうまく伝わらず、体をなめらかに動かすことができなくなるのです。

 

またドパミンは体の動きを調節する以外にも意欲や記憶など精神面でも重要な物質なので、うつや幻視、認知症などがみられたり、体中の働きを調節する「自律神経」が乱れることで便秘や立ちくらみ、排尿障害、発汗障害など様々な症状が現れます。

 

黒質の神経細胞が減る原因は未だ解明されていないため、現在パーキンソン病は特定疾患(難病)に指定されています。

 

また向精神薬の一部にはドパミン受容体を遮断する作用があるので、副作用としてパーキンソン病と同様の症状が現れる場合があります。これを薬剤性パーキンソニズムと言います。

 

具体的にはフェノチアジン系薬物であるコントミン(クロルプロマジン)やヒルナミン(レボメプロマジン)、ブチロフェノン系薬物であるセレネース(ハロペリドール)、ベンザミド系薬物であるドグマチール(スルピリド)などがあります。他にもカルスロット(マニジピン)などの高血圧薬でもみられる場合があります。

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トレリーフの作用機序と特徴

 

パーキンソン病治療薬には以下の様なものがあります。

パーキンソン病治療薬の種類

1.脳内で分解されてドパミンになる薬(L-ドパ)
2.ドパミンを分解する酵素(MAOB)を阻害する薬
3.レボドパを分解する酵素(DDC)を阻害する薬
4.レボドパを分解する酵素(COMT)を阻害する薬
5.本来ドパミンが結合する部分(受容体)に結合する薬
6.ドパミンの放出を促す薬
7.アセチルコリンの働きを弱める薬
8.脳内で分解されてノルアドレナリンになる薬
9.アデノシンの働きを弱める薬
10.ドパミンの合成を促す薬

 

トレリーフは上記

「2.ドパミンを分解する酵素(MAOB)を阻害する薬」

「10.ドパミンの合成を促す薬」

に当てはまります。それではもう少し詳しく見ていきましょう。

 

先ほどお話したように、パーキンソン病はドパミン作動系の機能低下により脳から筋肉への運動の指令がうまく伝わらない病気。ドパミンが減っているために、もうひとつの神経伝達物質であるアセチルコリンが相対的に過剰になっている状態です。

 

そこで注目するのがドパミンを分解する酵素であるモノアミン酸化酵素B(MAOB)、そしてドパミンを合成する酵素チロシン水酸化酵素の2つです。

 

チロシン水酸化酵素はチロシンというアミノ酸を原料にレボドパを合成する酵素。ちなみにレボドパにドパ脱炭酸酵素(DDC)が作用するとドパミンになります。

 

トレリーフはMAOBの働きを阻害することでドパミンの分解を抑制します。またチロシン水酸化酵素を活性化することでドパミンの合成が促されます。これによりドパミンの量が増え、症状が改善するというわけですね。

 

パーキンソン病治療が長期化してくると、次の服用時間前にパーキンソン病症状が現れることが一日に何度も起きる「ウェアリング-オフ現象」が現れることがあります。原因としては、パーキンソン病が進行し、神経細胞が減少することで、ドパミンの再取り込みやストックができなくなっていくためだと考えられています。

 

レボドパ含有製剤にトレリーフを併用することで、ウェアリング-オフ現象の改善(オフ時間の短縮)が認められています。

 

トレリーフの剤形には普通上に加えてOD(口腔内崩壊)錠も用意されており、嚥下障害のある患者様なども服用しやすい剤形になっています。口腔内崩壊錠とは少量の水や唾液で溶けるように工夫された製剤になります。

トレリーフの副作用と注意事項

 

副作用は、眠気、吐き気、食欲不振、幻覚など。

 

眠気がみられる場合がありますので、服用中は自動車の運転や機械の操作、高所作業等危険を伴う作業はしないようにして下さい。

 

また発汗減少も報告されています。汗が少なくなることで体温が上昇し、熱中症の危険性もありますので、夏場は特に注意して下さい。

 

稀ではありますが、悪性症候群と呼ばれる症状が現れる場合があります。急な増量、減量、中止などにより、高熱や意識障害、ショック等が現れる場合があります。自己判断で薬の量を変更するのは避けましょう。

 

それではトレリーフについては以上とさせて頂きます。最後までお読み頂きありがとうございました。

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