病院で処方された薬や病気についてわかりやすく解説します

【現役調剤薬局薬剤師】が語る仕事内容とメリット・デメリット


みなさんは調剤薬局の薬剤師に対してどのようなイメージを持たれていますか?

 

「普段は調剤室の奥にこもっていて、必要時にただ薬を渡してくれる人」

「お薬を調剤するスペシャリスト…かな?」

「正直、病院の中で薬をもらう方が楽なんだけど。いる意味あるの?」

 

…とこんな風に感じておられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。少なくとも一般の方は調剤薬局薬剤師の業務内容について「あまり知らない」という方が多いのではないかと思います。

 

医師や看護師の方はもちろんのこと、薬剤師の免許を持っている方でさえも「実はよく知らない」という方が意外といらっしゃるものです。

 

今日はみなさんに少しでも調剤薬局薬剤師の仕事内容や転職するメリット、デメリット等について知っていただくことができればと思っておりますので、よろしくお願い致します!

 

調剤薬局薬剤師の業務内容

 

基本的な業務の流れとしては、処方せんを受け付け、飲み合わせや処方内容に誤りがないかなどをチェック(監査)し、お薬を調剤したうえで患者様にお渡しするというものになります。

 

「そんなの機械でもできるじゃないか」

 

このような声が聞こえてきそうですが、そう簡単にすべての業務を機械が行うことはできません。確かに調剤自体は最近機械化が進んできたので、機械でカバーできることも増えてきてはいます。

 

ただし監査に関しては、まだまだ機械には完全に任せるのは難しい複雑な業務になります。

 

人にはそれぞれ様々な生活があり、環境も異なります。中にはアレルギーをお持ちの方もいますし、市販薬やサプリメント併用の有無、たばこ、お酒などの嗜好品も当然異なります。食事の内容やその時間帯もまちまちです。みなさんがよく口にされるお茶が薬の効果を下げてしまうという場合もあります。

 

また、処方される薬の中には市販薬やサプリメント、たばこなどの影響が非常に大きいものもあります。食事の影響も考慮しなければなりません。使い方を間違えると命を落としてしまうような場合もあるのです。

 

それほどお薬というものは慎重に服用する必要がありますし、これらの飲み合わせなどを見極めるには十分な知識と経験が必要です。

 

このように、飲み合わせやその人に応じた飲み方などをきちんと考察したうえで、最適な薬物治療が行われるようにアドバイスをするのが調剤薬局薬剤師なのです。調剤薬局薬剤師の業務内容はこの部分が大きな比重を占めていると言ってもいいでしょう。

 

これは忙しく働く病院の医師が行うには難しい部分でもあり、誤解を恐れずに言うと、そこまでの知識と時間的な余裕のある医師はそう多くはありません。専門外の薬剤に関してはあまり詳しく知らないという医師は意外と多いものです。

 

医師にしかできない仕事を医師が集中して行えるように、また、薬剤師にしかできない仕事を薬剤師が行えるようにするために医薬分業が進められていったという背景があります。

 

その他の業務としては、日々の医薬品の発注・管理業務や在宅患者様の自宅にお薬をお届けし、服薬管理について指導をするということなどがあります。

 

また、最近では地域医療に積極的に貢献するように求められている部分もあり、地域の方に向けての勉強会を開催したり、健康相談窓口として処方せんがなくても気軽に足を運んでもらえるような取り組みをしている調剤薬局もあります。

 

このように薬局薬剤師の業務内容も時代の流れとともに変化を続けているのです。

 

調剤薬局薬剤師のメリットとデメリット

 

調剤薬局薬剤師のメリットとしては以下のようなものが挙げられると思います。

調剤薬局薬剤師のメリット
・地域医療に直接貢献できる

・医薬品の知識が身に付くことで家族や友人にもアドバイスができる

・比較的安定した収入が得られる

・管理薬剤師やエリアマネージャー、調剤部門の部長等へのキャリアアップも可能

最近かかりつけ薬剤師という制度や健康サポート薬局などの制度もでき、国が薬剤師に求めるものはどんどん大きくなってきています

 

地域の方々の健康拠点になることができるというのは薬剤師としても非常にやりがいを感じるところであり、それが実現できるのも調剤薬局の良いところなのではないでしょうか。

 

また収入面においても世間一般にくらべるとやや高めのところが多く、安定した生活を送ることができるというのもメリットとして挙げられるのではないかと思います。

 

出世意欲の強い方はキャリアアップの道もあり、将来的に開局をするという選択肢があるのも魅力のひとつです。

一方、デメリットとしては以下のようなものが挙げられます。

調剤薬局薬剤師のデメリット
・門前の外来が延長した際、勝手に閉められず、帰宅時間が読めないことも

・在宅などで休日に急に呼び出される場合もある

・輸液などの知識を得る機会が少ない

・飛び抜けた高収入を得るのは難しい

小児科の門前薬局などで働いていると冬場は特に大幅に延長することもあります。薬局によっては終業時間が本来の閉局時間の2~3時間後になってしまうことも少なくありません。

 

在宅業務を積極的に行っている薬局では、患者様の急変に対応すべく休日に呼び出しがかかり、配薬をしなければならないこともあります。

 

知識面においては、勤務する調剤薬局にもよりますが、病院薬剤師と比較して輸液や注射剤などを扱う機会が少なく、それらの知識を得ることが難しかったりもします。

 

また製薬会社のMRや研究職などに比べると爆発的に収入を上げることは難しいと言われています。収入を上げる為にエリアマネージャーやさらに上の立場に上がることも選択肢としてはありますが、マネジメント能力なども必要であり、誰もが簡単にできる仕事ではありません。

 

そのうえ、現場から離れることにも繋がってしまい、地域医療に直接貢献する薬局薬剤師としての仕事ができなくなってしまうということも考えられます。

 

調剤薬局薬剤師に求められる能力とは

 

調剤薬局薬剤師に求められる能力には以下のようなものが挙げられます。

 

調剤薬局薬剤師に求められる能力
・常に患者様やご家族の立場に立った考え方ができる

・協調性がある ・コミュニケーション能力が高い

・日々の自己研鑽を怠らない

・薬剤師としての使命感・倫理観・責任感がある

まず第一に求められるものとしては、やはり『薬剤師である以前に、人としての資質が備わっているか』ということでしょう。相手を思いやる心や気遣い、言葉使いなどができないと残念ながら簡単には務まる仕事ではありません。

 

患者様だけではなく、そのご家族や介護している方などへの心配りができる、ということもとても大切になってきます。薬の知識だけではなく介護の知識もあれば言うことありません。『共感』を示すことができるというのも大事な能力の一つです。

 

また、調剤薬局というのは狭い職場ですので協調性がないとたちまち職場の空気が悪くなってしまいます。人の意見は聞かずに自己主張ばかりしていたり、同僚や会社の文句ばかり言っているようでは孤立してしまいかねません。

 

「地域医療に貢献する」という強い気持ちを職場内で共有しながら、一緒になって職場環境を作っていくということがとても大切なことなのではないかと思います。

 

また、医療の世界は日進月歩であり、日々新しい作用機序の医薬品が誕生しています。自己研鑽を怠らず、知識をアップデートしていくこともとても大切です。

 

調剤薬局で働きたいと思っている先生へ

 

調剤薬局という職場は小さいようですが、とても大切な仕事をしています。

 

極端に言えば、一昔前はただお薬を調剤して患者様に説明しておけば良かったという時代があったかもしれませんが、これからの時代はまったく違います。

 

いかに地域医療に貢献できるかということを常に考えながら薬局の外に出ていくことが大切であり、これからの地域医療に薬局薬剤師は欠かせない存在になるでしょう。顔が見える薬剤師になることも重要です。

 

みなさんが思っている以上に薬剤師以外の方は医薬品の知識がありません。

 

知識がないことによって知らないうちに健康被害を受けてしまっている患者様が世の中にはたくさんいます。本来、受けるべきではない薬剤による健康被害が患者様及びそのご家族に与える影響は本当にはかり知れません。薬による健康被害だと気付くことができるのはやはり薬剤師なのです。

 

また、投薬において同じ内容を伝えるにしても、薬剤師の表情や話し方など、対応の仕方によって患者様の気持ちは随分変わってきます。

 

世の中機械化がどんどん進み、とても便利になりましたが、特に病気の患者様に対して機械的に対応するような薬剤師は必要とされていません。

 

『心ある対応』は決して機械にはマネできないことなのではないでしょうか。

 

私自身も試行錯誤しながら地域医療に貢献できる形を模索しているような未熟者ではありますが、ともに地域の医療を支える薬局薬剤師を目指してこれからも頑張っていきましょう!

 

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