病院で処方された薬や病気についてわかりやすく解説します

ステロイド外用薬の作用機序と副作用、分類について


この記事ではステロイド外用薬の作用機序や副作用、塗り方などについてわかりやすく解説していきます。

 

ステロイド外用薬は元々、人間の体の中で作られるステロイドホルモンを人工的に作ったもの。皮膚の厚さは部位によって異なるため、塗り方にも注意が必要になります。

 

こわいと言われている副作用の本当の原因についてもお伝えしていきたいと思います。

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ステロイド外用薬の作用機序

副腎皮質ホルモンを人工的に作ったのがステロイド薬

人にはもともと体内で合成することのできるホルモンがあり、それをステロイドホルモンと呼びます。

 

このステロイドホルモンには、男性ホルモンと女性ホルモン、そして副腎皮質ホルモンの3種類があり、副腎皮質ホルモンを人工的に作ったのがステロイド薬になります。

 

副腎皮質ホルモンは、腎臓の上にある小さな豆のような形の副腎という臓器から分泌されるもの。

 

このホルモンのうちの一つである糖質コルチコイドにはコルチゾールという成分が含まれています。このコルチゾールに炎症を抑える働きがあることが分かり、薬として作られるようになったのです。

ステロイド外用薬の作用について

ステロイド外用薬は、どのように皮膚に浸透して薬の効果を発揮するのかご存知ですか?

 

ステロイド外用薬の粒子は非常に小さくて分子量でいうと約450~520とされています。分子量が小さい事に加えて、粒子の性質が脂溶性のため、皮膚の細胞膜を軽々と通過することができます。

 

細胞膜を通過したあとは、グルココルチコイド受容体(glucocorticoid receptor:GR)という受容体と結合します。そして、遺伝子の転写に作用することにより炎症に関係するサイトカインなどを抑え、抗炎症効果を発揮するのです。

ステロイド外用薬の分類

 

ステロイド外用薬の分類分けは、皮膚への吸収度の強弱によって5段階に分類されます。

 

この吸収度の強さというのは、ステロイドの量ではなく「体に吸収されにくいか?吸収されやすいか?」です。

 

実際に主成分のステロイドとしては、油性基剤の中にほんの0.1~0.05%の割合で含まれているだけで、ほとんどが基剤になります。ランクと代表的な薬について記載します。

ステロイドのランク5段階

Ⅰ 最も強力  Strongest
デルモベート、ソルベガ、ダイアコート、ジフラール

Ⅱ かなり強力 Very strong
シマロン、トプシム、アンテベート、マイザー、ビスダーム、ネリゾナ、テクスメテン、フルメタ、リンデロンDP、パンデル

Ⅲ 強力  Strong
メサデルム、プロパデルム、リンデロンV、ベトネベート、エクラー、ザルックス、ボアラ

Ⅳ 中等度 Mild(Medium)
リドメックス、キンダベート、ロコイド、アルメタ、レダコート

Ⅴ 弱  Weak
プレドニゾロン

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ステロイド外用薬の塗り方について

 

ステロイド薬を塗る際に注意しないといけないことは、皮膚の部位によってステロイドの吸収が異なるということです。体の皮膚は全部同じ厚さではなく、顔や陰部は皮膚も非常に薄く血行が良いのでステロイドの吸収は高くなります。

ステロイド外用薬の部位による吸収力

ヒドロコルチゾンの経皮吸収性

マルホ株式会社 部位による違いより引用

マルホ株式会社様の図がとても見やすいので引用させて頂きました。

 

図のように、ステロイドの皮膚への吸収率はひじの裏側を1として考えると、額は6倍、また陰部は42倍も高いのです。これだけ吸収率に違いがあると、同じステロイドでも皮膚に対する影響が違ってきます。

 

そのため、顔や陰部の血行の良い部位には通常はⅣ(Mild)やⅤ(Weak)などの弱いステロイドが処方されます。また、大人と子供でも皮膚の吸収率は異なり、特に幼児はステロイドの吸収率が高いため大人より1ランク弱いステロイドが処方されます。

 

医師は患者個々の症状に合わせて1日の使用量、使用期間を決めています。吸収がいい部位にあえて強力なステロイド外用薬を使用することもあります。

 

少し良くなったからといって自己判断で中止するとかえって症状が悪化することになりますので、医師の指示通り使用することが何よりも大切です。

ステロイド外用薬の塗り方

ステロイドの外用薬の使用量の目安は「FTU」という単位が用いられています。

 

FTUとは、finger-tip unit(フィンガー・チップ・ユニット)の略で、大人の人差し指の先から第1関節に軟膏を押して出した量で約0.5ℊに値する目安とされています。この0.5gが大人の手のひら2枚分の面積に相当します。

 

この1FTUですが、チューブの穴の口径によって量が異なってくるので注意が必要です。ちなみに、5gのチューブは0.2g、10gのチューブは0.3g、25gのチューブは0.5gとなっています。

 

ステロイドの外用薬は鎮痛作用のある塗り薬とは異なり、擦りこんだりする必要はありません。病変部位のみに撫でるように塗るようにして下さい。

 

塗布回数はステロイドの場合は1日1~2回、症状が落ち着いてきたら1日1回にするなど医師は患者個々に指示を出します。くれぐれも自己判断で行わず医師の指示に従いましょう。

ステロイド外用薬の副作用

 

「ステロイドはこわい・・・」というイメージをお持ちの患者さんも多いかと思いますが、こわいと感じている症状の話を聞いていると内服薬の副作用と外用薬の副作用とを混合していることが多いようですね。

 

基本的に、内服は全身作用であり、外用薬は局所作用になります。よほど大量のステロイド外用薬を使用しない限り、骨粗鬆症やムーンフェイス(満月様顔貌)など全身性の副作用の心配はありません。

※よほどの大量の目安(1日量):strongestで10g、very strongで20g、strong以下で30g

 

ステロイド外用剤を長期的に使用すると、皮膚の細胞増殖が抑制されることで皮膚が薄くなって、萎縮します。また毛細血管が拡張することで塗った部位が赤くなることがあります(短期的には血管が収縮して白くなることもあります)。他には多毛など。

 

ただこれらの症状はステロイド外用薬を中止することで基本的に改善します。

ステロイドを塗っていると皮膚が黒くなるは本当か?

 

患者さんからの質問で比較的多いのが「ステロイドを使用すると皮膚が黒くなってしまうの?」というものです。

 

この黒くなる原因は以下の2つ考えられていますが、いずれもステロイドによるものではありません。

1.炎症によって皮膚が黒くなってしまう。かきむしり等による、色素沈着など。
2.ワセリンによる紫外線による油焼け(皮膚の変色・黒ずみ・シミ)

1については皮膚炎の鎮静後の色素沈着によるものです。ステロイド外用薬が原因ではありません。

 

2についてですが、ステロイド外用薬は、ワセリンなど油性の基剤に0.1~0.05%含まれていると先程お話しました。つまり基剤の方が圧倒的に多いわけです。

 

昔はワセリンの精製技術が低く、含まれる不純物が油焼けの原因となっていましたが、現在販売されているワセリンには不純物がほとんど含まれていないため、基本的に問題はないと考えていいでしょう。

 

とは言え、敏感肌の方にとってはちょっと気になるところです。実は先発医薬品のステロイド外用薬の一部は、ワセリンより純度の高い「サンホワイト」を使用して製造されています。ジェネリック医薬品は通常のワセリンが使用されています。

 

そのため敏感肌の方が先発品→ジェネリック医薬品に変更となった場合、影響が出る可能性があるということは知っておく必要があります。

まとめ

 

ステロイド外用薬には5段階の強さがあり、症状や塗る部位によって使い分けます。使用する際は医師の指示通り使用することが大切。自己判断の使用はかえって症状が悪化したり治療期間が長くなってしまいます。

 

薬剤師にとってステロイド外用薬の基剤であるワセリンの質を把握しておくことは重要です。ステロイド外用薬に関しては、やみくもに先発医薬品からジェネリック医薬品に変更することは推奨されません(特に皮膚科の処方)。主成分のステロイドと同じくらい基剤も大切なのです。

 

それではステロイド外用薬の作用機序と副作用、分類については以上とさせて頂きます。最後まで読んで頂きありがとうございました。

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