今回は漢方薬の小青竜湯についてお話していきます。

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小青竜湯の名前の由来

 

小青竜湯の青竜は中国の神話に登場する、東方を守る守護神のこと。青竜の色は青であり、これは主薬の麻黄の青色によります。青竜湯には小青竜湯と大青竜湯の2つがあり、大に対して小は作用が緩和であることを意味しています。

小青竜湯の作用機序と特徴

 

小青竜湯は鼻炎などのアレルギー症状に対して多く処方されている漢方薬であり、含有している生薬は半夏(ハンゲ)、乾姜(カンキョウ)、甘草(カンゾウ)、桂皮(ケイヒ)、五味子(ゴミシ)、細辛(サイシン)、芍薬(シャクヤク)、麻黄(マオウ)です。

 

発汗作用を持っており、アレルギー症状による鼻炎や長引く咳などに効果を発揮する漢方薬です。小青竜湯に適応となる証は中間証で、やや体力が低下している状態で熱っぽく、むくみなどの水の停滞がある人に良く効きます。

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添付文書には以下のように記載されています。

効能又は効果

下記疾患における水様の痰、水様鼻汁、鼻閉、くしゃみ、喘鳴、咳嗽、流涙:気管支炎、気管支喘息、鼻炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、感冒

用法及び用量

通常、成人1日9.0gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口投与する。なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。

ツムラ小青竜湯エキス顆粒(医療用)の添付文書より引用

 

これらの作用は、アレルギーの原因となるヒスタミンなどケミカルメディエーターの遊離抑制や、気道などの炎症を引き起こす好酸球からの炎症性物質の遊離抑制により発揮されています。

 

アセチルコリン刺激を抑制することで、鼻汁の分泌量を低下させることもでき、効果的に症状を緩和させます。さらに中枢性のヒスタミンには影響を与えないことが判明しているため、抗アレルギー薬に特有の眠気や口渇などの副作用がなく、非常に使いやすい医薬品といえるでしょう。

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小青竜湯の副作用

 

小青竜湯では副作用が明確になる調査は行われていません。そのため、その発現頻度に関するデータも存在しておらず、どのくらいの頻度で起こるのかが不明です。小青竜湯には重篤な副作用の報告もある為、服用時にはその前駆(前兆)症状に注意しなければいけません。

 

重大な副作用として報告されているものは、まずは甘草に由来しているもの。低カリウム血症や血圧の上昇、浮腫を引き起こしてしまう偽アルドステロン症や、前述の低カリウム血症の結果として筋肉の動きに悪影響を与えてしまうミオパチー、検査値異常や黄疸を引き起こしてしまう肝機能障害の発生が報告されています。

ミオパチー:ここでは難病である先天性ミオパチーではなく、薬剤性ミオパチーを指しています。薬剤性ミオパチーは何らかの医薬品の影響で筋肉が痩せていき、力が入りにくいという自覚症状を伴います。服用を中止することで改善することが可能です。

 

それらの可能性がある場合には、服用の中止やカリウム剤の投与などの適切な処置が必要になります。

 

次に、間質性肺炎の報告もあるため、呼吸困難や咳、発熱や肺音の異常などが出た場合には服薬を中止しなければいけません。適切な検査を行い、炎症を抑えるためのステロイド剤の投与などの処置が必要になります。

 

その他発生する可能性がある副作用ですが、発疹や発赤・掻痒などの過敏症、不眠や発汗過多・頻脈・動悸・全身脱力感・精神興奮などの自律神経系症状、食欲不振・胃部不快感・悪心・嘔吐・腹痛・下痢などの消化器症状、排尿障害などの泌尿器症状の報告があります。

小青竜湯の飲み方と注意事項

 

小青竜湯はもともと液剤だったものを抽出して散剤にしたものです。ですので、服用時にはそれに即してぬるめのお湯で服用したほうが効果的だと言われています。約60度のお湯が最も効果的であり、あまりに熱いお湯では有効成分が揮発してしまうので注意しなければいけません。

 

小青竜湯には併用に注意しなければいけない医薬品があり、併用により副作用が発現しやすくなる場合があります。

 

まずは生薬の重複の。甘草・麻黄を含む漢方薬には注意しなければいけません。それらの生薬に有効成分として含有されているエフェドリンやグリチルリチン酸を使用している医薬品も同様です。

 

そのほか、同様の副作用を持っている甲状腺製剤やテオフィリンなどのキサンチン製剤、アドレナリンなどのカテコールアミン製剤、フロセミドやトリクロルメチアジドなどの利尿剤、モノアミン酸化酵素阻害剤も併用に注意が必要です。

 

妊娠中の使用に関しては、添付文書上では服薬の安全性が確立されていないため、「治療上の有益性が危険性を上回る場合に使用する」ように書かれていますが、妊娠中の花粉症などに用いられることがある漢方薬です。

 

ただし麻黄を含有している漢方薬であり、日本臨床漢方医会では使用可能とする医師の意見もありますが、漢方薬の原典では避けるべきものともされていることから、個別の判断が難しい漢方薬です。自己判断ではなく、必ず医師の判断の元服用するようにして下さい。

 

それでは小青竜湯については以上とさせて頂きます。最後まで読んで頂きありがとうございました。