病院で処方された薬や病気についてわかりやすく解説します

セイブル(ミグリトール)の作用機序と副作用|他α-GIとの違い

角砂糖

今回は糖尿病治療薬でαグルコシダーゼ阻害薬(α-glucosidaseinhibitor以下α-GI)のセイブルについてお話していきます。特徴や他αグルコシダーゼ阻害薬との違いについても解説します。

スポンサーリンク

セイブルとは?

 

まずは名前の由来からいきましょう。食後高血糖により膵臓が疲れてしまうこと、また血管障害を防止することで、糖尿病患者さんの生命を救う(セイブする)このセイブからseibule(セイブル)と命名されました。

 

セイブだと本来はsaveが正しいと思いますが、どうもローマ字読みにしたようですね。一般名はミグリトールです。

 

セイブルの効能効果、用法用量は以下になります。

効能又は効果
糖尿病の食後過血糖の改善
(ただし、食事療法・運動療法を行っている患者で十分な効果が得られない場合、又は食事療法・運動療法に加えてスルホニルウレア剤、ビグアナイド系薬剤若しくはインスリン製剤を使用している患者で十分な効果が得られない場合に限る)

用法及び用量
通常、成人にはミグリトールとして1回50mgを1日3回毎食直前に経口投与する。なお、効果不十分な場合には、経過を十分に観察しながら1回量を75mgまで増量することができる。

セイブルの添付文書より引用

 

作用を簡単に説明すると、「腸管からの糖の吸収を遅らせて、食後高血糖を改善する」となります。それでは詳しく見てきましょう。

セイブルの作用機序と特徴

 

他の糖尿病薬でもお話しましたが、食事を摂ってもそのままの形では吸収されません。単糖類という形になってはじめて吸収されるのです。食物に含まれる糖質は糖がたくさん結合している多糖類という状態で存在します。

 

これが唾液や膵液のアミラーゼという酵素により麦芽糖(マルトース)、ショ糖(スクロース)、乳糖(ラクトース)等の二糖類と呼ばれるものに分解されます。

 

二糖類は糖が2つ結合したものです。具体的には…

・マルトース  :グルコース+グルコース(α1→4結合)
・イソマルトース:グルコース+グルコース(α1→6結合)
・スクロース  :グルコース+フルクトース
・ラクトース  :グルコース+ガラクトース

となっています。

 

マルトースとイソマルトースはどちらもグルコースが2つ結合したものです。違うのは結合する場所だけです。

 

続いて小腸の粘膜にある酵素で更に細かく分解されます。マルターゼはマルトースをイソマルターゼはイソマルトースを、スクラーゼはスクロースを、ラクターゼはラクトースをそれぞれ切断します。

 

その結果グルコース、フルクトース、ガラクトースなどの単糖類に分解されます。この状態になってはじめて腸から吸収されるのです。ちなみに単糖類になった瞬間に腸から吸収されます。

 

もう一つ小腸にはグルコアミラーゼという酵素があります。グルコアミラーゼは多糖類を端からグルコースを一個ずつ切断していく酵素です。

 

そして上のマルターゼ、スクラーゼ、ラクターゼ、グルコアミラーゼ等を”総称”してαグルコシダーゼといいます。

 

グルコアミラーゼとマルターゼにより、最終的にはどちらもグルコースができますが、2つの酵素は全くの別物なので注意して下さいね。

 

さてセイブルですが、上で説明した酵素のうちマルターゼ、スクラーゼ、イソルターゼ、ラクターゼを主に阻害します。ラクターゼを阻害するのはα-GIの中でセイブルだけです。

 

するとどうでしょうか?多糖類、二糖類の分解が阻害されるため、単糖類になるまでに時間を要してしまいます。

 

つまり糖がゆっくりと吸収されることで、食後の急激な血糖値の上昇を抑えることができるのです。その結果インスリンの分泌が抑えられ、膵臓の負担も軽くなるのです。

 

また他のα-GIは小腸からほぼ吸収されませんので、小腸全体で薬の作用が発揮されます。しかしセイブルは小腸上部(ここ重要!)において50~100%吸収されるという特徴があります。小腸下部では薬の効果が低下するわけです。

 

つまり作用のメインが小腸上部ということになりますので、食後1時間の血糖上昇を抑える作用はセイブルは他剤よりも強いと言えるでしょう。

スポンサーリンク

セイブルの副作用

 

作用機序でお話した通り、インスリンの分泌を介さない作用のため、単独では低血糖は起こりにくいです。ただゼロではありませんし、他のインスリン分泌を促進するSU薬などと併用すると起きやすくなります。

 

低血糖の際は必ずブドウ糖を摂って下さい。理由は上の説明をみればわかりますよね。砂糖などの二糖類ではセイブルにより分解が阻害され、吸収が遅れるためです。服用中はブドウ糖を忘れずに携帯しましょう。

 

副作用で多いのは腹部膨満感(お腹の張り)、下痢、放屁などの消化器系の副作用です。これは吸収されなかった糖が大腸に到達し、腸内細菌により発酵されガスを発生するためです。

 

セイブルはαアミラーゼの阻害作用が非常に弱いのですが、ラクターゼ阻害作用により分解されなかったラクトース(乳糖)が大腸に到達することで下痢の副作用が多くなっています。

 

副作用の消化器症状は2週間から1ヶ月くらいで落ち着くことが多いですが、腸閉塞を起こすことがありますので注意が必要です。

 

また肝機能障害も頻度は低いですが報告されています。ひどく体がだるかったり、食欲低下、目や皮膚の色が黄色くなる(黄疸)など見られる場合は直ちに医療機関を受診して下さい。

 

また飲み忘れた場合の対応ですが、食事中に気づいた場合は服用、食後に気づいた場合はその回はスキップ(飛ばす)ようにして下さい。食後に服用しても効果が期待できません。

 

そうならないためにも、αグルコシダーゼ阻害薬は箸を持ったらまたは食事の一口目と服用、これをきちんと守って下さいね。

 

それではセイブルについては以上とさせて頂きます。最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

当サイトが解説する他の糖尿病治療薬はこちら

スポンサーリンク

こちらの記事もおすすめです

関連記事

サイト内検索



「いいね」して頂けるととても嬉しいです(^^)

お役に立ちましたらフォローお願いします☆