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マリゼブ(オマリグリプチン)の作用機序と副作用|週1回投与

角砂糖

今回はインクレチン関連薬の『マリゼブ』ついてお話していきます。

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マリゼブとは?

 

それでは名前の由来からいきましょう。マリゼブはMARIZEVと表記されます。”MARI”は一般名であるオマリグリプチン(Omarigliptin)のマリ、”ZEV”は1週間効果が持続するということでSEVENに由来します。国内ではザファテックに続き2剤目の週1回投与のDPP-4阻害薬になります。

 

マリゼブの作用を簡単に説明すると、『週1回の服用で血糖値が高い時インスリンの分泌を促し血糖値を下げる』となります。それではもう少し詳しくみていきましょう。

インスリンの働きについて

 

まずはインスリンの働きについてお話していきます。私達が摂った食事(糖質)はそのまま身体に吸収されるわけではありません。アミラーゼなどの消化酵素によりブドウ糖まで分解され、初めて小腸から吸収されます。その後にブドウ糖は血液中に移動するわけです。

 

いわゆる血糖値は血液中のブドウ糖の量を指します。ブドウ糖は筋肉や肝臓などの全身の臓器に運ばれてエネルギーとして使用されます。また残ったブドウ糖はグリコーゲンや脂肪として蓄えられます。

 

『ブドウ糖を筋肉や肝臓などの全身の臓器に運ぶ』これを行っているのがインスリンです。ただしブドウ糖が各臓器に運ばれても、臓器を構成する細胞の入り口が閉じていると、ブドウ糖は中に入る事ができません。

 

インスリンは細胞の入り口を開ける事ができます。こうして初めてブドウ糖は細胞内に入り、エネルギーとして利用できるようになります。また血液中のブドウ糖が減ることで血糖値が下がります。健康な人はこれらが自然に行われているため、血糖値がきちんと管理されているわけです。

 

ではインスリンの働きが悪く、入り口のドアを少ししか開けることができない場合どうでしょうか?入り口が狭いため、ブドウ糖が細胞内に入る量が減ってしまいますよね。このことをインスリン抵抗性といいます。

 

また入り口を開ける能力を持つインスリンの量が少なかったらどうでしょうか?こちらも同じようにドアが十分に開かないため、細胞内に入るブドウ糖がいつもより少なくなってしまいます。このことをインスリン分泌不全といいます。

 

これらが原因でいつもは細胞内に入っていたブドウ糖が血液中に残ってしまい、血糖値が高くなってしまいます。この状態が続くと糖尿病になってしまうわけです。改善する方法は2つ。

 

・インスリンの働きを高める。
・インスリンの量を増やす。

マリゼブは下のインスリンの量を増やす薬になります。これだけ見るとSU剤と同じですが、作用が異なります。ですがその前に『インクレチン』についてお話ししていきましょう。

インクレチンとは?

 

インクレチンとは血糖値上昇に伴って、主に小腸から分泌されるホルモンです。血糖値が高い時だけ分泌が促進されるこれがポイントです。

 

インクレチンにはGLP-1とGIPがあります。GLP-1はglucagon-like peptide-1の略です。日本語ではグルカゴン様ペプチド1。GIPはglucose-dependent insulinotropic polypeptideの略で日本語ではグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチドといいます。とても長ったらしいのでGLP-1、GIPだけ覚えておけばOKです。

 

GLP-1は膵臓のβ細胞にあるGLP-1受容体に結合、GIPも同じく膵臓のβ細胞にあるGIP受容体に結合します。すると細胞内のATP(アデノシン三リン酸:生命活動に必要なエネルギー源)がアデニル酸シクラーゼという酵素によりcyclic AMPに変換されます。

 

次にcyclic AMPはプロテインキナーゼAという酵素を活性化します。プロテインキナーゼAは細胞膜上のカルシウムチャネルを開き、細胞内にカルシウムイオンが入るとインスリン分泌顆粒と呼ばれる部分からインスリンが分泌されます。

 

インスリン分泌作用はGLP-1の方がGIPよりも強いです。またインクレチンはインスリン分泌を促す以外の作用も持ち合わせています。これを膵外作用といいます。

 

GLP-1は膵臓のA(α)細胞から分泌されるホルモン『グルカゴン』の分泌を抑制します。グルカゴンは主に肝臓のグリコーゲンを分解してグルコースを作り出します。これを抑制できれば血糖値の上昇を抑える事ができます。

 

他にも胃の運動を抑制し、食べ物が腸へ送られるのを遅らせたり、脳に働きかけ、食欲を抑制する作用も持っています。これにより食後の血糖値上昇、体重増加を抑制できます。

 

とても素晴らしい働きをするインクレチンですが、DPP-4(dipeptidyl-peptidase-4:ジペプチジルペプチダーゼ4)という酵素と結合するため数分で分解されてしまうのです。マリゼブはDPP-4を阻害する作用を持ちます。

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マリゼブの作用機序と特徴

 

マリゼブはインクレチンを分解する酵素DPP-4に結合するとDPP-4はその働きが失われます。そのためインクレチンは分解されず膵臓に辿り着き、インクレチン本来の作用を発揮できるようになります。

 

SU剤もインスリンの分泌を促しますが、血糖値の高低にかかわらず作用するため膵臓が疲れてしまいますし、また低血糖を起こしやすくなります。

 

それに対しインクレチンは血糖値が高い時だけ作用するため膵臓の負担を軽くでき、低血糖を起こす可能性も単剤では低いということが言えるでしょう。

 

ザファテックはネシーナの一部を改良することで週1回作用を持続させることに成功した薬です。マリゼブの製造販売元はMSDですが、同社が販売するジャヌビアの改良版ではなく全く新しい成分になります。

 

マリゼブは膜透過性が高いという特徴があり、特定の組織に偏らず体全体に幅広く分布します。これによりマリゼブは腎臓における単位時間あたりの濾過量が少ない、つまり排泄に時間を要するということになります。

 

名称 再吸収される主な物質
近位尿細管 ブドウ糖、アミノ酸、電解質、水分
ヘンレ係蹄下行脚 水分
ヘンレ係蹄上行脚 電解質(Na、Cl)
遠位尿細管 電解質(Na)、水分
集合管 電解質(Na)、水分

また尿細管において水分やブドウ糖などは上図のように再吸収されますが、通常老廃物や薬はそのまま尿中に排泄されます。しかしマリゼブは膜透過性が高いため尿細管で再吸収され、再び体内で作用することができるのです。これが週1回投与である理由です。

 

さて気になる効果の方ですが、1日1回タイプのジャヌビアに対して非劣性、副作用の頻度も同程度とされています。つまり効果と安全性については概ね同じ、と考えて頂いてよろしいかと思われます。

 

ただマリゼブは日本が世界で一番最初に発売されるため、発売後は注意深く見守る必要があります。

マリゼブの消失経路

 

マリゼブの消失経路は腎排泄型となっています。肝臓でほとんど代謝されず、多くが未変化体として腎臓から尿として排泄されます。

 

腎機能障害のある方は血中濃度が上昇する可能性があります。マリゼブは通常「25mgを1週間に1回」服用しますが、重度腎機能障害、血液透析又は腹膜透析を要する末期腎不全患者様には以下を目安に減量して対応します。

マリゼブ腎機能障害時

マリゼブの副作用

 

副作用ですが、まずは低血糖。薬の性質上マリゼブ単剤では起こりにくいですが、インスリン分泌を促進するSU剤などと併用する場合はやはり注意が必要です。

 

他にも便秘や腹部膨満感なども出現する可能性があります。急性膵炎や腸閉塞なども稀ですが報告されています。急激な腹痛や嘔吐などが現れた場合は直ちに病院を受診するようにして下さい。

マリゼブの服用方法

 

マリゼブは週1回投与の薬です。飲み忘れた時の対応ですが、気付いた時に服用します。そして次回以降は予め決めていた曜日に服用します。

 

例えば毎週土曜日に服用する患者様が水曜日に飲み忘れに気付いたとします。その時は水曜日に1回分服用し、その週の土曜日からまた通常通り服用するという流れになります。

 

また誤って1度に2回分服用してしまった場合、予め決めていた曜日より前に服用してしまった場合は1回分お休みして、次回から通常通り服用するようにしましょう。

 

それではマリゼブについては以上とさせて頂きます。最後まで読んで頂きありがとうございました。

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