病院で処方された薬や病気についてわかりやすく解説します

チラーヂンS(レボチロキシン)の作用機序と特徴、副作用


今回は甲状腺ホルモン製剤のチラーヂンSについて解説します。

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チラーヂンSとは?

 

それでは名前の由来から。チラーヂンTHYRADINと表記されますが、これは甲状腺を意味する”Thyroid”に、また末尾のSは合成を意味する”Synthesis”に由来します。一般名はレボチロキシンです。

 

チラーヂンS錠の用法用量、効能効果は以下です。

効能又は効果
粘液水腫,クレチン病,甲状腺機能低下症(原発性及び下垂体性),甲状腺腫

用法及び用量
レボチロキシンナトリウムとして通常,成人25~400μgを1日1回経口投与する.
一般に,投与開始量には25~100μg,維持量には100~400μgを投与することが多い.
なお,年齢,症状により適宜増減する.

チラーヂンS錠の添付文書より引用

 

チラーヂンS散0.01%はこちら。

効能又は効果
乳幼児甲状腺機能低下症

用法及び用量
通常,乳幼児にはレボチロキシンナトリウムとして1回10μg/kg(本剤100mg/kg)を1日1回経口投与する.
未熟児に対しては1回5μg/kg(本剤50mg/kg)から投与を開始して8日目から1回10μg/kg(本剤100mg/kg)を1日1回経口投与する.
なお,年齢,症状により適宜増減する.

チラーヂンS散0.01%の添付文書より引用

 

チラーヂンSの作用を簡単に説明すると「不足している甲状腺ホルモンを補うことで、冷え、むくみ、体重増加、便秘などの症状を改善する」となります。

 

それではまず甲状腺機能低下症について解説します。

甲状腺機能低下症とは?

 

甲状腺機能低下症とは、甲状腺の機能が低下し、代謝に関わる血中の甲状腺ホルモンが低下することで起こる疾病です。

 

主な症状に無気力、易疲労感、冷え、むくみ、体重増加、便秘、嗄声、徐脈などがあり、女性の場合はこれらに加えて月経過多が起きやすくなります。軽度の場合には無症状となることもあるため、一概にすべての症状が出てくるというわけではありません。

 

発症の原因としては様々な要因がありますが、大きく分ければ2つ。甲状腺自体に問題がある場合(原発性)と、別な部位の疾患によって二次的に引き起こされている場合(続発性)です。

 

甲状腺自体に問題がある場合、慢性的に甲状腺に炎症を起こしている橋本病が原因となる症例がもっとも多く、その他には、医薬品の副作用によって発生する場合や生まれつき甲状腺の機能が弱いクレチン病などが原因となります。

 

続発性のものでは、下垂体腫瘍などにより脳内に異常が起こり、その結果甲状腺刺激ホルモンの分泌が低下・欠乏し、二次的に甲状腺の機能が低下するというものが挙げられます。

 

治療としては、基本的に甲状腺ホルモン製剤を投与するか、様子を見るかの選択になります。一過性の甲状腺機能低下である場合もあるため、症状があるからすぐに投薬とはなりません。

 

医薬品の副作用である場合には、現在行っている治療の有益性を判断して原因薬を中止するかどうか判断し、必要に応じて甲状腺ホルモン製剤を投与します。

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チラーヂンの作用機序と特徴、適応疾患について

 

甲状腺ホルモンにはチロキシン(T4)とトリヨードチロキシン(T3)があります。実際に効果を発揮しているのはT3です。

 

それなら「T3を補充するのが手っ取り早い」と思われるかと思いますが、合成T3製剤のチロナミン錠は半減期が短く、血中濃度を一定に保つのが難しいとされています。

・半減期:血中濃度が半分になるまでの時間

 

そこで主に処方されているのが、今回お話する合成T4製剤のチラーヂンSです。チラーヂンSは服用後に代謝(脱ヨウ素化)されることでT3に変換され、各臓器で効力を発揮します。

 

チラーヂンSは半減期がとても長く、7日~10日となっており、1日1回の投与で安定した血中濃度を維持することができます。

 

また、甲状腺ホルモンの必要量は患者により異なるため、細かく対応できるように規格が複数用意されており、12.5μg・25μg・50μg・75μg・100μgの錠剤と、乳幼児向けとして0.01%の散剤が販売されています。

 

適応となる疾患は冒頭で示した通り、甲状腺機能低下症のほかに、粘液水腫、クレチン病、甲状腺腫

 

粘液水腫とは、甲状腺機能低下症に伴って発生する全身のむくみのことを言い、特に顔と四肢に起こりやすいものです。中年以降の女性に発生しやすく、むくんでいる部分を押し込んでもすぐに元通りになり、へこんだままにならないことが、通常のむくみとの違いになります。

 

クレチン病は先天的に甲状腺機能低下が起きている状態をいい、生まれつき甲状腺の機能がないか、もしくは低下している状態となっています。生後三か月以内に治療を開始できれば正常な成長が期待できますが、それ以降になると発達障害となってしまう危険性が非常に高くなります。

 

甲状腺腫は甲状腺にしこりができてしまう疾病で、腫瘍とは異なり、組織が過形成されている状態です。甲状腺機能低下と亢進、どちらも起きる可能性があります。

 

チラーヂンSは甲状腺機能低下の場合に補充していくのはもちろんですが、甲状腺刺激ホルモン(以下TSH)が分泌されないようにするために甲状腺ホルモンをあらかじめ投与しておく、TSH抑制療法でもチラーヂンは活用されています。

チラーヂンの副作用

 

チラーヂンは副作用が明確になる調査は実施されていませんが、重大な副作用の報告も頻度不明ながら存在しているため、その点には注意が必要です。

 

全身倦怠感・血圧低下・尿量減少・呼吸困難を引き起こす副腎皮質機能不全(副腎クリーゼ)や、発熱・倦怠感・黄疸・肝機能検査値異常を伴う肝機能障害、狭心症などの循環器障害が重大な副作用として報告されています。類似薬ではショックやうっ血性心不全の報告もあります。

 

低出生体重児や早産児では、晩期循環不全を起こす例もあるため、血圧低下や尿量低下、血清ナトリウム値の低下に注意しながら投与する必要があります。

 

その他の副作用として、過敏症状、心悸亢進や不整脈などの循環器症状、めまいや不眠、振戦などの精神神経症状、下痢や食欲不振などの消化器症状、月経障害や体重減少、発汗過多などが報告されています。

 

これらは基本的に過剰な甲状腺ホルモンによって引き起こされる副作用であるため、減量や休薬によって回復することが多いです。

チラーヂンの注意事項

 

投与を開始する際には、少量から開始することが大原則です。特に粘膜水腫や甲状腺機能低下症の患者では甲状腺機能の低下によって甲状腺ホルモンに過敏になっていることが多く、急激に甲状腺ホルモンが増えることで過度に代謝が亢進し、副作用が発生する危険性が高まります。

 

また疾病の悪化、副作用の発現の危険性が高くなる可能性があるため、新鮮な心筋梗塞の患者は禁忌となっており、狭心症や動脈硬化などの心・血管系の障害がある患者や副腎皮質機能低下症・脳下垂体機能低下症のある患者、糖尿病の患者、低出生体重児や早産児、高齢者も慎重投与となっています。

 

併用禁忌の薬はありませんが、以下は併用注意となっています。医師、薬剤師にお薬手帳は忘れずに提示するようにして下さいね。

・エフェドリンなどのカテコールアミン製剤(冠不全のリスク増大)
・ワーファリン(抗凝血作用を増強してしまう可能性)
・ジゴキシンなどの強心配糖体(強心配糖体の作用減弱の可能性)
・インスリンやSU剤などの血糖降下薬(血糖の代謝亢進によって血糖値変動の可能性)
・フェニトイン(チラーヂンの代謝亢進)
・コレスチラミンやアルミニウム制酸剤(チラーヂンの吸収阻害)

 

妊婦・授乳婦に関しては、「チラーヂンSを服用すること=通常人間が活動するために必要なホルモンを補充すること」であるため、悪影響が出るということは基本的にありません。妊婦の場合、むしろ甲状腺ホルモンが不足することで胎児に悪影響が出る可能性が高いとされています。

 

ただ妊娠中は甲状腺ホルモンの必要量が増える場合もありますので、主治医には妊娠がわかった時点で伝えるようにしましょう。

 

それではチラーヂンSについては以上とさせて頂きます。最後まで読んで頂きありがとうございました。

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