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インフルエンザワクチンのまとめ|持続効果、妊婦への接種の是非、副反応等について

ワクチン

今回は平成27年度より4価となりましたインフルエンザワクチンについてまとめていきます。今年度の情報をはじめ、ワクチンの効果や妊婦、授乳婦への接種についてもお話していきます。

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平成28年度のインフルエンザワクチン情報

チメロサール(保存剤)フリーの販売はなし

ワクチン製造メーカーである化血研の工場は熊本にあります。平成28年4月14日に起きた熊本地震により工場が被災したため、今年度は保存剤であるチメロサールが入っていないワクチンの販売はありません(これに伴いシリンジ製剤の販売もありません)

チメロサールが入っているワクチンでも大丈夫なの?

こう思われる方がいるのも当然だと思います。特に小児科ではチメロサールフリーのワクチンしか扱っていないというケースもよく見られます。

 

チメロサールとはエチル水銀(水俣病の原因となったメチル水銀とは違います)に由来する防腐剤であり、開封後に細菌の混入などでワクチンが汚染しないように添付されています。昨年度まではチメロサールが入ったワクチンと入っていないワクチンが販売されていました。

 

「チメロサールが危険!」と言われているのは1990年代、「チメロサールに含まれる水銀が自閉症などの発達障害を惹起するのではないか?」とアメリカで報告があったため。しかしその後数多くの研究により2004年、チメロサールと自閉症の関連性について否定されています。

 

以前と比較してワクチンに含まれるチメロサールは非常に少なくなっています(10分の1)し、エチル水銀はメチル水銀と比較して体外に排泄されやすいという性質を持ちます。またチメロサールが原因とされる具体的な副反応の報告もありません。よって安全性は高いと言えるでしょう。

 

しかし自閉症とは無関係とはいえ、チメロサールの毒性がゼロというわけではなく、入っていないワクチンを接種した方がいいのは間違いありません。

 

ただチメロサールの毒性を不安視してワクチンを接種しないのではなく、接種してインフルエンザを予防(重症化の予防)できるメリットの方が大きいため、接種するのが望ましいとされています。

ワクチンの種類について

 

インフルエンザワクチンは不活化ワクチンです。まずは生ワクチンと不活化ワクチンについてお話します。

生ワクチンとは

生きた細菌やウイルスの毒性を極度に弱めたものです。これを接種し体内で増殖する事で免疫を高めます。つまり自然に罹った場合(自然感染)とほぼ同じような形で免疫ができるため、強く長期間持続するわけです。

 

ただ弱めたとはいえ、ぶっちゃけ細菌やウイルスそのものを体内に入れるわけですから妊婦には使用できません。胎児に悪影響が出る可能性が理論上あるからです。生ワクチン接種後は二ヶ月避妊する必要があります。

 

代表的なものには、麻しん、風しん、おたふくかぜ、水ぼうそう、BCG、ロタウイルスなどがあります。

不活化ワクチンとは

細菌やウイルスを薬品等で死滅させ、毒性をなくしたものです。接種しても体内では増殖しないため、1回だけでは十分な免疫ができません。そのためワクチンによっては複数回接種することが必要となります。

 

代表的なものにインフルエンザ、B型肝炎、不活化ポリオ、日本脳炎、インフルエンザ菌b型、肺炎球菌、HPVなどがあります。

 

平成26年度までのインフルエンザワクチンにはA型2つ、B型1つの合計3種類の株が入っており、具体的にはA型はH1N1とH3N2の2つ、B型は山形系統かビクトリア系統のいずれか1つでした。

 

インフルエンザワクチンは流行を予測して作ります。しかし最近の流行を見ているとB型については山形系統とビクトリア系統の混合流行であり、どちらが流行するか予測が困難であるという現状があります。

 

そこでWHOの推奨もあり、日本でも平成27年度からB型については山形系統とビクトリア系統両方を入れた4価ワクチンとなっています。ただし接種費用は以前よりも高くなります(4価になることで病院に入ってくる価格が高くなるため)。

 

さてインフルエンザウイルスのうち変異しやすいのはA型です。ヘマグルチニンとノイラミニダーゼはシーズン中にも微妙に変異しています。

 

A型の変異の度合いが大きいと当然ワクチンの効果は落ちます。ましてや想定外の大変異を起こしてしまうと、私達は免疫がないため、世界的に大流行してしまいます。これがいわゆる新型インフルエンザです。

インフルエンザワクチンの効果と持続期間について

 

さて、インフルエンザワクチンを接種しても100%感染しないというわけではありません。「じゃあ打つ必要ないだろうが!」とおっしゃる方も出てきそうですが、決してそんな事はありません。

 

インフルエンザワクチンはインフルエンザの発症を抑える作用を持ちますが、メインはあくまで『重症化を予防する(かかっても軽く済む)』と認識して下さい。

 

例えば高齢者の場合、ワクチンを接種しない人に比べて、接種した方は死亡の危性を1/5、入院の危険性を1/2~1/3にまで減少させると言われています。

 

特にハイリスク群の方は合併症の肺炎により死亡する可能性もあるのです。効果については本やネットにより結構ばらつきがあります。概ね65歳未満の成人で7割、それ以外は6割程度と覚えておけばよいかと思います。

ハイリスク群
・65歳以上の高齢者
・妊婦
・慢性肺疾患(肺気腫、気管支喘息、肺線維症、肺結核など)
・心疾患(僧帽弁膜症・うっ血性心不全など)
・腎疾患(慢性賢不全・血液透析患者・腎移植患者など)
・代謝異常(糖尿病・アジソン病など)
・免疫不全状態の患者

 
ワクチンの効果は接種2週間~5ヶ月間程度持続すると言われています。ピークが12月末~3月ですから、遅くとも12月中旬までには接種するようにしましょう。

 

毎年接種が必要なのは効果が最長5ヶ月であること、それ以外にもウイルスの型が毎年微妙に変異するという理由もあります。

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インフルエンザワクチンの用法・用量について

 

用法・用量については…

・生後6ヶ月以上3歳未満:0.25mLを皮下注射 2回
・3歳以上13歳未満:0.5mLを皮下注射     2回
・13歳以上:0.5mLを皮下注射  1回
※2回接種の場合は1~4週間の間隔をあけること

 
となっています。
接種回数ですが、13歳未満では1回では十分な抗体ができない可能性があるため2回となっています。それ以外の年齢層では1回と2回で差はありません。

同時接種と他のワクチンとの間隔について

 

他のワクチンとの同時接種も可能です。同時接種は海外では日常的に行われていますし、日本小児科学会も海外に習う必要があると発表しています。

 

また他のワクチンとの接種間隔ですが、生ワクチンの場合は中27日、不活化ワクチンの場合は中6日あける必要があります。

 

副反応の出るスピードの違いが主たる理由です。不活化ワクチンは比較的速く現れますが、生ワクチンはある程度時間が経ってから出る事があるからです。その目安が6日であり、27日なのです。

妊婦や授乳婦へのインフルエンザワクチン接種について

 

インフルエンザワクチンは病原性をなくした不活化ワクチンであるため、妊婦への副反応の増加、胎児への影響はないと言われており、接種は可能とされています。

 

また授乳についても母乳中への移行はないか、あるとしてもごく微量とされています。こちらも妊婦同様接種は可能とされています。

 

添付文書(薬剤師向けの薬の説明書)には

妊娠中の接種に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には接種しないことを原則とし、予防接種上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ接種すること。

となっています。

 

特に妊婦はインフルエンザに罹ると重症化する傾向にあります。ワクチンによる有害事象はゼロではないですが罹って重症化するのを抑制できるのであれば接種が望ましいでしょう。

 

ただ、上で書いたように効果は6~7割程度です。これを人によっては打つ価値がないと考えるかもしれません。最終的には医師と相談の上、患者さん本人の判断に委ねられます。

インフルエンザワクチンは卵アレルギーの人に接種可能?

 

インフルエンザワクチンを製造するには鶏の卵を使用します。そのため卵由来の成分がワクチンに残ることで、アレルギー症状を起こす可能性を否定できません。

 

最終的には主治医の判断という形になりますが、過去に卵を食べて呼吸困難や血圧低下、嘔吐などの症状がある方については接種を控えることになるかと思います。

インフルエンザワクチンの副反応について

 

副反応については発赤、疼痛、腫脹がメインです。発熱や頭痛、倦怠感などもみられる事があります。いずれも数日でよくなることが多いです。

 

注意が必要なのはショックやアナフィラキシーです。動悸や呼吸困難、蕁麻疹、痒み、腹痛、吐き気、血圧低下などが現れ、最悪死亡する可能性もゼロではありません。ただこちらについては非常に稀です。

 

これらの症状は30分以内に出現する可能性が高いのでワクチン接種後30分は病院内にいるようにして下さい。病院内にいれば迅速に対応できますからね。

 

それではインフルエンザワクチンについては以上となります。最後まで読んで頂きありがとうございました。

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