今回は漢方薬の五苓散(ゴレイサン)についてお話していきます。

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五苓散の名前の由来とは

 

五苓散に含まれている生薬は沢瀉(タクシャ)、蒼朮(ソウジュツ)、猪苓(チョレイ)、茯苓(ブクリョウ)、桂皮(ケイヒ)の5種類です。ここから”五”。そして主薬の猪苓から”苓”。これを組み合わせて五苓散と命名されています。

五苓散の作用機序と特徴

 

五苓散は二日酔いにも効果があると言われている漢方薬です。

 

一般的には口渇、尿量減少を伴う人に対して用いられる漢方薬で、浮腫、ネフローゼ、二日酔い、急性胃腸カタル、下痢、悪心、嘔吐、めまい、胃内停水、頭痛、尿毒症、暑気あたり、糖尿病に効果があると言われています。これらのことから、水分に深くかかわっている漢方薬であることがわかりますね。

 

添付文書の効能効果、用法用量は以下のように記載されています。

効能又は効果

口渇、尿量減少するものの次の諸症
浮腫、ネフローゼ、二日酔、急性胃腸カタル、下痢、悪心、嘔吐、めまい、胃内停水、頭痛、尿毒症、暑気あたり、糖尿病

用法及び用量

通常、成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口投与する。なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。

ツムラ五苓散エキス顆粒(医療用)の添付文書より引用

 

五苓散の主な作用
・止瀉作用:下痢を止める効果。
・利水作用:体内の水分量を調節する効果。
・口渇に対する作用

 

これらの作用は、含まれている生薬によって発揮されています。

 

五苓散は研究により、腎臓にあるナトリウムチャネルという水分の再吸収を促すスイッチを阻害する効果があることが判明しており、さらに、腎皮質に存在しているアクアポリンの活性を抑制することで、尿量を増加させていることがわかっています。

 

五苓散によるアクアポリンへの関与は、現在も研究が進められているところであり、さらなる解明が待たれています。

ナトリウムチャネル:腎臓や筋肉などの細胞膜に存在しており、ナトリウムイオンを用いて電気信号を伝えるためのタンパク質。ナトリウムイオンによって動いているため、ナトリウムチャネルと呼ばれています。

アクアポリン:水だけを選択的に透過させる機能を持ったタンパク質で、体の様々なところに存在しています。

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五苓散が二日酔いに有効な理由

 

さて、五苓散はなぜ二日酔いに効果があると言われているのかご存知でしょうか?五苓散が二日酔いに効果的なのは、五苓散の持つ作用が二日酔いの症状にぴったりと当てはまることからも想像できますね。

 

まず二日酔いとは、アルコールが体内で分解されて水になる過程において、中間物質であるアセトアルデヒドの持つ毒性によって起こされています。このアセトアルデヒドは体内に残ってしまうと悪心や嘔吐、頭痛を引き起こします。

 

血管の透過性が上がってしまうため、水分が漏れ出してむくみの原因ともなりますし、血管が広がることで頭痛となってしまうのですね。

 

二日酔いはアセトアルデヒドがもともとの原因ではありますが、アルコールと共に摂取した水分は体内で処理されずに残っている状態です。その余った水分がむくみにつながり、様々な悪影響を及ぼしているとも考えることができます。

 

こういった状態を東洋医学では水毒といい、水分を調節する効果をもつ五苓散が著効を示すことにつながります。

 

五苓散に含まれる桂皮は血流を促進することでアルコール代謝能力を高め、そのほかの生薬は体内の不要な水分を排泄する補助をしてくれます。胃の状態を改善し、悪心、下痢などの二日酔いに係る症状も緩和できるため、二日酔いに効果があるのです。

五苓散の副作用

 

五苓散では、副作用が明確になる調査は行われていません。そのため、その発現頻度に関するデータも存在しておらず、どのくらいの頻度で起こるのかが不明です。

 

ですが、重篤な副作用の報告は存在していないため、安全性は高いと言えます。報告されている副作用はには発赤、発疹、掻痒などの過敏症状。肝機能検査値の上昇を伴う肝機能異常などがあります。

五苓散の飲み方と注意事項

 

五苓散は、最初から粉の形状の薬です。そのため、漢方薬でよく言われているお湯に溶かして服用するということをする必要がありません。

 

様々な生薬が含まれているため、五苓散を服薬している時に、他の漢方薬を使用した場合、含まれている生薬の量が多くなりすぎる場合があります。そうなってしまうと副作用の危険性が増してしまいますので、注意しましょう。

 

妊婦に関して、添付文書では「妊婦には有益性が危険性を上回る場合に使用する」となっていますが、つわりやむくみがひどくなっている場合には産婦人科において使用されることがある漢方薬です。その場合は医師の指示に従って服用して下さいね。

 

それでは五苓散については以上とさせて頂きます。最後まで読んでいただきありがとうございました。